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2012年6月14日 (木)

海洋拡張主義中国の内情

 今日(14日)の毎日新聞・金子秀敏のコラムに見逃せない記事があるので紹介しておく。尖閣諸島は、東京都知事の島買収介入とか中国大使の憂慮発言などで関心を持たれ続けている。一方、中国は南シナ海ではフィリピンやベトナム沿岸に近い島嶼の領有権を主張し、実効支配のためさまざまな実力を駆使して構造物を作るなど、両国の激しい反発を受けている。

 この場合も、中国側に国際的に支持されるような論拠があるとは思えず、大国による露骨な拡張主義にほかならないと思っていた。中国の近代史には、そのような拡張主義の被害をまともに受け、それに抵抗・否定してきた輝かしい歴史が存在するはずだ。

 中国は歴史を重んじる国である。その中国が資本主義的手法を取り入れてから手のひらを返すように様変わりし、良識を捨てたというのも考えにくい。中国側の本音がどこにあるのか、一般報道ではなかなか見えてこないが、記事はそのあたりを香港誌を引いて次のように伝えている。

(前略)いままた米国のオバマ大統領がアジア太平洋地域に米軍を回帰させると言った。追い風を受けたフィリピンは強気になった。海軍艦艇が4月、スカボロー礁で操業中の中国漁船を臨検した。

 中国の漁業監視船などが何隻も南シナ海を巡航している。一斉に救援に駆けつけ漁船を取り返した。

 中国側の強硬な対応も目立った。香港誌「争鳴」6月号によると、この事件の直後、武力行使を主張する郭伯雄・党中央軍事委副主席、陳炳徳・総参謀長の一派と、外交解決を主張する徐才厚・軍事委副主席、梁光烈国防相の一派に軍が割れた。結局、習近平国家副主席を長とする「国家海域工作領導小組」を作って対応していくことになった。郭副主席が訪日を突然キャンセルしたのはそのころだ。

 いまのところ外交派が優勢らしい。だが、主戦派はトウ小平の「争いを棚上げし共同開発する」政策を時代遅れと批判しているという。

 石原知事がアメリカのとある講演会で思わせぶりな予告をした上、尖閣のいくつかの島を所有者から買収すると宣言した。中国を「支那」といいたがる石原のことを中国はよく知っている。例の幼稚なパフォーマンスだが、郭さん陳さんは飛び上がって喜んだだろう。

 中国の強硬派は「これで対等に実効支配の競争ができる」と思ったかも知れない。政府は100年以上も実効支配しているので「領土問題は存在しない」という立場である。石原はわざわざアメリカまで行って領土問題にしてしまったわけだ。

 長年にわたって一民間人が所有し、平穏静謐に国に賃貸し、税金も払ってきた。その実績が実効支配そのままの証明であり、中国もそれを認めている。所有者がいらなくなったのなら、もとの国有地にもどすのが順当で、ことさら強硬上陸を試み、旗などを立てる必要はどこにもない。領海侵犯を見張る海上自衛隊の厳重な監視だけで十分だ。

 それにあえて波風をたてようという、日本の右翼と中国の強硬派軍部は、もしかして盟友関係にあるのではないかと思ってしまう。

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