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2012年12月24日 (月)

集団的自衛権は過去のもの

 前回の記事にあるように、今度選ばれた衆議院議員の78%が「集団的自衛権」の見直しが必要だとしている。そのうちどれくらい「集団的自衛権」について正しい知識をもっているのか疑がわしい。そのほとんどが、知らずにただ同調しているのではないか。
  
 安倍氏は以前からの持論だが、彼の論理は「固有の自衛権」も「集団的自衛権」も同じ自然権だ、とする佐瀬昌盛拓殖大学客員教授の著作『集団的自衛権』の受けうりらしく、豊下楢彦関西学院大法学部教授は、5年以上前にそれを「俗論」と論破している。

 内容を詳述する余裕はないが、国連の当初の案になかった「自衛権」が、常任理事国の拒否権を認めることにより、緊急事態の応急措置として個別の自衛権の存在を国連憲章51条に盛り込まれことになった。

 これに、アメリカがさらに「集団的自衛権」を加えるよう主張した。すなわち当時設立したばかりの米州機構(北米と中南米の反共機構)が、中小国に個別の自衛権が認められても対応する能力がないという理由で付け加えられたのである。

 したがって、すべてを自然権で一括する事には無理があり、自らの敵でない相手に対し自然に備わった交戦権があるとするためにには、多くの制約があってしかるべきとするのが定説である。塾頭も複数の著作でそれを確かめた。歴史修正主義を信奉する右派に多いが、独特の説をなす特定大学教授や研究者と称する少数意見を金科玉条とすることのないようにしてほしいものだ。

 その前に塾頭は、そもそも日本に「集団的自衛権」なるものが存在しないのではないか、という疑問を抱いたのでそれを発表しよう。日本の従来の政府見解は田中角栄内閣の時代1972年に出された「集団的自衛権は国際法上我が国も保有するが、憲法上それを行使できない」というものである。

 安倍氏らは、すぐ「日米安保条約」に結び付け、「公海上で米艦が攻撃された場合、自衛隊は援護活動もできない。これは禁治産者のような存在だ」と短絡させた。集団的自衛権の英文は”right of collective self-defense”でcollectiveは「集まった, 収集された;集合的」と訳される。

 日本語でも英語でも、多数の国が集まって小国の弱点をカバーする自衛の権利と読める。すなわち国連創設当時の米州機構や、ソ連の攻撃に備えたNATOがそういった権利を保有するというのはわかる。

 前述の安倍氏らの言っているのは、集団的自衛権ではなく2国間の「攻守同盟」で双務性を高めようというものである。国連憲章でいう「集団的自衛権」とは全く次元のちがうものだ。、そもそも日本がその権利を保有するということ自体に疑問がある。

 このような無理な解釈がまかり通った責任は、冷戦時代の米ソ2大国にある。ソ連はアフガン侵攻の際、これを使った。アメリカがビンラディンを使ってこれに対抗させたことはすでに知られている。アメリカはベトナムのサイゴン政権との条約で「集団的自衛権」があるとし、これを使った。

 それに巻き込まれたのが韓国である。米国が攻撃を受けているのだからとして「集団的自衛権」の行使を求められたのである。そのため32万人の兵力を派遣し、5千人以上の戦死者を出した。韓国は、北ベトナムから何ひとつ攻撃を受けたわけではない。あるとすれば、対立する北朝鮮と同じ共産国だからということしかない。

 このように米ソともダーティーな戦争に手をつけ、いずれも敗北としかいいようのない結果に終わった。そして現在、米ソの退潮と国連における途上国の発言力が高まっていることもある。若いはずの安倍氏が「集団的自衛権」の呪縛から逃れられないだけでなく、日本の指導者たるべき政治家やマスコミが、いつまでも冷戦時代の発想から抜けきれないでいるのが不思議でたまらない。

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コメント

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

政治家であるなら歴史に学んでほしいですね。

投稿: ていわ | 2012年12月24日 (月) 22時12分

ていわ さま

コメントを拝見し、思わず「ため息」がでました。どうして日本の政治はこんなにぐしゃ(愚者)っとなってしまったのでしょうか。今日、民主党の代表選があるそうですがあまり期待しないしないことにしました。

投稿: ましま | 2012年12月25日 (火) 08時33分

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