« あと6日で総選挙 | トップページ | ちょっと騒ぎ過ぎ »

2012年12月11日 (火)

中国の本気度

 クリントン米国務長官が中国の要人と会談した後、「中国の真意はどこにあるのでしょう」といった質問に対して「それは精神科医から聞いていただいた方がよさそう」と答えたというような挿話がある。多分、ハワイまでは中国の権益というったトンデモ発言があったのだろう。

 富坂聡『中国人民解放軍の内幕』文春新書では、中国解放軍の内部文書で総参謀部情報部内からの提案文献というものを明らかにしている。そこに尖閣諸島事件における軍事分野の対策としいて、次のような項目が記されているとしている。

①<まず初期段階として、尖閣諸島を含む東シナ海の海域で、陸海空の三軍合同の大規模演習を実施する>

②<一千トン級以上の大型漁政船(中国農業部所属の漁業監視船)、大型海監船(中国交通運輸部所属の海洋調査船)を継続して尖閣諸島海域に派遣し、これに海軍の軍艦を同行させる>

③<チャンスを見計らい、海軍陸戦隊と特殊部隊を釣魚島(中国側の呼称)に上陸させる。尖閣諸島に我が国の主権が及んでいることを、実力によって世界に向け宣言することの意義は、極めて大きい。

 ただし、上陸作戦は軍事的見地から短期である必要がある。島に上陸後、周辺諸島への主権を宣言すると同時に、主権を示す碑を打ち立てる。そしてしばらく島にとどまったら、その後は迅速に撤収する>

 なんとも驚き入った主戦論だが、これがそのままそ採用される可能性はまずない。第一、このような詳細な戦術が㊙文書とはいえ、日本の取材陣が閲覧できるような状態に置かれていること自体が意識的なリークではないかと疑われる。

 だからといって、根も葉もないガセネタではなく、このような提案がされる状況があることは、その他の発言や動向から見て否定できないようだ。ただ、前掲書が繰り返し説くように、北朝鮮のような先軍主義や軍事独裁体制ではなく、解放軍は複雑な形での文民統制下にある。

 かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」といった。その伝統を負っている巨大な解放軍の組織は、今や中国内部で社会的・経済的に動かしがたい権益の根を張っている。それをどうコントロールしていくか、胡錦濤のあとを継ぐ習党総書記、党軍事委員会主席の手腕が問われるところだが、常任委員会など他の幹部の動向も注意深く見行く必要があるだろう。

 ひるがえって、日本では安倍自民党などが改憲の上「軍」を作りたがっているが、「軍」の属性として次のことだけ忘れないようにしてほしい。

①軍は最大の官僚組織であり、飛びぬけて昇進するためには「軍功」つまり手柄をあげることしかない。戦争がなければそのチャンスもないので、どうしても「戦争」心待ちに傾く。

②軍人にとっては軍事予算獲得が生命である。特に陸・海・空などの部門ごとの配分競争はどこでも熾烈を極める。総枠を増やすためには、仮想敵国との比較や国際間の危機意識を煽ることが、いつの場合も有効な手段となる。

③武器には高性能が要求されることから、その購入・更新・価格等に利権がついて回ることが多い。

④こうして手に入れた兵器・武器は実戦で試してみたくなるのが人情。

|

« あと6日で総選挙 | トップページ | ちょっと騒ぎ過ぎ »

安保」カテゴリの記事

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/48286632

この記事へのトラックバック一覧です: 中国の本気度:

« あと6日で総選挙 | トップページ | ちょっと騒ぎ過ぎ »