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2012年7月17日 (火)

野田政権、安保で自民と裏取引か

 7月10日付で「どじょうの頭は右へ右へ」という記事を書いた。「国家戦略会議フロンティア分科会」なる諮問委員会の報告に関連し、そこでは、女性宮家創設の動きに対して述べた。いまひとつ、本塾にとってより重要な集団的自衛権解釈変更を目論む動きについては留保しておいた。

 今回は、それを取り上げる。これについては、7月4日に自民党・石破元防衛大臣が同党の集団的自衛権を前提にした「国家安全保障基本法案(概要)」を発表し、そのわずか2日あとの6日に上記の分科会報告がでたことに留意したい。

 タイミングそのものは、偶然かも知れない。しかし、大新聞として唯一(と思う)読売新聞が16日になって分科会報告を社説に取り上げた。それを見ていると、どうも標題のようなことがあったように読めてしまうのだ。

 その最初に「日本は集団的自衛権を保有しているが、行使はできない――。この奇妙で、問題の多い政府の憲法解釈を見直すべきだという考え方は今や、多くの有識者の共通認識である」と、言っている。

 「多くの有識者」というのは、上記会議のメンバーであり、その結論を待ちかねていた読売新聞の論説記者で、決して国民世論とはいえないだろう。そして続ける。「今回の提言が、やや低調だった憲法解釈の見直し論議を活発化させたことを評価したい。」

 これも奇妙だ。報告のあと1週間、もっと議論するべきだと思っていたが他のマスメディアは概して冷ややかで(それでは困るのだが)、読売だけがはしゃいでいるように見える。そして、以下が核心部分だ。

 提言に素早く反応したのが野田首相だ。国会答弁で、「政府内の議論も詰めたい」「集団的自衛権の一部を必要最小限度の自衛権に含むというのは、一つの考えだ」と語り、集団的自衛権の行使容認に前向きな姿勢を示した。

 首相は、「行使容認」が持論だが、昨年9月の就任後は「現段階で解釈変更は考えていない」と繰り返していた。首相が持論の“封印”を解いた意義は大きい。(中略)野田首相が政治決断するための機は熟したとも言えよう。

 「やや低調だった憲法解釈」がトントン拍子で進んだのは、消費税と社会保障の一体改革で民・自が急接近するなかで、野田首相の撒き餌のひとつだったのではないかと疑わせる、読売新聞の正直な書きぶりではある。

 しかし、読売新聞の期待通りには進まない。自民党にとって最大難関は公明党だ。消費増税には、創価学会の反発が強く、選挙戦略の見直しまでささやかれている。護憲・平和志向は池田氏による学会の金字塔、合意はより困難だろう。

 また、民主党にも問題がある。小沢新党に抜けたメンバー以外にも護憲・リベラルをとなえる中間派が少なくない。鳩山グループとともに脱・野田派がでれば、もう自民の軍門に降り合同しかなくなるのではないか。ただ、それ以外の新党グループが解釈改憲へなだれ込んでくる危険ははらんでいる。

 「脱原発」とともに最大級の警戒をおこたってはならない。

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