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2013年8月 1日 (木)

中東紛争の終幕待望

 イスラエル・パレスチナによる和平交渉が日本時間で7月30日朝からワシントンでようやく始まった。前回行われたのが約3年前、これまで交渉が進展して和平にたどり着いたことは1度もない。今回も当事者同士に解決に向けた「本気度」がどれだけあるか、疑問視する向きもすくなくない。

 しかし、塾頭は3年前と大きく背景が変わっていることに注目する。それは、仲介者アメリカのオバマ大統領が再選をはたし、国内のイスラエル支持勢力の妨害を気にせず、国境線などアメリカにしてはかなりパレスチナ寄りの線でまとめようとする熱意が感じられることである。

 そして、大きいのはイスラエルをとりまく国際環境の変化である。前回の交渉があった年は、8月31日にオバマ大統領によってブッシュ前大統領が始めた「イラクの自由作戦」の終了宣言が行われ、翌11年12月14日完全撤退が終了した。

 また、アフガニスタンもウサマ・ビン・ラディーンをパキスタンで殺害したことにより、「テロとの戦い」の終息を目指す方向に向かいつつある。その背景にアメリカの巨大な軍事費支出による財政悪化に加え、国民の厭戦気分も反映していると見られる。

 もうひとつは、3年前の12月18日にチュニジアで始まったいわゆる「アラブの春」による周辺国の変貌である。強硬派カダフィーによるリビアの長期独裁政権が転覆し、隣国イスラエルと友好関係にあったエジプトのサダト大統領の後継、ムバラク大統領も民衆蜂起で倒された。

 また、北の隣国・シリアは、アサド政府と反政府軍で戦闘状態が続いており、収拾のめどが立たない。エジプトも軍部とムスリム同胞団の対立で内戦一歩手前の様相である。以前と違うのは米ソをはじめ、NATO諸国などこういった混乱を憂慮しながら介入を避けている点である。

 残る隣国、イラク・レバノンも国内の宗派対立が厳しく安定していない。このような状況は軍事的にイスラエルにとって有利に見えるが、敵を見えなくしているという点で、イスラエルをより危機的な環境に落とし入れており、気がついたらイスラム原理主義で四面楚歌ということにもなりかねないのが現状だ。

 そうすると、圧倒的軍事力を持つイスラエルが侵攻されることはないにしても、これまでのようにパレスチナを国として認めず露骨な植民地拡大政策をとる限り、イスラムの抵抗が続き和平が遠のくことをまぬがれない。ちょうど、日本の関東軍が満州での利権守備を口実に中国各地を蚕食していったのと似ている。

 相手の中国は軍閥の勢力争いで弱体化していたが、日本も多くの戦死者をだしている。だから、泥沼から引くに引けない様相を呈した。三国同盟だけが頼りだったが、イスラエルの場合そういった支えもない。今回の和平交渉は、1948年5月のイスラエル国家独立宣言以来続いてきた紛争に終止符を打ち、イスラエル・パレスチナ共存の可能性をさぐる最後の機会なるのでではなかろうか。

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