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2012年11月 2日 (金)

先制攻撃、つきあいますか 2

 去年の12月14日、米・共和党のブッシュ政権下で始まったイラク派兵は、オバマ大統領が米軍の完全撤収によりイラク戦争の終結を正式に宣言しました。来週後半には次の大統領が決まります。オバマ続投成るでしょうか。

 イラク戦争では下記のようなダメージを受けました。しかも、開戦の理由とされたイラクの大量破壊兵器保有は、結局虚偽の情報に基づくものだったことが判明しています。しかし、選挙戦や国民世論で「腰抜け」とか「強いアメリカ」という言葉はでてきても、戦争の反省が語られることはあまりないように見えます。

■イラク戦争の概要(2011年12月15日読売新聞による)
  犠牲者数 米兵(事故死なども含む) 4486人
         英兵             179人
         その他            137人
         イラク民間人    約11万1000人
  米軍戦費 8055億ドル (約62兆8300億円)

 2003年3月17日、ブッシュ大統領はイラクへの軍事行動を起こすため、演説の中で次のような最後通告をしました。(前掲書)

「われわれは行動を起こす。行動しないリスクの方が極めて大きいからだ。すべての自由な国家に危害を加えるイラクの力は、一年、あるいは五年後に何倍にもなるだろう。この力を得れば、サダム・フセインと彼のテロリスト連合は、最強となったときに破壊的な紛争の機会を得ることができる。この脅威が突然、われわれの空や都市を脅かす前に、われわれは今、脅威が発生する場所で、脅威に立て向かうことを選択する」

 前回の記事をご覧になっていない方があったら、是非さかのぼって見てください。1981年のイスラエルによるイラクの首都に近いオシラクへの空爆についての、同国の弁明です。なんと、まったく瓜二つですね。ブッシュはこれをまねたのでした。

 ブッシュはそれまで、国連安保理に「大量破壊兵器の武装解除」を要求する決議案を作らせようとしていました。イラクにしてみれば、存在しない武装を解除するわけにいきません。もともと、無理な話なのです。

 この決議案は、NATOで同盟国であるはずのフランスが拒否権を発動するということで実現しませんでした。そこで先制攻撃は自衛権の発動であるという、国連憲章の拡大解釈あるいは故意に曲解するような発案が幅を利かしたのです。

【参考】http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/2-2d4a.html
 
 さて、それが日本にどう関係があるのでしょうか。自民党・安倍総裁をはじめ全総裁候補が声をそろえていた「集団的自衛権行使容認論」です。「公海上でアメリカの軍艦が攻撃を受けているのに日本の自衛艦は見ているだけで何もしないでもよいのか」というものです。

 もっともらしく聞こえますが、集団的自衛(権)ではなく、これでは集団的自衛(義務)になってしまいますね。もともと国連憲章の定める個別の自衛権と「集団的自衛権」とは、別個の概念から生まれたものです。

 その後幾多の事例の中で、加盟国が勝手に解釈するようになり、だんだん同じもののような扱いを受けるようになりました。安倍氏などの考えもその線を走っています。何が決定的に危険なのかというと、アメリカのような先制攻撃を肯定するような国と同盟を結んでいるからです。

 アメリカがその論理を振り回せば、対敵国も同じ権利を持つということになります。以前に書いたことがありますが、日本国憲法は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という、国連中心主義に立脚した内容になっています。

 「集団的自衛権容認論」は、小泉政権が自衛隊をイラクに派遣したようなことをもっと大胆に考えようということで、憲法9条をなし崩しにする危険性が目に見えています。極端にいうと、日本はこれからさき国連主義で行くのか、ブッシュ・ドクトリンで行くのかの選択を迫られているといってもいいでしょう。

 アメリカが望むのは、同盟国ならアメリカが負担する人命と軍事費をもっと肩代わりしてくれ、ということです。日本にとって「真の国益」とは何か。アメリカにも良識派はいます。もう政治家だけに任せてはおけない、そう思いませんか?。

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