« 「美しい国」より「大人の国」へ | トップページ | 「石破は教養がある……」 »

2013年6月20日 (木)

中国は攻めてくるか

 中国が尖閣へ、沖縄へ、本土へもし攻めてきたらなどということを、まことしやかに語られるようになった。塾頭はさきに書いた「新世代憲法」でも明らかにしているように「鍵=自衛隊必要論」である。

 しかし「近い将来、日中あるいは米中が開戦」などという事態があり得るか、と問われれば「それははない」断言する。以下、金谷治訳注『孫子』岩波文庫より引用する。

 孫子はいう。およそ十万の軍隊を起こして千里の外に出征することになれば、民衆の経費や公家の出費も一日千金をも費やすことになり、国の内外ともに大騒ぎで農事にもはげめないものが七十万家もできることになる。

 そして数年間も対峙したうえで一日の決戦を争うのである。[戦争とはこのように重大なことである。]それにもかかわらず、爵位や俸禄や百金を与えることを惜しんで、敵情を知ろうとしないのは、不仁――民衆を愛しあわれまないこと――の甚だしいものである。

 [それでは]人民を率いる将軍とはいえず、君主の補佐ともいえず、勝利の主ともいえない。だから、聡明な君主や優れた将軍が行動を起こして敵に勝ち、人なみはずれた成功を収める理由は、あらかじめ敵情を知ることによってである。(用問篇・以下略)

 これは、『孫子』の冒頭の「兵とは国の大事なり、生死の地、存亡の道、察せざるべきなり」と、有名な警句である「彼れを知りて己れを知れば百戦して殆(あや)うからず」の双方と底流が同じである。なぜ本稿のテーマに中国の古典『孫子』を持ってきたのか。

 相手が中国だからか。違う。『孫子』は今や世界のどこでも読まれている普遍的な兵書であり教養書である。アメリカ大統領オバマも座右において愛読しているという話をどこかで見た。『孫子』が持つ「普遍性」が失われない限り、戦争は起きない。

 また、「彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」の結果を承知の上で、戦争の危険をおかす為政者はいない。かつて日本は、『孫子』より神州不滅の皇国史観の方を上に置いた。ドイツは自民族を最高位に置くナチズムが国を滅ぼした。普遍性に対抗する特殊性をでっち上げたのだ。

 アメリカのブッシュは百金を惜しんでニセ情報に「一日千金をも費やす」愚の道を選んでしまった。人は過ちを犯す。この先、小さな過ちは見逃されても、大きな過ちを犯す国には、亡びてもらうしかない。

|

« 「美しい国」より「大人の国」へ | トップページ | 「石破は教養がある……」 »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

わたしも無いと思います。中国の現政権であるトップの人々だってそんなことをしたら、自分自身の立場がどうなるか百も承知でしょう。
ですから、あのような子供のいたずらの様な真似を繰り返しているんだと思います

投稿: 玉井人ひろた | 2013年6月21日 (金) 20時53分

孫氏さまを勝手に使わせてもらいましたが、申し訳ないことで、尖閣問題についての中国外交部発表、人民日報、環球時報などのマスコミ、香港情報などからのリーク報道などと習近平などトップ発言からくる塾頭の「直感」が本当の所です。

行き着く最後のねらいは、海底資源の共同開発と島の中立化で、日本の占有は黙認するでしょう。ただし、日本に守る気がなければ別です。「彼を知る」努力も結構やっているにちがいない。

投稿: ましま | 2013年6月22日 (土) 09時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/52116075

この記事へのトラックバック一覧です: 中国は攻めてくるか:

» 【速報】 日 経 大 暴 落 13/06/21 金 [【2chまとめ】ニュース速報嫌儲版]
1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2013/06/21(金) 09:00:44.72 ID:O1J5SPyZ0 ?2BP(1255)12,787.87 (09:00) -226.71http://sekai-kabuka.com/ [続きを読む]

受信: 2013年6月21日 (金) 12時03分

« 「美しい国」より「大人の国」へ | トップページ | 「石破は教養がある……」 »