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2013年1月29日 (火)

反省してない原子力村

 原子力規制員会の有識者調査団が敦賀原直下に活断層がある可能性が高いという報告書原案を出した。
 本文に入る前に「有識者○○」の多い事、とても覚えきれない。本塾の関心事である「集団的自衛権」などについて、安倍首相が外交・安全保障に絡む「安倍カラー」の政策検討に向けて近く三つの有識者会議を設置する方針だ。

 検討するのは、(1)国家安全保障会議(日本版NSC)の創設(2)集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直し(3)政府の歴史認識に関する新たな首相談話、の3課題だという。このほかにどれだけ「有識者○○」があるのか検索を試みた。

今後の治水対策のあり方に関する有識者会議
皇室典範に関する有識者会議
政府情報システム刷新有識者会議
電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議
経済社会構造に関する有識者会議
共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議
更生保護のあり方を考える有識者会議
公文書管理の在り方等に関する有識者会議
地域の元気創造有識者会議
クール・ジャパン 官民有識者会議
…………まだまだ続く
行政減量・効率化有識者会議. (※現在は活動を停止しています)

 そうでしょう。政治家には「知識」とか「常識」のない人が多分多いのだ。そういった「会議」に頼るのは、責任逃れや権威づけ、また役人依存をしないという口実にもなるのだろう。一番の効用は、我田引水の報告を引き出せることかも知れない。「行政減量・効率化有識者会議」が「現在は活動を停止しています」(HP)というのには笑ってしまう。

さて、本題は毎日新聞(1/29)の引用から。

 原子力規制委の有識者調査団が示した報告書案は、事業者側が可能性を否定できなければ「活断層」とみなす。これまで電力会社は活断層と断定できる明確な証拠がない限り、危険性は事実上ないとし、国も容認した。しかし、2年前の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を教訓に、安全側に立った判断を行い、立証責任を事業者に求めるという方針転換を図っている。

(中略)こうした変化に、事業者は反発を強める。ある電力会社関係者は「一点のくもりもないことはあり得ない。技術を否定するもので到底受け入れがたい」と憤る。

 名前は伏せてあるが、最後の事業者発言は断じて許せない。「一点のくもり」があれば、事業を停止するか、撤収するのが良識であり国民の義務でもある。福島第一では、貞観地震による津波など「一点のくもり」を軽視したため事故を引き起こし、住民を塗炭の苦しみに落とし入れたではないか。原子力村の不感症ぶりには、あきれてものが言えない。「憤る」のはこっちの方だ。

 なお、原発の安全性について専門家にチェックを依頼するのは当然だ。上述の各省庁で検討すれば済むようなこととは性格が違う。ただし、政治家の丸投げは許されない。専門家でない政治家であっても、自衛隊の文民統制同様、最後は自ら決断を下さなければならない。

 たとえ文系の出身者であろうと、判断に必要と思えば理解できるまで意見を聞きまた勉強すべきだ。そして複数の意見のどれが正しいかを見極める。それが「政治」の基本であり、できないようなら政治家から降りてもらうしかないだろう。

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コメント

私のブログにも書きましたが、私には国や有識者など原発規制関係者は、いつの間にか緊急を要する「津波対策」を「活断層対策」にすり替えてしまったとしか思えないのです。
マスコミも津波の話しは皆無になって「活断層」の話しばかりで、わたしには解せません。

投稿: 玉井人ひろた | 2013年1月31日 (木) 17時26分

そうなんですね。
「活断層がどうのこうの」の学術論争はどっちが正しいかに話が行ってしまう。

電力会社氏の「技術を否定するもの」は、そんな地震論争より「技術」という安全神話を信じなさい、ということで、政治家にはそれを見破る力、場合によれば直感でもいいから行使してほしいですね。

投稿: ましま | 2013年1月31日 (木) 20時30分

そういうセーフティーファクターの設定を私たち構造技師に一任しきれない”にほん”に問題があるのです。

つまり、起こった津波が10メートルの波なら、エンジニアチョイスとしての危険設定は最低基準が30メートルの高さの防波堤でなければ安全でない。

見つかった活断層が10万年前なら、エンジニアチョイスとしての危険設定は最低基準が30万年前以上古い活断層でなければ安全でない。

ーと、当然なる。

しかし、そういうセーフティーファクターの設定を私たち構造技師に一任しきれない”にほん”に問題があるのです。本村

投稿: 本村安彦 | 2013年1月31日 (木) 23時40分

名護市辺野古への移設計画に伴う環境影響評価書――などに一任してはいけません。

投稿: ましま | 2013年2月 1日 (金) 09時12分

当然、その問題も、国家や企業、魑魅魍魎らに属しないか、あるいは彼らと上下関係のない私た庶民技師に一任すれば「自然保護第一だから造れません」というセーフティーファクターの設定の決定を行うことになる。


しかし実際は、環境影響評価書の元になっている調査をおこなった企業のいち技師が国家や企業に属し、彼らと上下関係があるので国家の意思が強くなった調査結果となり誤った環境影響評価書となった。

そして国家や魑魅魍魎らに属し、彼らと上下関係のある者を市民団体がアドバイザーブレインまたは中心者としているからその誤った環境影響評価書を是認させられつつある。

しかし市民団体がその点をまったく気付かされていない。

そこに”にほん”のエンジニアリングチョイスの問題があるのです。本村

投稿: 本村安彦 | 2013年2月 1日 (金) 11時19分

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