« 憲法と国家ビジョン | トップページ | 新世代憲法② »

2013年6月 8日 (土)

新世代憲法①

 最近、憲法に対する関心が急に高まっているそうです。書店の売れ筋にもそれが現れているそうで、当塾としては大歓迎です。安倍首相にお礼をいいたいぐらい。社民党・共産党がどれほどポスターを張り出してもとても及びません。

 ついでに自民党改憲案と読み比べてもらえば、どっちが心に訴えるものがあるか、よくわかるでしょう。問題はやはり9条です。塾頭はどうしても変えなくてはならないとは思いませんが、いくつかわかりにくいところがあるのは確かです。

 第1項は、1928年(昭和3)に日米英仏など主要国、その後ソ連も加わって63か国が締結した不戦条約が今でも生きており、ほぼそのまま採用したものです。それならば、第2次世界大戦などその後は戦争がなくなるはずなのに、性懲りなく繰り返されています。

 「自衛ならいい」という解釈がまかり通ったせいです。その反省に基ずき、日本敗戦の年の10月に発足した国連が、さまざまな制約を設けました。自民党案は、戦争放棄をうたったすぐそのあとに「自衛権の発動を妨げるものではない」と宣言し、国連の努力は無視していいといわんばかりです。

 その詳細ははぶきますが、問題は第2項、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」です。自民党案は、章の名前を「戦争放棄」から「安全保障」に変更して、9条の2を設け「国防軍を保持する」と180度ひっくり返しました。

 改憲論者は「あれだけ高度の設備と要員を持った陸上・海上・航空自衛隊が軍隊でないというのは矛盾しているし、外国からも軍隊と見られている」といい、護憲論者は「だから自衛隊は憲法違反だ」といいます。そして、自衛隊を段階的に縮小してゼロにしようという意見さえ出ました。

 国連憲章の最初の案には「自衛権」という文言はありませんでした。自衛権は、個人の正当防衛と同じで、暴力を受けたら身を守る当然の権利、つまり国にも当てはまる「自然権」であって、わざわざうたうまでもないということだったのです。

 ところがアメリカは、大国にだけ拒否権があり、アメリカを盟主とする中南米など米州機構の加盟小国が、自衛の権利を行使しようとしても発動できなくなると主張、「集団的自衛権」を明文化するように要求しました。

 それにつれて「自衛権」も明記するようになったのです。また、紛らわしい「戦争」という文言も一切なくし「武力行使」という言葉に置き換えました。日本国憲法9条2項の「交戦権」を認めないというのは、国には戦争をする権利がある、という考え方を否定したものと思われます。

 日本は9条の戦争放棄があっても国を守る権利まで放棄したわけではありません。当然のことなので、書いてないだけです。もしそういう考えをする人があったとすれば、「豪邸を作ったけど門も玄関も一切鍵なしで出入り自由にしよう」というのと同じになります。

 一見、平和でよさそうですが、空き巣や窃盗を奨励することにもなりませんか。また、ここは俺の家だといって他人が住み着いてしまうかも知れません。そんな悪い人、悪い国がなければいいのですが、「ここはもと俺の家だった」といって武力をちらつかせる手合いが現にいますね。

 戸締りはしっかりして、そういう手合いをあきらめさせることが必要です。そのために相手国に泥棒に入ることを目的とする軍隊の必要は全くありません。いかにして悪人にあきらめさせるかに専念すればいいのです。

 自衛隊に期待するのは、その鍵の役目をしっかり果たしてもらうことです。しかし、ことはそんなに単純ではありません。憲法9条がないアメリカと軍事同盟を結んでいるからです。安保条約に、双方の憲法を尊重するという条文はありますが、いざことが起きれば「事後承認」などということが過去の戦争でもたびたびあります。

 米軍と自衛隊は、鎗と盾の役割ということをよく聞きます。そして、合同訓練もたびたびおこなわれる中で、情報の交換、作戦行動、装備などが一体化され、それが切り放されると自衛隊では独自の機能がそこなわれ、中途半端なものになってしまうといいます。

 アメリカは日本を利用し日本は、アメリカに依存するという体質がすっかり染みついているということです。すなわち、アメリカは基地運営費の7割近くを「思いやり予算」といって日本がまかなってくれ、高い武器も買ってもらえる。

 一方日本は、「アメリカがついているから敵はうかつに攻めてこないだろう」という身勝手な解釈をしてますが、そんな保証はありません。これを集団的自衛権発動で、相互防衛条約並みにより強固にしたいというのが、保守系議員の考えです。

 この点がスッキリしない限り、憲法9条はいつまでたっても継子扱いから抜け出せません。また、日本の安全にとって寄与する、例えばスイスのような永世中立国宣言のような効果は、期待さできないということになります。どっちつかずは一番危険です。

 アメリカの属国扱いを生んでいる日米安保はいずれ解消するにしろ、当面は維持すべきだと思います。ただ、普天間基地の辺野古移転やオスプレー配備、地位協定など、日本国民の不安を解消する必要があります。

 岸首相以来50年以上安保条約も変わっていません。冷戦時代とは違った新たな国益の在り方を模索していく中で、現安保体制の見直しを進める時代に入っているのではないでしょうか。

|

« 憲法と国家ビジョン | トップページ | 新世代憲法② »

憲法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/51964406

この記事へのトラックバック一覧です: 新世代憲法①:

« 憲法と国家ビジョン | トップページ | 新世代憲法② »