« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »

2012年12月

2012年12月30日 (日)

安保世論の混迷

 新聞の世論調査はあまりあてにしない方だが、毎日新聞が内閣支持率と共に9条改正と、集団的自衛権についての質問をしている(記事は28日付)。その前に選挙前に調査してあった衆院議員候補者への同様のアンケートを当選者で集計し直しているので、それを加えて一覧表にしてみた(単位%)。
        9条改正    集団的自衛権
       (賛成)(反対) (賛成)(反対)
――――――――――――――――――
国民(男)   49   47      45     35
   (女)   28   55        18     37
 (合計)    36   52        28     37
衆院議員       72      21        78      -

 すでにいろいろの指摘はあるが、9条改正賛成が衆院議員では72%と3分の2に達しようという勢いだが、国民の方は36%とその半分にすぎず反対が過半数を超えている。選挙結果が民意を正しく反映していないことは明白である。

 書き込みで「護憲論者は絶滅品種だ」と書いてきた人がいるが、なかなかそうでもない。もうひとつ、大きな特徴が見て取れる。9条も集団的自衛権も、自民党・維新などの意見に同調するのは男性がやや多く、女性はその半数近くで意見の逆転現象がみられるという点である。

 これは何を意味するのか、政党が争点として掘り下げや議論を避けたこと、マスコミもそれに合わせて無視しがちで、国民の関心が向かなかったこともありそうだ。次の参院選をどう戦うか各党の戦略が問われるところだろう。また毎日新聞には、こういった調査が「えらぼーと」企画同様、継続追跡できるようにお願いしておきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月29日 (土)

大正・昭和・平成

 下は永井荷風『葛飾土産』の中にある一文。これに何も付け加えることはないし、またそうすべきでもない。時代をどう感じ、過去から未来にどう思いを託すか。引用ではうかがうことのできない文豪の片りんも、著作権存続がないおかげでそのまま紹介ができる。ただそれだけである。

 わたしくの若い時分、明治三十年頃にはわれわれはまだ林檎もバナナも桜の実も、口にしたことが稀であった。むかしから東京の人が口にし馴れた果物は、西瓜、真桑瓜、柿、桃、葡萄、梨、栗、枇杷、蜜柑のたぐいに過ぎなかった。梨に二十世紀、桃に白桃水蜜桃ができ、葡萄や覆盆子(いちご)に見事な改良種の現れたのは、いずれも大正以後であろう。

 大正の時代は今日よりして当時を回顧すれば、日本の生活の最豊富な時であった。一時の盛大はやがて風雲の気を醸し、遂に今日の衰亡を招ぐに終わった。われわれが再びバナナやパインアップルを貧(むさぼ)り食うことのできるのはいつの日であろう。この時代をつくるわれわれの子孫といえども、果たしてよく前の世のわれわれのように廉価を以て山海の美味に飽くことができるだろうか。

    昭和廿二年十月

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月27日 (木)

天皇と沖縄と政治

 やや旧聞に属するが19日、天皇は誕生日を前に記者会見をおこなった。新聞は機械的にその中味を簡単に伝えただけだが、時期が時期だけに、やや「政治」に踏み込んだというか、片足をかけたような印象を持ったので、宮内庁のサイトから発言内容を確かめてみた。

 沖縄は,いろいろな問題で苦労が多いことと察しています。その苦労があるだけに日本全体の人が,皆で沖縄の人々の苦労をしている面を考えていくということが大事ではないかと思っています。地上戦であれだけ大勢の人々が亡くなったことはほかの地域ではないわけです。そのことなども,段々時がたつと忘れられていくということが心配されます。やはり,これまでの戦争で沖縄の人々の被った災難というものは,日本人全体で分かち合うということが大切ではないかと思っています。

 11月に皇后と訪れた沖縄の印象についての質問に答えるかたちとなっている。その前に、東日本大震災の復旧の遅れや、放射能の下での過酷な労働条件や過疎豪雪地帯の老人援護などにふれた部分がある。

 折からの解散総選挙にこのような視点からの政策提言、ことに沖縄については、各党の公約から皆無と言っていいほど欠け落ちていた。前述の天皇発言はまさにそこをついた「政治的発言」に聞こえた。さらにその前段に公務軽減に対してこのような発言がある。

天皇の務めには日本国憲法によって定められた国事行為のほかに,天皇の象徴という立場から見て,公的に関わることがふさわしいと考えられる象徴的な行為という務めがあると考えられます。毎年出席している全国植樹祭や日本学士院授賞式などがそれに当たります。

 問題は「公的に関わることがふさわしいと考えられる象徴的な行為」という、天皇発言にしてはきわめて抽象的な言いまわしである。全国植樹祭や日本学士院授賞式を例に挙げているが、もっとも当たり障りのないものを挙げたもので、被災地訪問や沖縄訪問が公的なのか私的なのか線引きが難しい。

 すっかり忘れていたが、ブログ内検索をしていたら、天皇発言の政治的な意味について昨年も天皇の誕生日に際してのコメントを記事にしていた。その発言要旨を再現する。
「平成天皇の立ち位置」(2011年12月23日)
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-9c06.html

今年は先の戦争が始まって70年になります。この戦争における死者はおびただしい数に上り、戦後、こうした戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう、日本の人々は、真摯(しんし)に過去を学びつつ、戦後の厳しい困難に耐え、営々と国づくりに励み、今日の日本を築き上げました。戦争の記憶が薄れようとしている今日、皆が日本がたどった歴史を繰り返し学び、平和に思いを致すことは極めて重要なことと思います。

 今年の発言と合わせ、天皇としては踏み込める精いっぱいの政治的発言ではないか。昭和天皇は1947年9月20日、マッカーサーの政治顧問ウィリアム・J・シーボルトに、沖縄の将来についての見解を伝達。密使の寺崎英成を介して、昭和天皇は、米ソの対立の激化を考慮して、アメリカが沖縄本島をはじめとする琉球諸島の軍事占領を99年間、続けるように提案しことがわかっている。

 新憲法が発効した後で、あきらかに憲法に違反している。研究者のなかには「これこそ天皇の戦争責任をのがれるための保身であり、沖縄の切り捨てを試みたもの」という評価をするものが少なくないが塾頭は逆の考えを持っている。

 昭和天皇は、終戦の決断とこの行動の2回にわたるルール破りをした。それが激動時代の天皇がとるべき責務として意識していたのだと思う。今は信じる人が少ないだろうが、当時ソ連からの直接侵略(中国は国・共内戦時代でその能力はない)より、国内のゼネストなどによる「人民政府樹立」がまことしやかにささやかれていた時代だ。

 占領軍が任務終了で沖縄から引き揚げれば、たちどころに人民政府が樹立され、日本国と別の政体が根付くことになるだろう。現に北欧では続々とそういった事態が進行しソビエト連邦に編入された。

 これでは、日本国の再分割につながる。ドイツや朝鮮・ベトナムがたどるような国家分断の悲劇をさけるために、昭和天皇があえて禁をおかしたと見るべきだろう。昭和史の長い天皇語録を見てもその方が矛盾がない。また、後継の明仁天皇がその遺志を継いでいると見るのが、2年続いた誕生日メッセージの真意ではないかと想像する。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2012年12月25日 (火)

海江田新代表に思う&追記

 「参院選で議員を増やすことが難しくとも、せめて減り方をできるだけ少なくする……」記者会見でこんな要旨の決意表明をしたようだが、なんと気弱な、と思ってしまう。

 たとえそうであっても「増やしてみせます」と強い態度を持ち続けて、ようやくその程度にとどまることができる。経済のベテランとしてアベノミクスへの批判を強めていくそうだが、国民は景気の回復を願って変化を求めているのだ。経済や金融政策論争をしてもどちらが正しいなどわからない。

 馬淵候補と違って、外交・原発など安倍政権との違いに言及し、野党として追及する姿勢を示した。しかし、触れる程度にとどまり具体的な中身はない。また、憲法・安保問題はついに耳にすることがきなかった。

 当塾が懸念するように、これでは改憲阻止勢力を結集するのは難しそうだ。当面公明党に期待し、維新の会などの瓦解を待つしかないのかなあというところか。天気予報ではこの冬寒波が続く。海江田がだめでも夏の参院選に向けて細野、菅、輿石、長妻、生方あたりのヒートアップに期待したい。

 追記 海江田代表は、25日夜のNHK番組で連携相手として維新の会・みんなをあげた。参院選では選挙協力も、というありさまだ。衆院選では敵対政党として両党と戦ったのではないか。

 全く何を考えているのかわからない。これでは民主党を支持政党からはずすことも視野に入れなくてはならない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月24日 (月)

集団的自衛権は過去のもの

 前回の記事にあるように、今度選ばれた衆議院議員の78%が「集団的自衛権」の見直しが必要だとしている。そのうちどれくらい「集団的自衛権」について正しい知識をもっているのか疑がわしい。そのほとんどが、知らずにただ同調しているのではないか。
  
 安倍氏は以前からの持論だが、彼の論理は「固有の自衛権」も「集団的自衛権」も同じ自然権だ、とする佐瀬昌盛拓殖大学客員教授の著作『集団的自衛権』の受けうりらしく、豊下楢彦関西学院大法学部教授は、5年以上前にそれを「俗論」と論破している。

 内容を詳述する余裕はないが、国連の当初の案になかった「自衛権」が、常任理事国の拒否権を認めることにより、緊急事態の応急措置として個別の自衛権の存在を国連憲章51条に盛り込まれことになった。

 これに、アメリカがさらに「集団的自衛権」を加えるよう主張した。すなわち当時設立したばかりの米州機構(北米と中南米の反共機構)が、中小国に個別の自衛権が認められても対応する能力がないという理由で付け加えられたのである。

 したがって、すべてを自然権で一括する事には無理があり、自らの敵でない相手に対し自然に備わった交戦権があるとするためにには、多くの制約があってしかるべきとするのが定説である。塾頭も複数の著作でそれを確かめた。歴史修正主義を信奉する右派に多いが、独特の説をなす特定大学教授や研究者と称する少数意見を金科玉条とすることのないようにしてほしいものだ。

 その前に塾頭は、そもそも日本に「集団的自衛権」なるものが存在しないのではないか、という疑問を抱いたのでそれを発表しよう。日本の従来の政府見解は田中角栄内閣の時代1972年に出された「集団的自衛権は国際法上我が国も保有するが、憲法上それを行使できない」というものである。

 安倍氏らは、すぐ「日米安保条約」に結び付け、「公海上で米艦が攻撃された場合、自衛隊は援護活動もできない。これは禁治産者のような存在だ」と短絡させた。集団的自衛権の英文は”right of collective self-defense”でcollectiveは「集まった, 収集された;集合的」と訳される。

 日本語でも英語でも、多数の国が集まって小国の弱点をカバーする自衛の権利と読める。すなわち国連創設当時の米州機構や、ソ連の攻撃に備えたNATOがそういった権利を保有するというのはわかる。

 前述の安倍氏らの言っているのは、集団的自衛権ではなく2国間の「攻守同盟」で双務性を高めようというものである。国連憲章でいう「集団的自衛権」とは全く次元のちがうものだ。、そもそも日本がその権利を保有するということ自体に疑問がある。

 このような無理な解釈がまかり通った責任は、冷戦時代の米ソ2大国にある。ソ連はアフガン侵攻の際、これを使った。アメリカがビンラディンを使ってこれに対抗させたことはすでに知られている。アメリカはベトナムのサイゴン政権との条約で「集団的自衛権」があるとし、これを使った。

 それに巻き込まれたのが韓国である。米国が攻撃を受けているのだからとして「集団的自衛権」の行使を求められたのである。そのため32万人の兵力を派遣し、5千人以上の戦死者を出した。韓国は、北ベトナムから何ひとつ攻撃を受けたわけではない。あるとすれば、対立する北朝鮮と同じ共産国だからということしかない。

 このように米ソともダーティーな戦争に手をつけ、いずれも敗北としかいいようのない結果に終わった。そして現在、米ソの退潮と国連における途上国の発言力が高まっていることもある。若いはずの安倍氏が「集団的自衛権」の呪縛から逃れられないだけでなく、日本の指導者たるべき政治家やマスコミが、いつまでも冷戦時代の発想から抜けきれないでいるのが不思議でたまらない。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2012年12月22日 (土)

9条、瀕死ですよ!

 当塾では総選挙前の12月8日に、「候補者アンケートに注目」という記事を毎日新聞調査の数字をもとにして書いた。同紙が選挙後の18日、当選者を対象に再集計したところ、次のように憲法9条も集団的自衛権も崖から半分落ちかかっていることがわかった。

 まず、憲法改正そのものだが、衆院議員の91%にあたる429人が改正に賛成。反対は32人、7%に過ぎない。9条に限って見ると賛成342人72%、反対は100人で21%、残り7%は「その他」である。「改憲は賛成」、「9条は反対」の差は公明党の「論憲」の存在が大きいのだ。

 当塾は、自民党改憲案に対して9条1、2項を補強する3項を対抗上提起すべきだという主張をしているので、改憲反対とはいえないが、当面は「公明党さま、さま」である。この際、池田名誉会長の志を死守していただきたい。

 それに対して100%護憲の本家である共・社は国民のためどう役に立っているのか、今まで通りの運動を続ければいいというなら、選挙の結果はすでに出ている。このまま衰退の一途から逃れられないだろう。

 民主党は9条改正反対が63%いる。たった35人程度だが社共よりは多い。党を割る覚悟で彼らが先頭に立たなければ、平和を念願し日本が戦争する国にしたくない国民は、どこに投票をしたらいいのかが本当にわからなくなる。

 すでに「集団的自衛権見直し派」が78%に達している。この方は政府見解の見直しだから簡単で、衆議院は過半数どころか3分の2超の勢力である。自民党が93%、維新の会100%、みんなの党83%がその主なもので、民主党は「見直す必要がない」45%と、これも9条擁護同様「見直し派」39%をわずかに上回った。

 この見直しは事実上9条改憲の土台となるもので、自民が公明党を切り捨てれば、いとも簡単に改憲への道すじが現出する。残された護憲抵抗線は参院しかないのだ。当塾は17日に「負け組は解党して出直せ」という記事を書いたが、民主党は野田代表の後継に名乗り出るものがなく、有力者は些細な理由をつけて尻込みしている。全く救いようのない醜態だ(その後海江田万里氏がというニュース)。

 一方、かつて戦争の片棒を担いで反省もしたはずのマスコミも「だんまり」を決め込んでいる。「国民が決めたこと」には弱いマスコミの性癖はあるだろう。しかし「決めたこと」と「望んでいること」の違いは総力をあげて解明すべきだし、そのための情報や解説・論評を活発にしなければならない。

 事態は思った以上に深刻である。マスコミ各社にその用意があるかどうか、今のところ疑問とせざるを得ない。 

| | コメント (23) | トラックバック (3)

2012年12月20日 (木)

不気味な都市伝説

 古代マヤ文明の暦に基づく世界の終末がいよいよ明日(21日)に迫ったということで、中国では騒ぎがひろがっているらしく、それを先導する者約1000人が拘束など処分を受けているという。

 「開けてないなあ」と笑い飛ばすのは簡単だが、塾頭は小学生のころ「赤マント」という得体の知れない怪物が、学校のトイレに現れ、子供の血を吸うという都市伝説がはやったことを思い出した。

 先週はどこどこの小学校に現れ、昨日はどこどこ、いよいよここに近づいてきた。現れるのは明日かも知れない、などのうわさがまことしやかに伝播した。塾頭はその翌年転校しているので、昭和14年のことだということがはっきり言える。

 日本軍は中国で釘づけになったまま、ソ連やアメリカとも対立が激化し、インフレが進行する一方「国民精神総動員」などで窮乏生活をしいられ、国民の「もやもや」感が鬱積していた時期だ。

 この2年後に太平洋戦争に火がついた。幕末、「空からお札が降ってきた。今日はここ、昨日はどこで……」などの風説が広がり、「いいじゃないか」で乱舞するお伊勢参り(今でいえばデモ行進だ)で街道が溢れた、という事実がある。

 こういった一種の都市伝説は、なにか大きな社会変動の前兆のような気がしないでもない。中国の太平天国、朝鮮の東学党の乱など、社会を変革するきっかけの源泉に、なにがしかの信仰や口コミによる伝説が作用していたことは疑えない。

 中国政府が警戒をあらわにする理由がそこあるのだ。そういった意味からしても「都市伝説」などといって一笑にふせないものがあるような気がする。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2012年12月18日 (火)

暴力は人間の本性か 2

 前回予告した通り、「毎日新聞」(12/12/16朝刊)に載った京都大教授・山極寿一氏のコラム”:「暴力で平和維持」の誤解”を紹介します。それだけなら同紙電子版にリンクを張れば済むことですが、人類の歴史に関する目新しい知見が含まれており、いずれネットから消されても塾の教材として使えるよう、紹介文としました。

 氏は最初に、このたびEUがノーベル平和賞を受けたことと、3年前にオバマ米大統領が同じ平和賞を受賞したことについて、力の信奉者であることに変わりなく不当であると主張します。たしかにEUに加盟している各国はボスニア紛争やアフガン戦争などに派兵しています。

 理屈を言うようですが、これはNATOや有志国の一員として参加しているので、EUに責任があるわけではありません。また、オバマのアフガン撤兵も完成しておらず、アルカイダやイランを敵視した政策が続いていることも事実です。

 この点、塾頭とは考えが違います。ノーベル平和賞は他の科学・技術などの貢献に対する賞と違って、平和に向けた長い過程の中で、有意義な行為があったことを奨励する目的で与えられるものだと思います。

 ことに、欧州共同体発足の前に欧州一体化を望む数世紀にわたる歴史があり、戦争を起こす根を絶とうとした発足当時のことは、すでに歴史として風化しかねないところもあります。その点、経済危機に見舞われているこの機に受賞を決めた意義はあると思います。

 つづいて本論に入ります。「人類は長い進化の歴史の中で狩猟者として成功し、獲物を捕らえるために用いた武器を人間へ向けることによって戦いの幕を開けた。戦うことは人間の本性であり、社会の秩序は戦いによって作られてきた」とする考え方が紹介されます。

 これは、南アフリカで人類の古い化石を発見したレイモンド・ダートによって第二次世界大戦後に提唱されました。ところがその後明らかになった科学的事実は、この考えとは全く違うことがわかりました。

 人類は狩猟者ではなく、つい最近まで肉食獣に狩られる存在だったということです。人間に近縁な霊長類が群れを作る理由は、食物を効率よく採集するためと、捕食者から身を守るためということがわかってきたのです。ダートが主張した人類化石の頭骨についた傷は、人類によるものではなく、ヒョウに殺された痕だと判明したのです。

 ゴリラは、オス同士の衝突で力の弱いメスや子どもが仲裁をするのだそうです。決して力で屈服を強いているとはいえません。人間が同種の仲間に武器を向けたのは約1万年前に農耕が始まってからのようです。

 日本でも縄文時代は平和で武器を持って争うことはなかったとされています。これは、人類の進化700万年のごく最近のことに過ぎないわけで、戦争が人間の本性などとはとても言えないと氏は指摘します。

 そして、戦争が政治と切っても切れない関係があることについて、「人間の仲間を思いやる気持ちと、仲間のために尽くしたいと思う強い願望なのである。戦争という手段はその意識を高め、仲間の結束を促すからこそ政治の格好の手段となる」と分析しました。

 そして氏は最後を次のように締めくくりました。

 今、日本では近隣諸国とのトラブル防止のために武力増強が必要との声が高まりつつある。アメリカの強大な武力を傘にしなければ国土を守れないという声も強まっている。しかし、人間以外の動物は同種の仲間の争いを力で抑えたりはしない。ベトナム、イラク、アフガンなどアメリカの武力介入を受け入れた諸国が幸福になった例はない。日本が武力を強めていく将来に私は強く異を唱えたい。世界はそろそろ暴力とは別の手段を採用して紛争を解決すべきなのだ。現代の科学による正しい人間の理解がその先鞭(せんべん)をつける必要がある。これからの日本の政治はその範となることができると私は信じている。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2012年12月17日 (月)

暴力は人間の本性か 1

  14日に発生した児童20人を含む26人が死亡した米東部コネティカット州ニュータウンの小学校乱射事件の追悼集会が16日、現地の高校で行われた。オバマ大統領もかけつけ、「このようなことが起きないよう、われわれは考えを変えなくてはならない」と述べた。

 大統領はこのような事件が起きる都度追悼集会に首席し、再発防止をアピールしてきた。しかし、銃規制に対する共和党支持者を中心とする反対者、強力な政治力を持つライフル協会、銃所持の自由を支える憲法の存在などの壁に阻まれている。(写真:アメリカの銃安売りのチラシ=期間、時間限定とはまるで日本のスーパー食料品なみ)

Dscf3745  この衝撃的事件の波紋は規制に向けてひろがり、賛否の対立はオバマの願いに有利な方向に向く可能性がある。前にも触れたことがあるが、アメリカの開拓魂は、独立戦争、南北戦争、征服と開拓の戦いの中から生まれ、個人の自由と自己責任による安全確保の信念は強く、国民皆保険制度でさえ拒否反応が見られる。「暴力は暴力だけがこれを防ぎ得る」、オバマはこの壁を突破することが果しで出来るか?。

 前置きが長くなったが、次回は京都大教授・山極寿一氏による「毎日新聞」(12/12/16朝刊)コラム”:「暴力で平和維持」の誤解”を紹介しよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

負け組は解党して出直せ

 いやー、ひどい負けっぷりだ。当塾も「身投げ解散」だとか「歴史的惨敗」という言葉を記事で使ってきたが、よもやここまでとは思わなかった。こうなったら思い切って「負けっぷり」をよくすべきだ。民主党の野田代表、早々と辞任を申し出た。

 当然のことながら”立派”と言っておこう。そもそもこの責任の遠因は党分裂にある。その片割れである小沢一郎も同志を50人以上失い6分の1の党にしてしまったのだから当然辞任?、あっもう辞任していたのだっけ。それならば当選したばかりの議員を辞職するしかない。

 「こわし屋」としてこれ以上のこわし方はない。権力に抵抗する姿勢は買っていたが、そのすべも自らが招いた策謀でなくしたのだから、もはや復活の目はないだろう。もうひとり辞職必至の候補がいる。社民党の福島瑞穂だ。ここも衆院半減以下というひどい有様になった。本塾が解党的出直しを主張してからもう何年たつだろうか。

 以上3党は党首が辞任した程度ではおっつかないほどの負けっぷりだ。民主党も連立を組むどころかパーシャル連合するにも相手がいなくなった。早い話、どこからもお呼びがかからないということだ。

 こうなったら、野田後継候補は、脱原発・憲法9条維持・安保見直しを訴える中道左派と、第2自民を進路とする保守回帰をねらう右派が立って雌雄を競い、再分裂または解党に向かうべきだ。そして右傾化に対抗できる新勢力を参院選までに立ち上げる、それしかないだろう。

 あれだけ候補者を立てて、かろうじて1減で抑えられた共産党も負けは負け。解党的出直しをすべきだ。公明党の真似をしろとは言わないが、共通の支持基盤をもちながら、これだけの差がついたことに指導者の責任がないとは言えない。しかし、戦前からの伝統がよりどころの同党には、所詮無理というもの。

 社民党も共産党も、自公だけで改憲の発議ができるようになった、あるいは公明が反対してとしても維新・みんな・その他の改憲勢力があれば可能になるという現実をどうとらえるのか、聞きたいものだ。日本の右傾化の責任は左派にもあるという自覚が必要だ。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2012年12月14日 (金)

わが庵は……

わが庵(いほ)は 都のたつみ しかぞすむ
     世をうぢ山と 人はいふなり

                  【古今和歌集】

Photo 《解釈》私の庵は都の東南にあって、このように(平穏に)暮らしてい
 る。(それなのに)、世を憂いて逃れ住んでいる宇治(憂し)山だと、
 人は言っているようだ。

 ちなみに、我が家は、都のうしとら(憂しとら)、しもうさ(しも憂さ)の国である。隣の市では、高放射能焼却灰の置き場がなく、いまだに困っている。平穏に暮らせるのはいつの日か、まだ時間がかかりそう。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年12月12日 (水)

ちょっと騒ぎ過ぎ

 北朝鮮の弾道ミサイル発射の件だ。イージス艦やPAC3の緊急配備、森本防衛大臣の制服姿。まあこれは、ちょうどいい機会だから実地訓練を、という解釈もできるが、石垣島あたりを巻き込んで今にも空から何かが落ちてきそうな大騒ぎがまたもや繰り返された。

 発射時期が北朝鮮の金正日の年忌がどうのこうの、金正恩の権威がどうのとメディアでは勝手読みの氾濫が続いた。さらに、不具合が生じ延期という報道に振り回され、その都度国を挙げての大騒ぎ。

 北朝鮮にとってこの大騒ぎも、衛星打ち上げに並ぶ「成功」だとほくそ笑んでいるに違いない。日本では、さらに制裁強化だとか安保理決議違反だとかいって息巻いている。

 「衛星打ち上げ成功おめでとう」といっとけばいいところ、どうしてこんなに騒ぐのか不思議でたまらない。宇宙の平和利用はどの国にも認められている権利である。それが問題視されるのは、核爆弾や大量破壊兵器を搭載した大陸間弾道弾としての使い道があるからだ。

 それに危険を感じる国は、ミサイルが到達するアメリカやロシア・EUなどであっても日本ではない。間違って破片が落ちてくる?、そんな話は今まで聞いたことがない。それを撃ち落とすなどという不可能に近い芸当もまた滑稽だ。

 本当に危険なのは、日本を射程に入れた中距離弾道弾で、すでに200発以上が配備されているという。同様に中国にも瀋陽など日本に近いいくつかの基地に中距離弾道ミサイルの配備が済んでいる。

 危険なのはこっちの方だ。どうして政府もマスコミもこれを問題にしないのか。本来はこういった事をとりあげて国民的議論にしなければならないのになぜか不問に付されている。北朝鮮のミサイル発射の大騒ぎともに全くふしぎなことである。

| | コメント (5) | トラックバック (1)

2012年12月11日 (火)

中国の本気度

 クリントン米国務長官が中国の要人と会談した後、「中国の真意はどこにあるのでしょう」といった質問に対して「それは精神科医から聞いていただいた方がよさそう」と答えたというような挿話がある。多分、ハワイまでは中国の権益というったトンデモ発言があったのだろう。

 富坂聡『中国人民解放軍の内幕』文春新書では、中国解放軍の内部文書で総参謀部情報部内からの提案文献というものを明らかにしている。そこに尖閣諸島事件における軍事分野の対策としいて、次のような項目が記されているとしている。

①<まず初期段階として、尖閣諸島を含む東シナ海の海域で、陸海空の三軍合同の大規模演習を実施する>

②<一千トン級以上の大型漁政船(中国農業部所属の漁業監視船)、大型海監船(中国交通運輸部所属の海洋調査船)を継続して尖閣諸島海域に派遣し、これに海軍の軍艦を同行させる>

③<チャンスを見計らい、海軍陸戦隊と特殊部隊を釣魚島(中国側の呼称)に上陸させる。尖閣諸島に我が国の主権が及んでいることを、実力によって世界に向け宣言することの意義は、極めて大きい。

 ただし、上陸作戦は軍事的見地から短期である必要がある。島に上陸後、周辺諸島への主権を宣言すると同時に、主権を示す碑を打ち立てる。そしてしばらく島にとどまったら、その後は迅速に撤収する>

 なんとも驚き入った主戦論だが、これがそのままそ採用される可能性はまずない。第一、このような詳細な戦術が㊙文書とはいえ、日本の取材陣が閲覧できるような状態に置かれていること自体が意識的なリークではないかと疑われる。

 だからといって、根も葉もないガセネタではなく、このような提案がされる状況があることは、その他の発言や動向から見て否定できないようだ。ただ、前掲書が繰り返し説くように、北朝鮮のような先軍主義や軍事独裁体制ではなく、解放軍は複雑な形での文民統制下にある。

 かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」といった。その伝統を負っている巨大な解放軍の組織は、今や中国内部で社会的・経済的に動かしがたい権益の根を張っている。それをどうコントロールしていくか、胡錦濤のあとを継ぐ習党総書記、党軍事委員会主席の手腕が問われるところだが、常任委員会など他の幹部の動向も注意深く見行く必要があるだろう。

 ひるがえって、日本では安倍自民党などが改憲の上「軍」を作りたがっているが、「軍」の属性として次のことだけ忘れないようにしてほしい。

①軍は最大の官僚組織であり、飛びぬけて昇進するためには「軍功」つまり手柄をあげることしかない。戦争がなければそのチャンスもないので、どうしても「戦争」心待ちに傾く。

②軍人にとっては軍事予算獲得が生命である。特に陸・海・空などの部門ごとの配分競争はどこでも熾烈を極める。総枠を増やすためには、仮想敵国との比較や国際間の危機意識を煽ることが、いつの場合も有効な手段となる。

③武器には高性能が要求されることから、その購入・更新・価格等に利権がついて回ることが多い。

④こうして手に入れた兵器・武器は実戦で試してみたくなるのが人情。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月10日 (月)

あと6日で総選挙

   あと6日で総選挙。不公平で憲法違反とされる選挙。12もあるけど投票したい党が見当たらない選挙。どうせ投票しても何も変わらない選挙……。おまけに暮れの忙しい時期を選んだ今回の選挙は、投票率低下を加速させるに違いありません。

 Dscf3737_3 うっとうしい選挙です。それでも、「原発をゼロにしたくない人」、「9条を変えて自衛隊を軍にし、アメリカと共同して敵地で戦争したい人」「中国・朝鮮と意地を張り合い、憎しみを増したい人」「強い人はますます強く、弱い人はおいてけぼりになっても仕方がないと思う人」以外は、気が進まないでしょうが投票所へ足をはこんでください。

 投票結果はあなたの意に反するかも知れません。仮に死票になってもその1票が見えない圧力となって効果を発揮することがあるはずです。まだあきらめるのは早いようです。

  いよいよ
 大悲大願はたのもしく
   往生は
    決定(けつじょう)と存じ候え

              [歎異抄]

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月 8日 (土)

候補者アンケートに注目

 8日付毎日新聞に同社恒例の立候補者アンケートの要約が発表された。その特徴を大見出しで次のように伝える。

  ◆ 保守先鋭化の自民
  ◆ 各党内目立つ不一致

 以下当塾と関連の深い安保関連項目について記録しておく。今日は太平洋戦争開戦の日に当たる。

      9条改正 集団的自衛権 普天間移転先
    ・賛成・反対 ・見直し・不要・ 辺野古・国外
――――――――――――――――――――――
民 主   18  67    27  62       56     14
自 民   90   5     92   5        89
未 来       28    60         35    50                41
公 明        4    94          11    89       52
維 新      85      8          94     3      79
共 産        0   100           0   100               90
みんな      82    16          85    12       81
社 民        0   100           0   100               90
 
・目立つのは、連立が予想される自公の間の憲法に対する姿勢がま反対なこと、および沖縄県民の民意を無視する各党候補の多いことである。特に顕著なのが自民、維新、みんなの3党である。

 なお各候補や政党別の詳細は、「毎日-ボートマッチ・えらぼーと」
http://mainichi.jp/ で見ることができる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年12月 6日 (木)

師走の色は逆光

Dscf3728_2 Dscf3729_2 Dscf3736 それぞれの画面をクリックするとやや芸術的になります。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年12月 4日 (火)

笹子の安全神話

 かつて、「飛行機?、あんなカネでできた重てえものが落ちてこねえわけがねえ」というのを枕に使った落語家がいた。笹子トンネルで天井板崩落という痛ましい事故が起きた。塾頭は土木・建築のことなど一切勉強したことはない。素人なりに感じた大きな疑問は、トンネル上部のコンクリートにアンカーボルトを打ち込んで重い天井板を吊り下げていたという構造だ。

 アンカーとは碇のことである。アンカーボルトは、コンクリートの基礎や床に柱とか機械などが動いたり倒れたりしないようにするための金具である。つまり船の「いかり」と同様な機能を持たせたもので、ナットを噛ませるために刻んであるギザギザだけで重量物を吊り下げるという使い方は、どうみても不自然だ。

 自然の摂理から見ても抜け落ちる危険性を考えるのが素人だ。設計施工をしたプロは構造力学や品質管理面から「抜け落ちることは想定外」だったのかも知れない。それを車に乗ったままの目視だとか、ハンマーなよる打音が頼りだというのでは危なくて仕方がない。このような構造を持つトンネルは誰もが納得できる構造に改めるべきだ。

 福島原発事故の時も、全電源喪失をプロは考えなかった。原発再稼働にあたり、「素人にはわからないので、原子力規制委員会のチェックに合格したものを――」といった政治家の責任逃れ発言をよく聞くが、これは間違っている。もちろんプロの説明や意見に耳を傾け、納得できるまで疑問点を追求しなければならない。

 その上で素人である政治家が判断するのが筋である。原発事故や戦争となると、トンネル事故とはけた違いの災禍をこうむる。こういった意味から、原発も「文民統制の原則」が適用されて当然なのではないか。

| | コメント (5) | トラックバック (2)

2012年12月 3日 (月)

結局民主党しかないか?

: つい2回前のエントリーなのに、撤回して主旨替えをする。ということは、時差ボケの中で突如あらわれた嘉田新党に過大な期待を持ってしまったからだ。「卒原発」は他党の「脱原発」にくらべ特段の新味がない。

 嘉田代表の発言にブレがあるのも弱い。飯田哲也という専門家がついているので、もっとましな策が示されるものと思っていた。その点、福島原発事故から2年に近い実務体験をし、その間右往左往したものの実務を体験している民主党の案の方が地についている。

 その他の政策提言も小沢一郎の枠をでるものがなく、「女性」や「生活」もいいが、安倍自民や日本維新の石原路線への対抗軸である「憲法」「安保」などに対する政策は全く示されなかった。これでは、「国民の生活が第一」の看板と広告塔を入れ替えただけと言われても仕方ない。

 当塾は過去何度かリベラル勢力が結集する必要性を示唆してきた。しかし一匹狼が多いせいか実現せず、野田体制のまま選挙に突入することになった。そして「どじょうの頭は左へ左へ」で書いたように、安倍自民との争点を明確化するのでなければ、歴史的惨敗必至と説いてきた。

 それが、十分満足とは言えないが、民主党の公約の中には次のような文言をちりばめてある。

憲法を活かし、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を徹底
専守防衛の原則に立ち、動的防衛力、南西重視など、防衛大綱にもとづいて着実に防衛力を整備します
日米地位協定の運用改善をさらにすすめる努力を行う 
・嘉手納基地以南の沖縄米軍基地の負担軽減

 公明党は、安倍自民と正面衝突するような政策表現を避けている。以上のようなことを明記する公約は、残念ながら社・共を除いて見当たらない。なにしろ、民主は前回のマニフェストが実行できず詫びを入れている党だ。「信用できるか」と言われればたしかに心もとない。

 明日、公示となる。以上を総合すると、塾頭のおすすめする投票行動は次のようなものだ。

・小選挙区で自民と競合し民主に当選の可能性がある候補がいる場合は民主に投票
・未来の党で当選圏に上がる候補があればその候補。公明は別として社・共の当選は無理か
・以上についても「毎日ボートマッチ」などで、個人の信条などをたしかめること
・比例を含め、戦前回帰を目指す安倍自民と石原日本維新の候補はとにかく外すこと

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2012年12月 2日 (日)

変化している中東

 年末の政変劇、ちゃんとした筋書はない。やたらに滑稽な衣装をまとった役者が次々現れ、出たとこ勝負のせりふで大見得を切る。とても鑑賞に堪えられるものではないが、本人たちは大まじめ、肩肘を張らずに見物すればそれなりに面白い。

 茶化してはいけないことはわかるが、日本の針路を左右する総選挙がこんなありさまなのだ。この嘆かわしい現実にメディアまで道化役を演ずるお粗末さ、そういったことにかまけている間に世界はどんどん変わっていく。そのひとつがオバマ1期目には重荷だった中東問題だ。

パレスチナ国連で国家扱いに
ニューヨーク【CNN】  国連総会は29日、パレスチナ自治政府の参加資格を「非加盟オブザーバー組織」から「非加盟オブザーバー国家」に格上げする決議案を賛成138、反対9、棄権41の賛成多数で採択した。採決では米国やイスラエルが反対し、ドイツは棄権した。

 あれっ?、パレスチナって国でなかったんだ……。そう、イギリスの植民地に住んでいたパレスチナ人を追い出し、ユダヤ人の国をつくってもいいというイギリスの約束がそもそもの始まりだ。パレスチナ人はヨルダン川西岸とガザ地区に逃げ込んだ。

 それから半世紀にわたる抗争。いろいろあったけれど、もうパレスチナも国として認め平和共存の道を目指す時期にきていると思う。日本はアメリカの言いなりにならずフランスなどと賛成にまわったのはよかった。民主最後の?外交にしては大できだ。

アラブの春に異変
【カイロ共同】エジプトのモルシ大統領が出した強権的な改正憲法令に対する大規模な抗議デモ集会は11月30日、夜間に入っても続き、衛星テレビ、アルジャジーラによると、数万人がカイロ中心部のタハリール広場に集結した。多くの参加者が徹夜の座り込みを続けた。ロイター通信によると、デモはカイロ以外でも続き、同国北部の第2の都市アレクサンドリアでは30日夜に入って、大統領派と反モルシ派の衝突が発生した。

 大統領派というのは、イスラム原理主義・ムスリム同胞団を母体としている。ムバラークの独裁政権が倒れて選挙によって就任したのがモルシ大統領だ。数万人というデモの主体は、厳格なイスラム国家になるより、世俗主義の温存を望んでいるらしい。

 これは、アラブの春が世俗派独裁政治の打破、イスラム回帰への道をたどるという単純な予想に反するものだ。ムスリム同胞団というのは過激派であるとの誤解があるが、医療奉仕などを通じて一般民衆の支持を受けた穏健な団体だ。

 今回も反モルシ大統領デモに対抗して、同規模の大統領支持デモに発展しているようだが、その後双方の衝突を避けるため違う場所を選んだ模様。ただ、国境にかかわりなく活動するため、最近まで砲撃戦で多くの死傷者をだしたパレスチナ・ガザ地区にも浸透している。そのため、イスラエルやアメリカからは強く警戒されている。

 このデモ騒ぎがエジプトをどちらに向かわせることになるのか、それにより中東問題の今後に大きく影響することは確かだが、これまでのようなアメリカの陰謀論や石油利権をめぐっての介入論は成り立たたなくなるだろう。

 イスラエルへの心情的支持は続けるものの、シリアの混乱で見られるように、アメリカが国運を左右しかねないような、つまりイラクやアフガン派兵といった事態は再び起きないということだ。

 この度実感したことだが、自動車の国アメリカのエネルギー消費は日本の比ではなく、最近国内で開発に成功したシェール・ガス、オイルとの関連か燃料単価が下がっている。シェール・ガス等は、エネルギー自給に足りるほどの量があるとされ、今後、アメリカの中東への関心を薄めることになるだろう。

| | コメント (3) | トラックバック (1)

« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »