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2012年10月 3日 (水)

反戦は嫌戦と違う、だが好戦とは戦う

 今日の毎日新聞のオピニオン面、投書などが載るページだが塾頭にとって非常に刺激的なものがあった。いずれも尖閣諸島など領土問題に関連するものだ。まず、ブリュッセル支局斎藤義彦記者による「記者の目」である。タイトルは「欧州から見た領土問題――日中韓は共同体作り目指せ」である。

 当塾には「東アジア共同体」というカテゴリがある。民主党のマニフェストに明記され、鳩山首相の演説にもあって、「ようやく日本もここまできたか」と感激して追加増設したものである。しかしマスコミをはじめ、この問題はほとんど無視といっていいほど冷淡な扱いを受け、まともな議論すらなかった。

 それがようやく、一記者とはいえ新聞に意見として乗るようになったのは進歩だといえる。もうひとつが「領有権の主張を凍結しては」という70歳の女性の投書である。この方は南極条約を例に挙げているが、竹島・尖閣がどの国の領土でもないという解決は、資源利益利益などを共有したとしても無理があり問題をあとに残すことになろう。

 さらにもう1件は、59歳女性の「中国デモに戦争の恐怖覚えた」である。その最後に「私は万が一でも戦争と引き換えにする領土など欲しいと思ってはならないと思う」とある。

 これらを見て塾頭が感じたことのひとつは、竹島、尖閣が区別されていないこと、特に尖閣が中国の理不尽な言い分で尖閣の実効支配を奪取しようとしている事態が、内外に正しく理解されていないことである。その点の政府の矛盾ある態度について、本塾はたびたび指摘してきた。言いたいことを言わないで真の解決も友好も生まれるはずがない。

 今回痛感したのは、標題で見る通りそのことではない。「反戦は嫌戦と違う、だが好戦とは戦う」という塾の基本姿勢が世の理解から遠いのではないか、という点である。

 上記の2番目の投書主は、安倍晋三とほぼ同世代の戦争を知らない世代であるが片や好戦的、片や嫌戦的に見えてしまうのはなぜだろう。いずれも「戦後」の影響は多分にあるものの「戦争に対する実感は遠いのだ」と思ってしまう。

「反戦」がウリの塾頭も、当然その生まれ故郷は「嫌戦」である。そして、そんな戦争にどうしてなってしまったんだろう、避けられなかったのはなぜかで人生のほとんどを過ごしてしまった。

 その中で、嫌戦だけでは戦争は避けられないということが、東西の歴史を見る中でわかってきた。どうかすると強者に合わせようとする態度が逆に戦線を拡大し、被支配者となるか第3国の介入により民族分断の憂き目を見る実例も知った。

 欧州共同体は、30年、100年と戦乱が続き、第1次、2次の大戦による人民の大きな犠牲ががあり、レジスタンスの伝統が生み出した知恵である。決して軟弱な嫌戦だけが生みだしたものではない。

 その一方で、偏狭で好戦的ナショナリズムには法規制さえ厭わないという抑制力も働いている。中国の最近の拡張主義、軍事的恫喝はそれらから見ると明らかに世界でも一周遅れで、先進国の仲間入りの資格が疑われることになるだろう。

 嫌戦も好戦も、歴史に学んでない、という点で共通する。日本政府は「冷静に、毅然として」とよくいうが、どこまでそれらのことをわきまえているか甚だ疑問、というより、すっぽ抜けているというのが本当ではないか。

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コメント

 世界の平和と秩序を護るには

拙著「応用神学」より,結論部分をご紹介させてください。

 世界の全宗教が,「応用神学チェーン」のブランドの中でないと生き残れなくなる。
 世界の全政権が,日本の天皇の認証無しには,民衆の反乱に立ち向かえなくなる。
 世界の全企業が,日本の信用保証無しには経営できなくなる。
と言うことに成れば,別に日本は国連の安全保障常任理事国になんぞならなくてもよいのではないだろうか。
 しかし,衛星からでも,何処からでも良いが,核・化学・生物・通常兵器,麻薬,病原菌,食料,水,大気,土地利用,地下資源利用,情報の管理・監視がないと矢張り駄目ではないかと思われる。物理的な監視体制と,不都合な事への実力による阻止体制が無いと,世界の平和と秩序は護られないであろう。徳川家康が幕府を開いた時に日本全国に敷いた監視体制を,今度は全地球に敷かなくてはなるまい。
 何となれば,世界には日本の憲法9条は存在せず,国連憲章に,そういう条項を付け加える提案を日本がしても,恐らく唯の一カ国の賛成も得ることはできないであろうし,いかな応用神学といえども,そこまでの抑止力は保証しては居らないから。

「弥勒魁」補遺
 アイスランドの例があるではないかと言われそうだが,あれは米軍基地があったからできたことです。
 さりとて,独自核武装ですか?
 強力なニュートロンビームだか,ニュートリノビームだかを照射して全世界の核兵器を使用不能にしてしまおうという話があったようですが,原発100基分の電力が要るとかで沙汰やみになったようです。
 アイデアが出てくればそういう研究はやった方が良いとは思いますが。
 現在のところ名案は無いようです。皆様,ふるって頭を働かせてください。

投稿: 弥勒魁 | 2012年10月 5日 (金) 18時08分

弥勒魁 さま
飛躍しすぎていてついていけません。本塾記事と直接関連しない書き込みは、今後なるべくご遠慮くださるようお願いします。

投稿: ましま | 2012年10月 5日 (金) 20時18分

嫌戦にしても好戦にしても歴史を学んでいないという点は、その通りかもしれませんが、言い方を変えれば、どちらも単なる平和ボケであるとすれば、反戦というのは、この平和ボケを乗り越え、戦争に巻き込まれないようにするという考え方になるのでは無いでしょうか。
日本で言えば、嫌戦というのは、左翼的な護憲派ということになれば、好戦派というのは、これに対する跳ね返りの右翼でしか無いと言うのが真実では無いかと見れば、反戦派からみれば、同じ平和ボケでも、極めてタチの悪い平和ボケでしか無いし、これこそが全人類からすれば、とんだ迷惑な存在でしか無いし、極めて厄介な害毒としか言い様が無いというのは何とも皮肉なことですよね。
中国で言えば、一部の反日活動家と変わり無いと見れば、「親イスラエルのふりをした反イスラエル」と同じ様に見えてしまいますよね。
だとすれば、反戦派からすれば、嫌戦派については、このまま、そっと静かに暮らして頂けるのなら、邪魔な存在では無い分けだし、共に幸せに暮らして行くことが出来る社会に変えて行くことが出来れば、それで良いだけのことですが、好戦派と言われる跳ね返りの平和ボケに対しては、それこそ、幾らでも騙されたふりをして、場合によっては日本から追い出しても構わないのだし、中国にでも追い出せば、騙されたふりをして、反日感情をぶつけて、中国の反日活動家とコテンパに共倒れでもさせて、そのまま見捨てられることになっても自明のことでしか無いし、アメリカにでも追い出せば、それこそ悪徳ペンタゴンの奴隷にでもなって、幾らでも馬鹿にされ、コテンパに痛みつけられ、何処か人目のつかないところで、特攻隊でもやらせるのなら、「どうぞ、幾らでも勝手にやって、勝手に無駄死になって下さい」とでも言ってあげれば良いのだし、そのまま見捨てられてしまえば、そっと静かに滅びて行くことになれば、これこそが、「お国のため、天皇陛下のため」になることになるとすれば、もう何とも皮肉なことですが、自明のことでしか無いと思うと、致し方無いことなのかも知れません。
そうでなければ、日本から出て行かなくても、次第に雲散無消して行くことになるしか無いわけだし、こうした偏狭なナショナリズムこそ、幾らでも堕落させて行くことで、何処か人目のつかないところで、そっと静かに幸せに暮らして下さい、とでも言ってあげる様にすれば、それが何よりのことでは無いでしょうか。

投稿: asa | 2012年10月11日 (木) 19時21分

的確な言いかえで補強していただきありがとうございました。

毎日「反戦」でおつむを奪われていると当たり前のことを当たり前に言えなくなってしまいます。

これは一種の「反戦症候群」で、違う角度からの解説、貴重です。

投稿: ましま | 2012年10月12日 (金) 21時10分

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