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2013年9月27日 (金)

アメリカにいるアサド

 またまた毎日新聞からの引用。検索をかけてもほかにAFP通信がある程度で、なぜか日本のマスコミは関心が薄い(見落としがあったらごめん)。当塾はかつてクラスター爆弾禁止条約を追い続けたことがある。「武器貿易条約」は、これと違って日本も最初から賛成の立場に立っており、最大の武器供給先の米露がどこまで協力するかというという程度にしか関心がなかった。

 しかし、今回の報道は見逃せない。アメリカが批准に向けて一歩前進したからだ。ロシア、中国は総会決議を棄権しているがその理由はあいまいで、アメリカに対する不信感もあり、様子をうかがっているようなところがあった。以下引用文。

 【ニューヨーク西田進一郎】ケリー米国務長官は25日、国連本部で、通常兵器の国際取引を規制する国際ルール「武器貿易条約」(ATT)に署名した。世界最大の武器輸出国・米国の署名は条約発効に向けた前進だが、米国内には消極論もあり上院での批准手続きが焦点となる。

 同条約は批准国50カ国で発効する。国連によると、25日夕方までの署名国数は108。発効確実と見られるが、米国が不参加だと条約の実効性に疑問符がつく。

 国連総会での採決で棄権したロシアや中国も消極姿勢を強める可能性が高い。

 米国では批准に上院出席議員の3分の2の賛成が必要だ。武器規制に反対する強力なロビー団体の全米ライフル協会(NRA)は、米国での武器売買・保有の権利を制限すると条約に反対。武器所有を市民の権利として認めた米憲法修正第2条との関係が焦点だ。

 ケリー長官は署名式で「この条約は誰の自由も狭めない」と憲法上の問題は生じないと強調し、理解を求めた。

 同条約の規制対象は、戦車や攻撃用ヘリコプター、自動小銃などの小型武器。大量虐殺やテロなど非人道的な使われ方をする危険性が高い場合は輸出を禁じるほか、輸出入の条約事務局への報告を義務づけ通常兵器がテロや犯罪などに使われないようにする。

 このニュースの重要性は、そのタイミングにある。シリアの化学兵器撤去の国連安保理決議がオバマの高等数学(当塾バックナンバー)と、ロシアの絶妙な協力姿勢で、不可能視されていたことが実現寸前(日本時間28日午前9時半頃議決)まで来ていることである。

 シリアだけではない。中東やアフリカなどで市民や子供が殺傷された数は、化学兵器より通常兵器(自動小銃など)によるものの方がはるかに多いはずだ。それを供給してきたのがアメリカやロシアなど武器輸出大国である。化学兵器は駄目だが自動小銃ならいい、という理屈は成り立たない。

 もともと、アメリカやフランスなどは他国民であろうと大量虐殺から保護すべき責任があるという理由で、国連安保理決議を経ず旧ユーゴスラビアやイラク、リビアなどに軍事介入してきた。チェチェンやチベットなどをかかえる露・中はこの論理に警戒心を抱く。

 その一方、武器輸出で過激派か勢いづいたら、いつ銃口が国内に向けられるかも知れない。基本的には武器禁輸に賛成なのだ。化学兵器同様、アメリカが国連を舞台にその方向に進めばお互いに武器供与競争から手を引くということになり、乗れない話ではない。武器で外貨を稼ごうという北朝鮮などの跳ね上がりは、かえって迷惑なのだ。

 そういった世界平和への動きにストップをかけ、邪魔をしようというとんでもない存在、それがアメリカ・ライフル協会とその支援を受ける議員たちだ。自国にはびこる銃乱射事件の惨劇を世界水準ににしようとする身勝手さ、まさにアメリカにいるアサドといっていい。オバマはこういう手合いにも蛮勇をふるってほしい。

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コメント

TB有難うございました。
昨朝返信したのですが、未だ届いて居なかったようですね。
TB送信については時々突然トラブルが起き、戸惑わされます。
失礼の段お許し下さい。

武器輸出が本当に制限されるようになったら、中東やアフリカの紛争も大分減るのでしょうが、アメリカが批准してくれるかどうか、覚束ない所ですね。
期待して待ちたいとは思いますが・・・・・

尚TBを頂いた当方の記事のURLを記入させていただきます。
http://dendrodium.blog15.fc2.com/blog-entry-1775.html#trackback2235

投稿: 和久希世 | 2013年9月29日 (日) 10時45分

和久希世 さま
民族、宗教の対立はいつになってもなくならないでしょう。しかし、人間の持つ殺傷能力の何千倍、何億倍を発揮する武器を手にするからいけないのです。

今日は大相撲千秋楽ですが、紛争は相撲で勝負をつければいい。日本は中国・朝鮮に勝ててもモンゴルには勝てません。

それで、反蒙運動とか嫌蒙感情が起きるどころかきわめて良好な友好関係ができる。冗談であっても、そんな夢を持ちたいです。

投稿: ましま | 2013年9月29日 (日) 13時21分

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