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2013年6月28日 (金)

「鳩」が生きてる

 香港のメディアで、鳩山元首相が尖閣諸島について、『日本が盗んだと言われても仕方がない』と発言したとかしなかったなどと、一部マスコミで取沙汰されている。中味はYouTubeで公開されているが、問題のフレーズは、尖閣が日中間で領土問題として存在かることを中国側の主張を説明する中で使われており、鳩山がそれを肯定しているわけではない。

 しかし、早速ネット右翼などの餌食となり「反日」バッシングを受けている。またそう受け取られても、それこそ「仕方がない」言い回しになっている。当塾はこれまでも、鳩山内閣成立当時から「東アジア共同体構想」に賛意を示してきた。「普天間移転、すくなくても県外へ」や「中・米のかけはしに」も賛成だった。

 普天間移転問題は、「学べば学ぶにつけ」と前言を撤回し、内閣を投げ出す破目になったが、最近では、北沢防衛・岡田外交による閣内および官僚の非協力、妨害があったことが明らかになっている。しかし、鳩山の変節ととられるような言質を残したこと、これもまた「仕方ない論」になってしまう。

 参院選でも、自由・民主揃って「日米合意の実行」つまり辺野古移転が公約になっている。ここにきて、アメリカ国内に費用対効果の面で米西海岸、つまり「国外移転」論が起きており、合意見直しの機運が出ているので、決して鳩山流が折衝の対象外でなかったことがわかる。

 そのうちのひとつが毎日新聞6月26日付に掲載されだが、毎日JP→オピニオン→解説→発言に掲載されるはずのものが、なぜか28日になっても公表されないので文末に全文を採録する。それ以外にも以下のようなものがある。
http://www.rand.org/pubs/research_reports/RR201.html

 このように、鳩山は先を見てものを言っているようだが残念ながら時機外れで、自称現実主義者から「宇宙人」扱いをされてしまう。東アジア共同体についてもそうだ。政権交代の目玉にしたかったのだろうが、そのころには、中国の大国主義や独特の中華文明論が表面化しはじめ、鳩山発言にも冷たい反応しかなかった。

 国内的にも、日本と中国の共通性より異質性の方が強調され、尖閣騒ぎはそれを極限状態にまで押し上げてしまった。今や「共同体」など寝言のように扱われ、どこからも相手にされないテーマになっている。そんな時、議員をやめ党からも抜けた鳩山が「一般財団法人東アジア共同体研究所」を立ち上げた。

 塾頭は変人扱いされようと、これを支持する。欧州共同体が発足したのは、ヴィクトル・ユーゴーが提唱した1847年から2度の大戦を経て、104年もあとのことだ(年表参照)。

 6日付の「憲法と国家ビジョン」でも書いたが、今の日本には国家の目標やビジョンがない。共同体といってもEUのようなものが数年でできるはずがない。10年、数十年の先を見越しての話だ。その研究をすることは、尖閣問題など先鋭化した今こそタイムリーなのかも知れない。

 同研究所の活動はこれからだが、理事を見ると次のようなメンバーが並んでいる。
・孫崎享(外交評論家、元外務省国際情報局長)
・橋本大二郎(武蔵野大学客員教授、元高知県知事)
・高野孟 (ジャーナリスト、株式会社インサイダー代表取締役)
・芳賀大輔(鳩山由紀夫事務所所長)

 冒頭に孫崎氏を掲げているが、塾頭は、元外交官でありながら、政治家を対米追随路線指向と自主路線指向に色分けする本を書いて有名になった人であることに懸念を持っている。理事と研究者は別であるが、当面は日米中関係より、EUについての研究と紹介に重点を置いていただきたい。
 
 欧州共同体は、何世紀もの間敵対し続けた戦勝国と敗戦国の間で結ばれ、大国・小国、旧ソ連圏諸国など利害相反する諸国が、国の垣根を越えることにより「平和」を追求してきた。そして時には瓦解の危機を、話し合いと協調の精神で乗り切ってきたことなど、日本ではほとんど知られていない。決して「仲良しクラブ」ではないのである。

 それの研究と紹介が第一歩であり、中・韓国を含む各国の研究者で陣容を整えるなどの発展を遂げるよう期待する。そういった研究所である限り、塾頭は声援を送りたい。

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◆発言◆海外から
在沖縄海兵隊 米西海岸へ
  マイケル・オハンロン
   (米ブルッキングス研究所シニアフェロー)

 日米両政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題にあまり長くとらわれすぎてきた。日本国内の関心は理解するが、世界の案ぜ戦補償問題と比べると第一級の話ではないと私は思う。ただ、私は、日米両政府が実行でき、沖縄県民にも受け入れられる計画が望ましいと考える。日米同盟をさらに強化するため、この問題を過去のものとするための提案をしたい。

 現在の計画は、普天間飛行場を閉鎖するために辺野古に新たな施設を建設し、約2万人とされる在沖縄海兵隊員のうち約1万人を沖縄に残し、約8000人を米領グァムに使節を整備して移転することになっている。辺野古への新施設整備のめどが立たない日本の政治的状況を現実的にみなければならない。また、米側も政府の歳出強制削減で国防費が大幅に削減される状況も深刻だ。現行計画は総額300億ドル以上かかるとみられ、費用がかかりすぎる。

 そこで私は、沖縄には海兵隊員を5000人から8000人だけ残し、残りはグァムに施設を整備するのではなく、米本土西海岸のカリフォルニアに戻せばいいと考える。カリフォルニアの基地は海兵隊全体の規模縮小の中で、施設に受け入れる余裕が生まれる見通しだ。

 一方、日米両政府は米軍がグァムやサンディエゴに持っているような大型の事前集積艦を日本領海内の港湾施設に2、3隻置く。数千人分の武器や弾薬など完全な装備・機材を備えさせ、有事の際はすぐに動き、迅速に西太平洋に展開できるようにしておく。

 さらに、普天間飛行場を返還し、小さな飛行施設を沖縄本島北部の既存の海兵隊基地内に整備するとともに、緊急時に那覇空港の追加滑走路を使えるようにしておく。費用は概算で、事前集積艦3隻で10億ドル、艦船に積む装備で50億ドル程度で、現行計画の300億ドルを大幅に削減できるだろう。

 米軍の西太平洋地域への関与が弱くなるというメッセージにはならない。現在の状況をより改善する案だからだ。軍事的で論理的な計算ができるなら、即応能力も落ちるどころか、むしろ高まることが分かるだろう。そしてグァムも危機対応への能力をさらに向上させるために使うことができるだろう。
       【構成・西田進一郎】
----------------毎日新聞13/6/26

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コメント

橋下徹が自分の従軍慰安婦発言で、マスコミの大誤報だとか国民の読解力不足を言って開き直っているが、
今日の毎日で吉永みち子が、橋下の間違い部分を分かりやすく説明しています。
慰安婦ではマスコミの方が正しくて、少しも誤報ではない。
橋下とは違い、この鳩山発言ですが、まさにマスコミの意識的大誤報ですね。
この尖閣を巡る日中の騒動ですが、
何とも不思議なのですよ。
そもそも70年代の国交回復時に双方に見解の違いが有ったのは明確な事実なのです。
だから長年棚上げして問題を先送りしていたのが現実です。
台頭する中国が近頃生意気になったのは事実ですが、
尖閣で叩く必要性があるなら、
中国と日本との力の差が大きい20年前に行うべきだった。
それなら日本が勝てる。
ところが今では中国が日本をGDPで追い抜いているのですよ。
時期が悪すぎる。
これでは日本は勝てない。必ず負けます。
中国としては突然日本から喧嘩を売られたと思ったのでしょう。
喧嘩と結納は倍返しと相場が決まっているのですから騒動にならないはずが無い。
全部を総合して計算したら同じでも、
昔叩いていたが今は援助しているのと、その逆に昔援助していたのに突然叩きだしたのでは、受けるイメージが正反対。
尖閣ですが、以前は日本が中国側に大きく譲っていたのです。
中国としても最初は日本側の大幅譲歩を、恩義に感じていたとしても長年続いていれば当たり前の既得権益と考えてもそれ程不思議で無い。
尖閣での日中の騒動は、日本の一方的な強硬姿勢に対する、当然な結果です。

投稿: 宗純 | 2013年6月29日 (土) 11時23分

わたしは‘「鳩」が生きている’のタイトルそのものに笑点のように座布団を出したくなりました(happy01

投稿: 玉井人ひろた | 2013年6月29日 (土) 19時17分

宗純 さま
関連記事として「中国に安重根の銅像」を書きました。コメントのレスがわりです。見てください。

投稿: ましま | 2013年6月30日 (日) 10時48分

玉井人ひろた さま

コメントをいただいて

note啼くな小鳩よ 心の妻よ

という戦後歌謡を思い出しました。そんなに可愛くないけど……。
happy01

投稿: ましま | 2013年6月30日 (日) 10時53分

中国の習近平はオバマと2日間合計8時間もの親密な会談を行うが歴史的に大きな意味があるでしょう。
また韓国の朴槿恵新大統領は恒例の日韓首脳会談ではなくて、中国と2日間合計7時間もの親密な会談を行う。
中韓首脳は名指しを避けたが北朝鮮の『核開発が北東アジアおよび世界の平和と安定に深刻な脅威となる』共同声明を発表。
ところが安倍内閣の閣僚が日本国内で『北朝鮮の核もミサイルも如何でも良いと思うことがある』と発言する無茶苦茶。
今ブルネイで開催中のASEANの会議で、
中国の王毅外相は日本の外相と接触する可能性について聞かれ、
『いかなる接触も前向きな効果があるかどうかを事前に考える必要がある。実際の効果を必ず考えなければならない』と、
会談や接触は無意味と言っているのですが、最早立ち話程度も無理な状態ですよ。
日本としては米日韓の3カ国で中国を包囲する目論見ですが、現実には米中韓で日本が包囲されている状態です。
これ等は、すべては病的に右傾化する日本が原因しているでしょう。日本国がまともに相手にならないと思われているのです。

投稿: 宗純 | 2013年7月 1日 (月) 09時52分

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