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2012年7月25日 (水)

オスプレイの謎2つ

 オスプレイには謎が2つある。ひとつは日本国民が墜落事故だけをおそれて運用反対をとなえているのだろうか、2つ目は、中国や北朝鮮の脅威に備える抑止力になるのだろうか、という点である。

 まずこの1年、世相が大きく変わったことを実感せざるを得ない。国民が学者や専門家、政府や官僚の言うことをまるで信用しなくなったことと、人任せにせずできるだけ自分で調べて判断するようになったことである。

 1年前、これほど原発運転再開のデモに多くの人が自主参加することが考えられただろうか。新聞やメディアが専門的知識や原発の安全性を詳細かつ繰り返し伝えるようになったことも大きい。むしろ、一部専門家の言うことは「怪しい」と疑うのがいつしか通り相場になった。

 これは福島事故の収穫のひとつといっていいだろう。オスプレイ配備反対運動も似た経緯をたどりつつある。国内に配備される兵器の種類をあげ、その危険性を専門的立場からTVで解説するようになったのは、クラスター爆弾以来である。それに引きかえ、護憲勢力の中には、「自衛隊」とか「兵器・装備」など口にするだけで穢らわしい、というような現実逃避の風潮があったが、それでは何も解決しない。

 森本防衛大臣もたびたびTVに登場する。前のコメンテーター時代と違って発言が揺れ動き、目がどことなくうつろで、核心をついた質問には目が泳ぐ。庶民は専門知識がなくてもそれ見ただけで危なさを察知するのだ。もと自衛官のキャリアはかえって逆効果になった。

 最初のテーマに戻ろう。沖縄の普天間基地配属が危険であることはいうまでもない。ここにはかつてヘリコプターが近くの学校に墜落した前科がある。オスプレイの回転翼が何かの理由で大地に接触すると、その破片が操縦士など兵員を直撃しないよう外側に飛散させる機能を持っている。

 たとえ基地内に墜落しても周辺地区に破片がばらまかれるという始末に負えないものだ。だから、海中にV字型滑走路を計画した辺野古が最善でしょ、というふざけた結論になる。岩国をはじめ全国的に反対の火の手があかったのは、単に墜落の危険性だけではないと思う。

 日本全国をなめつくすように低空飛行訓練を年に300何十回もする。市街地をさけ山林上空ということだが、騒音被害で動物の生態系に影響を与え、墜落すれば手におえない山火事の原因になる。アメリカ本土での訓練に反対がでているのに、なぜ日本ならいいのか疑問は当然でてくる。

 オスプレイは、ここへきてようやく日米同盟の偏頗な関係をえぐり出し、沖縄基地問題を本土の問題として共有するようにした功績者と言えるのではないか。

 もう一つの疑問、オスプレイ配備と訓練の目的である。政府筋などから流されている単純な理由は次のようなものである。「中国の軍備増強・脅威に対処し、航続距離が長く、沖縄から北京・上海などまで飛べて大量の軍事物資や海兵隊の精鋭を送りこむことができるから、抑止力になる」。

 中国には対空砲火、ミサイルなどがなく、沿岸警備の陸海空軍もないような話である。オスプレーが低空飛行ができヘリよりスピードが出るといっても、ポータブルの地対空ミサイルがあれば簡単に撃ち落とされるのではないか。

 昔、上陸用舟艇で敵地に殴り込みをかけたような海兵隊の任務はなくなってきており、アメリカでも兵員削減の対象になっている。その任務も、海外における邦人救出や自然災害出動に移りつつあるという。

 また、沖縄在任兵力も中国に近すぎ、攻撃を受けた場合の被害を最小にする目的で減員し移動することになっている。このように「学べば学ぶにつけ」ますます「抑止力」には程遠いのに、「沖縄」「海兵隊」「オスプレイ」の3点セットになると「抑止力」になる不思議さ。

 その不思議さを生み出す3点セットを掲げておこう。アメリカにとって、基地経費が米国内に置くより費用を分担してくれる日本に置くのが財政上得策のこと。オスプレー製造は巨大に雇用を生んでおり、日本で実験を重ね将来有力な輸出兵器にする。

 一方日本では、圧倒的な兵器・兵力で世界へのにらみを維持するアメリカとの同盟関係を深化(片思いかもしれない)させることで、虎の威を借りるのが外交上最善のメリットである。というものであろう。

 なお、塾頭の考えでは、森林地帯の低空飛行というと、ベトナム戦争が想起される。べトコン追い出しのための枯葉作戦、住民の機銃掃射とい不名誉な戦いだ。中国では奥地以外にそんなところはないし、各種ミサイル製造能力のある国で成功するはずはない。

 唯一考えられるのは、中・台開戦直後の台湾東岸であるが、沖縄は当然中国からの反撃を覚悟しなければならない。こういった想定外のことでも訓練を怠らないようにしないと予算が取れないのが軍隊というものであろう。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

ヘリと飛行機のキメラであるオスプレイですが存在自体にスペースシャトルと同じ種類の問題点がありそうですよ。
事故が発生した時に不時着出来る機能が備わっていない可能性が高いのです。この事実は森本防衛大臣も認めているが、それでも安全だと言い張る矛盾。
これはロケットと飛行機のキメラであるスペースシャトルとまったく同じ欠陥です。
飛行機にもロケットにも乗員を守る脱出装置があるがスペースシャトルは無い。
スペースシャトルもオスプレイもアイデアとしては素晴らしいのですが、根本的な弱点をカバー出来ない欠陥品。
ところが開発に何十年もかけ莫大な経費をかけたので今更『失敗でした』とは絶対にいえない。
アメリカの軍産複合体は日本の諫早湾埋め立ての無駄に大きい公共事業と同じ性格が有り撤退は許されない、オスプレイは事故を起こさないようにして運用実績を何とか出したいのです。

投稿: 宗純 | 2012年7月25日 (水) 13時53分

 スペースシャトル、そういえばそうですね。日本は、宇超開発も原発に莫大な経費を投ずるのも平和利用ではなく軍事技術向上とその輸出に隠された価値を認めているからだと言ってしまったらどうですかね。

 さらに究極の目的は、9条を世界に広めるのに役立たせるためだと。そうすれば、世界の先進国として指導権を発揮できるようになります。

投稿: ましま | 2012年7月25日 (水) 21時12分

かなり大騒ぎになっている事故ですが、完成してからの訓練飛行では2度しか事故は起きていないようで、それもパイロットがまだ不慣れだったことが要因のようですね。
その他の事故はまだ機体が完成しないテスト飛行ですから、運用中の事故とは分けて考えたほうがいいんじゃないでしょうかね。

事故が発生した時に不時着出来る機能は、防衛省が米軍から聞いてる範囲ではちゃんと装備されているそうで、ただそれを防衛相が確認できていないというのが真相のようで、物がアメリカの軍事機密にも触れることですから慎重に進められているようにも見えますが、違いますかね

投稿: 玉井人ひろた | 2012年7月26日 (木) 19時13分

原発のストレステストと同じでしきいをどこに置くかで安全度は変わると思います。本文に書きましたが、実際の墜落事故の危険性、兵器ですから民生用ヘリや飛行機より高いのは当然で基地が存在すればある程度の受忍はやむを得ません。

したがって、オスプレイの危険度というより、なぜ新たに不安をもたらす新兵器を住民の意向にかかわりなく(特に普天間)に置くことを決めたかということです。

そして、それが日本全土な関連することになることをあらためて気づかせた一方、沖縄反基地闘争をより強固にした点で、外交・防衛官僚の思惑を完全に裏切った結果をもたらしたように思えます。

前原さんはそのあたりの感覚を持っていそうだが森本さんはどうでしょうか。

投稿: ましま | 2012年7月26日 (木) 20時42分

田中宇の国際ニュース解説ではありませんが、そもそも、日本にとっては、あの福島第1原発事故は天災ではなく人災であり、中曽根大震災と言い換えても構わないし、その認識に立てば、もうこれ以上原発に頼ることなんか出来るはずも無いし、脱原発を選択する以外に道は無いのは当然のことですよね。
だが、そのためには原子力ムラと言われる利権共同体(アメリカで言えばペンタゴンを中心とする軍産複合体)を幾らでも崩壊させなければならないし、国内だけでなく、それこそアメリカから幾らでも揺さぶって頂く様にしても構わないし、まともな日本国民なら願っても無いことですよね。
オスプレイの配備ということについても、アメリカにしてみれば、騙されたふりをして、原発再稼働をさせた野田政権を揺さぶっていると推測することも出来る分けだし、これでは、日本の政治家ばかりでなく官僚機構をはじめとする権力側にいる連中というのは、アメリカの言いなりと言っておきながら、結局は自分達のことしか考えていないと見ると、全く、何処かの都知事の尖閣諸島の買取と何ら変わり無いと思うと、余りにも悲しいとしか言い様がありませんよね。
中国にしてみれば、騙されたふりをして幾らでも日本を揺さぶってくる事ぐらいは簡単に想像つきますが、日本が騙されたふりをすれば、こんなことをしたところで、中国にとって何の国益(核心的利益)にならないばかりでなく、アメリカにとってもたまったものでは無いし、どうせ韓国や北朝鮮からは日本が単なる間抜け国家だと幾らでも馬鹿にされても当然のことだと思えば、これをロシアとの北方領土問題をはじめとする外交交渉に幾らでも活かす方が、遥かに賢明なことだし、中国にしてみれば、これを南シナ海をはじめ南沙諸島等の交渉への良いお手本として示してあげることも出来るし、韓国や北朝鮮に対しても良いお手本に示してあげることも出来れば、これに越したことはございませんよね。
沖縄県民としては、騙されたふりをして、普天間基地へのオスプレイ配備に対して、日本政府に対して幾らでも怒りをぶつけて行けば良いのだし、沖縄県以外の日本国民としては、騙されたふりをして原発再稼働をさせた野田政権を幾らでも揺さぶり、原発利権共同体を中心とする推進勢力に対して、アメリカと共に、幾らでも怒りをぶつけて、崩壊させて行くしか無いし、これにしがみつくことしか出来ない連中と、単なる跳ね返りの右翼連中に対しては、その衝撃により、物凄い苦痛と悲しみにより、ワーワー泣き叫ぶことになるのは自明の事だし、ただ変な騒ぎでも引き起こす位なら、それこそ騙されたふりをして、幾らでも他国に追い出すための外交カードに利用することも致し方無いところはありますが、死ぬより辛いのなら、それこそ何処か人目のつかないところで、そっと静かに集団自殺でもさせてあげるしか無いことも止むを得ないところですが、これを乗り越え、痛みを分かち合うことで、皆で幾らでも身を縮めて、ただひっそりと生きて行くことで、自分の利益が他人の利益になることだけをすることで、稼げば稼ぐ程、幾らでもたくさんの税金や社会保険料を喜んで払ってあげることで、社会に恩返し出来ることだけを誇りとして、変な見栄を張る様な強欲な富裕層に対しては幾らでも白い目で見てやりながら、皆で喜んで節電に協力し、無駄な消費も抑制し、使い回しできるものは幾らでも使い回しする等して、廃棄物を減らしながら、資源や食糧等の輸入を幾らでも減らし、経済規模を縮小させることで、日本は世界の中でただひっそりとした国となっても構わないのだし、国内社会は、もう幾らでもひっそりと静まり返り、変な騒ぎも無く、犯罪やトラブルも減ることで、悪いことは一切起きることなく、幸せに暮らして行くことが出来れば、もう此れ程喜ばしいことは無いし、世界に対しても、これだけを誇りとすることが出来れば、此れ程素晴らしいことは無いし、何も言うことは無いし、それで良いのでは無いかと、つくづく感じるところではありますが?

投稿: asa | 2012年7月26日 (木) 22時34分

元祖、だまされたふりをしたのが中曽根康弘。だましたのがアイゼンハワー大統領。だまされなかったのがアインシュタイン博士と湯川秀樹博士。だまされたのは手塚治虫。

ようやくわかってきました。

投稿: ましま | 2012年7月27日 (金) 06時37分

オスプレイですが調べれば調べるほど謎が増える不思議な代物です。
産経がオスプレイの事故率は低いとの米軍ヨイショ記事を7月24日に書いているのですが、その中でもオスプレイの事故率は、今までのタンデムローターの大型ヘリCH46チヌークの2倍もある。
産経紙が事故率が一番高いとしているのが海兵隊の垂直離着陸機のハリヤー戦闘機ですが、これは沖縄どころか日本には配備する動きはまったく有りません。
昨日のNHKニュースで産経が強調した低い事故率は死亡事故限定の数字であり、オスプレイの事故率が最多で一番危険であるあることを暴露している。
ただし、このNHKニュースの検索は『国際ニュース一覧』にさり気無く、目立たない様にあるだけ。
海兵隊の報道部は、『程度の軽い事故の割合は確かに高いが、この2年で起きた事故の72%は操縦など人為的なミスが原因で、オスプレイに設計上の問題はなく、安全性の高い航空機だと確信している』と言い訳しているが、
海兵隊自身がオスプレイの操縦性の困難さ、を認めているのですよ。
今問題になっている低空飛行訓練ですが、これまでも戦闘機では行って数々の事故や問題を引き起こしていたが、オスプレイの代替機である大型輸送ヘリCH-47チヌークでは行ってはいない。何とも不思議な話ですね。

投稿: 宗純 | 2012年7月27日 (金) 10時40分

アメリカは結局開き直ってくるのではないでしょうか。「危険性のない軍用機などない」「訓練は他国でやる」「日米同盟はどうするの?」」と。

来年まで持つかどうかわからない政府に無理を押し付けるには限界があるし、アメリカも選挙や国内問題も山積。辛抱強くお相手している余裕はなさそうです。

TPPも「勝手にしなさい」と突き放すのではないでしょうか。

投稿: ましま | 2012年7月27日 (金) 13時24分

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