「美しい国」より「大人の国」へ
2+2(ツウ・プラス・ツウ)という言葉をよく聞く。本来は「日米安全保障協議委員会」の別称だが、日本は外務大臣と防衛大臣、アメリカは国務長官と国防長官が出席することからそう呼ばれる。
別にそれに文句をつける気はないが、日本の置かれている現状と政治姿勢からみて、外務大臣と防衛大臣は不離不即でなければならず、対外的にもワンセットで共同歩調をとるというニューワンスに受け取られてしまう。
最近の政治報道は、参院選一色になりつつある。直接関係のなさそうなことでも、「それが選挙にどう影響するか」というとらえ方をする。ところが不思議なことながら防衛・外交に関しては、尖閣諸島、沖縄普天間米軍基地の辺野古移転など継続する重大な問題をかかえながら、主要政党間の争点にもなっていない。
安倍首相がG8に出席しても、アベノミクス宣伝など内向きの宣伝で終始するだけで存在感がうすく、ますます「顔の見えない国」「特殊な国」といった印象を深めるばかりだ。日本は、世界に、また将来に向けてどう向き合えばいいのか、そういった議論がないのは、「お寒い限り」というほかない。
当塾は、6月 6日の「憲法と国家ビジョン」から連続3回にわたり、憲法を国の柱とすべきことを主張した。「護憲派」としては異端のようなことも書いたが、この度、アメリカ西海岸サンディゴ近辺で行われた自衛隊と米軍による共同訓練の詳報が報道された。
その中に、当塾の主張の根拠となる発想が、自衛隊の中に一部にしろ共有されていることを知り驚いた。記事は6月18日付毎日新聞特集で、タイトルにはタイトルには次のようなものが使われている。
・離島防衛 脱「米頼み」
・共同訓練に陸海空自
自衛力強化へ結束
・財政難の米 渡りに船
中国対策 分担を促す
・自衛隊だけで取り返せるの?
上陸時の装備足りず水陸両用車を研究
以下、やや長くなり恐縮だが記事の一部を以下に引用する。
離島奪還は、上陸部隊の陸自だけでなく、輸送や艦砲射撃で支援する海自、空での優勢を保つ空自との緊密な連携が必要となる「究極の統合作戦」。陸自は米海兵隊と訓練を重ねる一方、国内に射撃ができる場所が限られていることもあり、海自や空自との実戦的訓練はしてこなかった。
派遣部隊を率いる海自第2護衛隊群司令の湯浅秀樹海将補が「互いの言うことが理解できない部分もある」というほど陸海空自の文化は異なる。尖閣で中国との緊張が続く中での今回の訓練は、現状の統合能力を検証し、教訓を得る「初めの一歩」に位置づけられる。
「『同盟国は助けてはくれるが運命は共にしてくれない』ということを忘れてはならない」。今年2月の自民党の勉強会で、自衛隊幹部は「自助努力」の重要性を訴えた。
背景には、尖閣で中国と衝突した場合、領有権問題では中立の立場を取る米国が「助けてくれるとは限らない」との危機感がある。米軍は米国の国益に基づき、米政府の指示に従って行動する。東京電力福島第1原発事故への対処で「自分たちの国を守るのは自分たちだという当たり前のことに気づかされた」と自衛隊幹部はいう。
本稿冒頭の書き出し「2+2」もいいが、防衛大臣は防衛力確保と自衛隊指揮能力把握、外務大臣は中国との緊張回避・善隣関係の回復に専念する本来の役割分担をこなすこと、これが「大人の国」の第一歩ではないか。
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