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2013年8月22日 (木)

中・韓反日の構図

 引用文の出典は、後jまわしにしてまず読んでいただきたい。

 日本を取り巻く国際政治環境の中で、もっとも懸念されることは南北統一後の朝鮮が日本への対処により厳しさを増してくる可能性があるということである。

 これは筆者も韓国に行ってよくわかったことであるが、韓国の本音は北朝鮮を抱え込みたくないと考えているようであり、南北の統一は若干遅れると考えている。

 しかし、仮に10年後に朝鮮半島が統一された場合、統一後の新国家はどういう政策を取るであろうか。「反日」というキーワードを使って、国民の民族意識を呼び戻して国内体制を固めるというやり方を取るかもしれない。朝鮮半島の人々は日本帝国主義にはものすごい恨みがある。(中略)

 仮に反日というキーワードで朝鮮半島がまとまった場合に、彼らの持つ軍事力は現在のレベルでも兵員ベースで日本の5倍である。しかも、韓国の成人男子は皆、兵役を3年務める義務がある。この兵役を3年務めることの意味は大きく、日本と異なり、銃兵器の操縦方法を平素から訓練し、1週間で敵地を占領するという具体的ノウハウや実際の人間の殺し方も知っているということである。

 また中国と韓国は現在、北朝鮮をけん制するために国交を結んだが、これが対日軍事連盟を結ぶ可能性も出てこよう。日本海を挟み、朝鮮半島と日本の関係は表面は平和に見えても、その底には脅威的なものが静かに流れているのである。

 極東、特に北東アジアの地域は国連から見ても、東西冷戦構造が残るもっともコントロールのきかない地域になってしまった。ヨーロッパに比べ、地域集団安全保障体制ができていないことは最大の欠点である。

 引用文は、このあと日本に経済的メリットを感じなくなったアメリカが日本離れし、逆に締め出す方向に進んだり、東南アジアがアメリカと対立した場合、アメリカ支持に回る日本に対し同地域の信頼を失って、アジアで孤立する危険性を内包する、ということも書いている。

 ここで出典を明かそう。”【国連発】ニッポン改造論”(ダイヤモンド社)という本で、なんと今から20年前の1993年に発行された本だ。著者は、当時国連事務総長室法務担当官をつとめていた川村亨夫氏で、大手市銀勤務の後、複数の米国大学院で研究活動したうえ、国連入りをしている。

 あえて、これを取り上げたのは、最近書いたものとしてもそのまま通用するということである。現在の中・韓の反日機運が、安倍政権の右傾化がもたらしたものという解釈が多いが、仮に、安倍首相が退陣するとか、左派陣営が期待するリベラル勢力結集がかなって政権を取り、両国との融和政策に転換すれば一挙に氷解するかというと、そんな甘いものではないということを警告したかったのである。

 1993年は、ソ連解体の後で新しい国際環境にどう対処するのか微妙な時期であった。首相は海部首相から変わった宮沢喜一首相時代で、前年には天皇夫妻が訪中し、大戦に反省の弁をのべている。また韓国国会では従軍慰安婦問題について首相が公式に謝罪もしている。

 いわば、両国との関係改善がもっとも期待できる時期だったのだ。しかし川村は、そういった当時の関係改善策を一切評しておらず、むしろ批判的ですらあった。川村の指摘は、閉鎖性が高く、官僚のご都合主義で動く日本外交への警鐘と見る。つまり、諸外国から見て軸足をどこにおいているのか、人間関係をどう築いていけばいいのか、焦点が定まっていないということになるだろう。

 川村のいう所は、決して対外強硬論、対中・韓異質論ではない。あとがきでこのように書いている。

(前略)今後の国際社会での日本の針路はますます難しい。簡単に答えを出したいと願う人たちは、軍備をもっと増強し、日本のプレゼンスを高めたいと願うだろう。しかし重要なことは、日本が戦後、国連に加盟した時からずっと学んできた国際協調社会を生き抜くためのノウハウをできるだけ発揮することであり、国民にわかりやすい外交目標を提示し、国民の過半数から支持される外交スタイルに変えることなのである。

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コメント

中国はいざ知らず、韓国についていえばここ近年「反日機運」が高まっているという感覚はありませんね。日本メディアのフィルター越しに伝えられる先方の社会動向と、実際現地に滞在しての生の感覚のズレは、昨今凄まじいものです。
その昔(塾頭様はよく御存知でしょうが)、日韓基本条約(「友好条約」ではありません)の締結時などは全国規模の大反対デモを戒厳令で鎮圧することなどもありました。80年代の最初の教科書問題の際にも、ソウル市内の飲食店などで「日本人立ち入り禁止」の張り紙が盛んに張られたものですが、今は昔の話です。

ユーザーアクセスに左右される韓国紙日本語版サイトなどではいわゆる「反日」記事が始終トップに来るのですが、これは多分日本の嫌韓派がネタ集めに日参しているゆえでしょう。現地メディアでは概して対日批判や反日パフォーマンスの記事など大した扱いになっていません。昨年の竹島騒動も、今年の橋下慰安婦発言も靖国問題も、拍子抜けするほど軽い扱いです。要するに現地の人々の多くにとって、国内政治や経済問題ほど大した関心事ではないのでしょう。大向こうを張った反日パフォーマンスは今も昔もありますが、ある意味建前的な代物で、一部の熱心な民族主義者はともかく、それ以外の先方の人々がそれに熱狂しているわけでは全くないでしょう。じっさい李明博の竹島上陸など、支持率に大した影響もありませんでした。

翻って日本国内、とりわけ保守系の週刊誌や夕刊紙などで、今や中国・韓国バッシングネタがトップにならない日が今や珍しいほどです。電車の中吊り広告など、今日明日にも中韓と全面戦争にならんばかりの勢いですね。政府首脳の靖国参拝など、何の疑問も持たず支持する層も随分増えてきました。一体全体韓国人が「反日化」しているのか、日本人が「反韓化」しているのか、今一度冷静に考えてみる必要はあると思います。

投稿: ちどり | 2013年8月23日 (金) 00時47分

ちどり さま
申し訳ない。23日本文にさせてください。

投稿: ましま | 2013年8月23日 (金) 11時08分

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