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2013年8月17日 (土)

歴史認識ランキング

 塾頭の偏見によると、日・中・韓のうち歴史認識が一番貧弱なのが韓国、次いで中国の順で日本のレベルが一番高い。なぜならば、古代から近代まで、中国や朝鮮から文化や技術を実直に移入し、その歴史を研究しまた教訓を得ようとしたのは日本だからだ。

 それらの国には、すでに残っていない古い文献が日本にあったり、また、古来の美術や風習にその片りんをうかがわせるものも見ることもできる。中国と朝鮮の間にある歴史認識の違いも、日本では客観的に観察可能である。

 中国は歴史の国である。殷・夏の時代から清朝まで数千年にわたる各王朝の歴史は、正史または稗史として綴られてきた。王朝栄枯盛衰史と中国共産党史、このふたつが中国の歴史である。中国のいう歴史認識とは主に後者を指すもので、これに合致しなければ受け入れられない。

 韓国には、独自の歴史認識というものがあるのだろうか。日本の聖徳太子の時代は、高麗・百済・新羅という別々の国である。その後新羅が三国を統一し、続いて高麗がこれに代わった。そのあとは高麗の将軍李氏が前王朝に代わって「朝鮮」とし、日本に併合されるまで続く。

 それをつづった簡単な朝鮮史の邦訳は見たことがあるが、現在は独自の白頭山神話に彩られた北朝鮮と、空前の経済発展を遂げた韓国史が別のものになった。両国が共通して語れることは「日帝支配」と抵抗の歴史だけである。

 したがって韓国のいう「歴史認識」もその間を語るものでなくてはならず、中国の「共産党史」の扱いとも似ている。日本には、安倍首相と似通った歴史認識を持つ人が少なくないが、それらは歴史修正主義と呼ばれることがあり、もちろん日本のあるいは日本人を代表する歴史認識ではない。

 日本ではこれまで学問の自由の中で、互いに論争をたたかわせてきている。中・韓の政府要人たちはそれを知らないわけではないだろうが、最近の両国の行動は、日本の心情を著しく害し、日本の歴史修正主義促進に加担しているかの様相を呈している。内政干渉の批判は当をているのである。

 歴史認識は人生観と同じで各人各様であっていい。外国からとやかく言われる性格のものではない。多様性を持っという点で、塾頭は日本のレベルが一番高いと信ずるが、日本にも敢えてこれを戦前並みに後退させようという政治家が多くなったことは、事実だし残念なことだ。

 最後に、韓国有力紙「東亜日報」に8日付オピニオン欄に掲載されていた韓国の歴史教育事情を中心に、感じたことを書きくわえておく。

  朴槿恵(パク・グンへ)大統領は最近「韓国史を試験の評価基準に入れるべきだ」と言明したようだ。その評価は、日本の大学入試に使われるセンター試験に似た制度に入れようとするものである。朴大統領が韓国史のレベルを高めたいとする真意は何であろうか。

 大統領選を控えて日彼女の父が第5 - 9代大統領・朴 正煕(パク・チョンヒ)であったことから、日帝の協力者の娘ということで激しい攻撃を受けていたことを思い出す。父は軍事独裁・権威主義体制を築き、日韓基本条約の締結を行った。

 彼が日本の士官学校を出て満州国の将校でもあったため、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を果し、最貧国グループから脱して今日の繁栄を築いたにもかかわらず、国賊扱いをされているのだ。

 彼女が就任以来、対日強硬姿勢を取らざるをえなかった理由のひとつでもある。この無念さを、なんとか歴史の冷徹な再検証の中で父の名誉回復を図りたいと思っているのではないか。以上は全くの憶測であるが、東亜日報の編集子は、次のように大統領の提案に婉曲な否定論を展開している。

 我々の子供らが、韓国史で評価を受けることは願わない。日本における日本史の教科書は、倭の伽耶支配を教えており、中国の中国史の教科書は、朝鮮を属国かのように表現している。われわれ韓国の教科書が教える内容とは違う。すべて正確なことではない。

 どの国であれ、小中高校の国史は、民族の誇りを高めるため、巧妙に事実に目をつぶったり、事実を歪曲する側面がある。 国の一員として生きている以上、国史を学ばない権利まで要求するのは難しい。 しかし、国史で評価されない権利はあるべきではないか。 皮肉なことだが、真なる国史は、高校を離れてからようやく学ぶことができるものだ。

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コメント

>韓国には、独自の歴史認識というものがあるのだろうか
>それをつづった簡単な朝鮮史の邦訳は見たことがあるが

朝鮮半島にもいわゆる「正史」はありますよ。
高麗史や李朝実録をよもや御存知ないわけではないでしょう。
そもそも世界中いかなる貧困・後進地域とて、人間が長年居住している場所に「独自の歴史認識」が存在しないところなどありませんよ。アフリカ研究の碩学・川田順造氏がかつて仰った通り、アフリカ西部の無文字地域ですら、歴史は存在するのです。

そもそも「歴史認識」が「貧弱」とか「豊富」とは何を指して仰っているのか、どうにも腑に落ちません。「現代の政治環境に基づく歴史研究の自由の幅」とでも言うなら話は分からないでもありませんが(仮にそうなら、中国より韓国の方が圧倒的に自由でしょうけれど)、そのことと「歴史認識の優劣(そんな発想自体がナンセンスと私は思いますが)」は全く別物だろうし、あるいは個々の事象の分析をする上での真偽判断の物差しにもなりません。仮にそのことで「日本の優位」を誇ろうとするなら、そんなものは自己満足の独善に他ならず、仮に対話を図ろうとしても上手くいきっこありませんね。

現在の日本では歴史研究の自由は基本的に保障されており、少なくともマトモな学者の中に「歴史修正主義者」が少数派であることも事実でしょう。しかしそんな世間と乖離した人文アカデミズムの学者村の動向などと関わりなく、政治や言論の表舞台では「歴史修正主義」が猛威を振るっているのも、また重い現実だと思います。その点で、今の日本社会から中韓を「上から目線」で小馬鹿にすることなど出来ないはずですよ。

投稿: ちどり | 2013年8月18日 (日) 00時51分

ちどり さま
コメントありがとうございました。

いただいたご意見の内容に異論はありません。本文中最初に<塾頭の偏見>と断ったり、<中国のいう「歴史認識」>とか<韓国のいう「歴史認識」>と明記しているように、両国が尖閣や慰安婦問題、靖国問題などで日本を中傷する政治用語として乱用することを意識して書いたものです。

したがって、不用意に使うべきではないのにクローズアップしてしまいました。(_ _)

そういえば何年か前、『李朝実録』を原文で見るため、赤門をくぐって東大史料編纂所に行ったこと思い出だしました。

投稿: ましま | 2013年8月18日 (日) 06時04分

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