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2012年10月 5日 (金)

養ひ飼ふ物には

 散歩を日課とする塾頭。遊歩道のある公園に行くと犬を連れた人の多いこと、それも最近は小型犬2、3匹というのが相場で圧倒している。手ぶらで歩くのは、何か気恥ずかしいほどである。そこで、今回は吉田兼好『徒然草』からの借用。

 養ひ飼ふ物には馬牛。繋ぎ苦しむるこそいたましけれど、なくてはかなはぬ物なれば、いかがはせん。犬は、守り防ぐつとめ、人にも勝りたれば、必ずあるべし。されど、家毎にある物なれば、殊更に求め飼はずともありなん。

 その外の鳥獣、すべて用なきものなり。走る獣は、檻にこめくさりをさされ、飛ぶ鳥は、翼を切り、籠に入れられて、雲を恋ひ、野山を思ふ愁止む時なし。その思我が身にあたりて忍び難くは、心あらん人、これを楽しまんや。

 生を苦しめて、目を喜ばしむるは、桀紂*(けつ、ちゅう)が心なり。王子猷(ゆう)が鳥を愛せし、林に楽しぶを見て、逍遥の友としき。捕へ苦しめたるにはあらず。凡そ「珍しき禽(とり)、怪しき獣、国に育(やしな)はず」とこそ、文にも侍るなれ。(*桀紂=残虐で国を滅ぼした中国の王) 

 当時は政治が不安定で、南北朝の政権交代をめぐり京都争奪戦に明け暮れしていたはずだが、貴族の多く住むあたりは、現在に似てペットブームだったのだろうか。世の中物騒だったとみえ、番犬の効用だけは認めている。

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