« 世界中大笑い | トップページ | 中国の核心的利益・線? »

2013年3月21日 (木)

尖閣&仏像盗難

 現在、世界の平和を脅かす火種をかかえているのが東アジアという評価は、何とも残念なことです。軍部の暴発を警戒しなければならないのが北朝鮮と中国の2国でしょう。順位をつければ北の方の可能性が高いのですが、その場合考えられるのが局地戦です。

 米軍が表に出てくるような事態をおそれる中国は、あらかじめアメリカの了解を取っておいて平壌を占領、金王朝に代わる和平構築政権構築に乗り出すのではないでしょうか。金正恩が国民に全幅の信頼を得ていないと判断すればあり得ることです。

 金正恩がそうならないよう軍部をコントロールできていいるかどうか、不透明さは中国以上です。中国の方はようやく全人代が終わり、習体制の手腕が問われることになります。制度上は文民統制があり、軍事委員会主席も確保したので、軍強硬派が突出する可能性はすくないと思います。

 日中間の問題は、尖閣諸島の一点です。双方「固有の領土」を主張している限り厳しい対立関係は解決しません。日本は、実効支配を明治以来(米軍統治期間をのぞく)続けており、中国はその始まりを日清戦争中に掠め取った、つまり知らないうちにとられたとしています。

 しかしその法的根拠も証拠も一切示されていません。またその前の中国が言う史的根拠は同島の存在を観察・確認したものだけで、利用を裏付けるようなものがありません。塾頭が残念に思うことは、このようなシナリオが、かつて一部の日本人学者によって味付けされた形跡がうかがえることです。

 その発想は、同島が日清戦争以前からあった日本人による利用計画や領土化の動きを、日本の帝国主義的侵略意図によるものとしている点です。つまり、日本が常に加害者、被害者は中国という構図が最初からあるということです。これは、歴史の事実より特定の史観を優先させたものとしか言えません。

 前々回の記事「歴史認識が合わないわけ」はまさにそれを言ったものです。「歴史認識」や「歴史の正視」について、例えば韓国との間にある、明治初頭の砲艦外交によってできた不平等条約・「日朝修好条規」が、日本帝国主義のはじまりで、後の日韓併合・植民地化の橋頭堡になった、そして大陸侵略へと邁進する、といった発想は、あまりにも短絡しすぎるのではないでしょうか。

 最近、対馬の寺から盗まれた仏像が韓国に渡り、韓国の裁判所が返還を差し止める仮処分をしたというニュースがあります。中世に倭寇で朝鮮から強奪された可能性があるということらしいのです。

 倭寇による被害というのはあり得ることですが、その一方、当時日本の御家人、地頭といった階層が朝鮮で発達した印刷技術による大蔵経を寺院に喜捨するという需要がふえ、正規の貿易の上位をしめていたということもあります。

 仏像が強奪されたという証拠もなく、こんなところにも加害=日本、被害=朝鮮とするバターンが持ち込まれるようでは、両国の正常な関係を築くことが永久に不可能になってしまいます。やはり、どこかの時点で相互に理解しあうということが必要になります。

 途中で道を誤った。ならばどこでどの角で間違ったのかを探求し、反省すべき点を明らかにするというのが各国の歴史に対する正視の仕方ではないでしょうか。繰り返すようですが、2国関係を加害者と被害者に分け、それに反する見解や時間的経緯を切り捨てるというのは歴史ではありません。

 尖閣問題にかえりますが、日本が平穏裡に実効支配していたという事実は覆しようがありません。東亜侵略の一端として奪取した、というのは「加害・被害」の論理でしかでてきません。塾頭は、あんな小さな無人島の帰趨より、歴史を正しく認識するという国の基本的な姿勢が貫けるかどうかの方を重要視します。

 それだけに、領土としての位置づけさえ確保されれば、国際法上認められている大陸棚開発や漁業協定など、双方にとって最大の利益になるような共同体設立とか、共同利用協定など主権の一部委譲、制限などを盛り込んだ解決方法を考えるべきだと思います。

|

« 世界中大笑い | トップページ | 中国の核心的利益・線? »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

どうも危惧した通りで、歴史認識の問題となるといろいろすれ違いが起こりますね。人間は何かと図式的な枠組みに捕らわれやすいもので・・・
明治初期の砲艦外交がのちの大陸侵略につながる性質のものだったかどうかは、先だって私が例示申し上げた芝原拓自氏はじめ、多くの専門家が半世紀来論じている問題ですね。私としては「短絡的」と一蹴して済むことではないと考えています。ともあれそのことと昨今の尖閣問題や盗難仏像問題などは、ストレートに結びつく問題ではありません。
私とて単純に「被害者・加害者」図式を日韓・日中関係のあらゆる問題すべてに適用せよ、などと主張しているわけではありませんし、韓国や中国にそうした図式を現在の諸問題まで無制限に拡大しようとする意図があるのではないか、という塾頭様(のみならず恐らく日本の多くの人々)の危惧も理解できないではありません。仏像問題などは、私も正直なところ韓国の地裁当局の判断はやり過ぎではないかと感じます。明治期の砲艦外交はさておき、国民国家時代の遙か以前の倭寇の責任まで問われるいわれはないですからね。
似たような問題は他にも探せばいろいろあるわけですが、だからといってそれが日韓関係を御破算にするような問題とも思われないですね。韓国人だって一部の狂信的な人々はともかく、多くの人はそんなことを考えちゃいない。本音レベルで現実感覚に長けた人は案外多いですよ。個々の問題ごとに関係各局同士で是々非々に対応していくまでのことだと思います。すべてをひっくるめて先方を強請りタカリ呼ばわりするような姿勢で臨むなら、それこそ相互理解など永遠に不可能でしょう。その点、日本側にも猛省を促したい人々が昨今少なからず見受けられるのが残念です。

投稿: ちどり | 2013年3月22日 (金) 01時20分

ちどり さま

日清戦争前から日韓併合まで、これはひどいなと思ったのが閔妃暗殺ですが、大院君を始め宮廷内の権力闘争もこれまたまたひどい。

塾頭は、「こりゃあ朝鮮にも責任があるな」と感じた所以です。それでも伊藤博文は、日韓併合に消極的でした。彼の暗殺は双方にとってマイナスだったという評価ではなく、犯人安重根は韓国の英雄になりました。

ちどり さまには「猫に小判」(あっ、ネコではありませんでした。失礼!!)ですが、他の方もおられますのでそのあたりを書いた記事「朝鮮・韓国1~23」のご案内です。

◆右サイドバーにあるカテゴリ「INDEX」に題名があります。そこから、リンクで順を追って見ていただけます。そこで愚見のほどを知っていただけたら幸甚です。

投稿: ましま | 2013年3月22日 (金) 11時21分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/50875703

この記事へのトラックバック一覧です: 尖閣&仏像盗難:

« 世界中大笑い | トップページ | 中国の核心的利益・線? »