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2012年5月27日 (日)

不信列島・日本

 政府の言うことは信用できない、官憲も信用できない、お役人もマスコミも信用できない、電力会社の数字はでたらめ……。アフリカのどっかの国でない、わが日本なのだ。これほどひどい「不信感」が世を覆ったことが過去にあっただろうか。

 「絆」などといって震災罹災者と連帯する姿が見られたのはほんのわずかだった。信用できる権威、権力がどこにもない。その傾向は民主党政権の公約裏切り、無能に始まっていたが、震災が一挙にそれを加速させた。

 ここで、マスコミのセンセーショナリズムに加担して「不信」を煽り立てる気は全くない。東電の社員や末端の役人は給料を減らされても歯をくいしばって国民のために膏血をしぼっている。すこしは彼らを信用しようではないか。

 国民は権威・権力しか持つことのできないデータ・情報を頼りにするしかない。なにも信用しなければ日々の生活にも影響する。原発が安全かどうかや国家財政と予算執行の中味がどうかは彼らの感覚と数字に頼らざるを得ないものが少なくない。

 それらを信用をしないで、どうしていい仕事をしてもらえるか考えた方がいい。また、民間情報だから正しいと決めつけるのは一方的になりがちで、参考にするのはいいがそれだけに頼るのは大変危険だ。

 例を一つ上げておこう。「がれき」分散処理に対する反対運動だ。放射能を持ち込まれては困る、それらは地元で処理すべきだという論理だ。膨大ながれきが復興の妨げになっていることはたびたび報道されてきて、早期の解消が求められていた。

 地元焼却場は被災していて復旧増設したとしても3年以内に処理することは無理で、各地処理場での分散処理に期待するしかなかった。最近の報道に出てくる反対運動は、群馬県桐生と福岡県北九州だ。

 不思議に思うのは、搬出地の宮城県や岩手県が津波の大被害を受けたものの、放射能汚染地域でないことだ。焼却処理をすれば灰に放射物質が濃縮されるのは当然だしそこから周辺より高い放射能が検出されることはあるだろう。

 しかし、がれきを受け入れなくても結果はさして違いない。なぜならば自然界に存在する放射能が震災前の1988年の放射線医学研究所のデータによると、都道府県別で福岡県が全国第6位の1.10msv/年、宮城県は38位の0.94msv/年、群馬県は39位の0.92msv/年だ。

今日のデータ(文科省)を見ると大気中線量が桐生で0.047μsv、石巻が0.059μsvとなっている。つまり福島原発の直接影響は両地区ともほとんどないに等しい。それをかたくなに拒否しデモまでして妨害する理由は何だろう。

 被災者に冷酷な地元エゴを別にすると、行政の放射能測定や許容基準に対する不信、運搬費用加算や業者に対する利権への疑惑などである。ちょっと無理筋だが要は行政に対する不信である。これらは明らかに行き過ぎであろう。

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石油・エネルギー」カテゴリの記事

コメント

先日はdendrodiumにコメント有難うございました。
この問題に関しては、仰るとおり私達は、心配のし過ぎなのかもしれませんね。
でも、やっぱり疑いたくなってしまいます。

だいぶ以前テレビで(記憶があいまいなのですが、多分NHKニュース深読み)被災地のゴミの広域処理のことを扱っているのを見た事があります。
その中では被災地のゴミは被災地で片付け可能だと、数字を挙げて説明しており、被災地の人も地元で処理したいと言っているという論調でした。

何年掛かってもかまわないから、被災地で処理させてもらった方が、雇用にもつながるので助かると思っておられる被災地の人も、多いのではないかと、その時私は感じたのでした。

個々の件について意見の合わない事が出たとしても、
日本のためにと思っている心は同じだと思っています。
考え方の違いは違いとして、
これからも、どうか宜しくお願い申し上げます。

投稿: 和久希世 | 2012年5月28日 (月) 10時09分

和久希世 さま
コメントありがとうございました。

よく報道されるように被災地といっても場所によって住民の希望・思惑は大きな差があり一様ではありません。

個々の対応は、ある程度自治体等行政の判断にゆだねざるを得ません。がれきも、放置したままだと夏場の不衛生・悪臭・害虫の発生、自然発火など、空き地ということで、近くに仮設住宅を建てたりしています。

大容量の処理施設を現地に作れば、雇用にもつながるし地元にカネが落ちるなどという論を見たことがありますが、処理が終われば過剰設備で始末に困り、住民も以前の生業に帰ることを望むだけで処分設備に雇われることなどノーサンキューでしょう。

反対運動は、被災者の神経を逆なでしかねない危険があります。ここは行政の判断が一番機能する場面だと思います。

お気づきの点、これからいつでもコメントお寄せください。

投稿: ましま | 2012年5月28日 (月) 11時23分

未だに『政府や大手マスコミ、有名大学の専門家の発言だから正しい』なんて思っている人は日本人ではほとんどいなくなったのですが、

これは、政府が『信用できない。』ではなくて、
政府が『嘘を平気でついた。』からではないでしょうか。?
だから『信用を失った』だけであり、これは当然なけ結果です。
今国会の事故調査委員会で枝野元幹事長が参考人として発言しているが、肝心なことは『記憶が無い』として答えない痴呆状態です。
本人は忘れたいのだろうが、3月11日からチェルノブイリと同じレベル7を認める5月までの間の発言はビデオで残されているし私達も覚えている。
この時の枝野の発言と実際の事実とが余りにも違いすぎるのです。
こんな無責任極まる真っ赤な嘘をつく人物がなんら責任を取ることなく今でも原発行政の最高責任者(通産大臣)に横滑りしているのですよ。
これは例えるなら8月15日の敗戦以後にも捕まることも辞任することもなく東条英機が防衛大臣や首相を続けているようなものですよ。
『東電の社員が頑張っている』は何ら東電の責任問題とは関係しません。
政治とは結果責任の世界であり、善意からであろうと頑張ろうと結果が悪ければ非難は当然。
一般の日本兵が頑張ったとしても、到底日本軍の責任問題は緩和されません。

投稿: 宗純 | 2012年5月30日 (水) 11時44分

宗純 さま
”政府が『嘘を平気でついた。』”という証拠はどこにあるのでしょうか。私の体験では、あらかじめシナリオをつくり、真偽を交えながらウソを言うということはあり得ると思います。ただし、普通はあとでバレル危険があればウソはつきません。

もしそういうウソをつく人がいれば、相手にされずやがて失脚するでしょう。ただし”真実”というのは人の数ほどあります。そのなかから、これはどのくらい真実かウソかを見極め判断する能力はどうしても必要です。「ウソ」と「ホントウ」の二つに分けて思考停止してしまうのは、不毛というより、危険ですらあります。

原則として誰から発せられる情報であろうと、すべて公正に扱い、他のデータと照らし合わせ分析を加え、自分なりの判断で評価しなければならないと思います。ここで問題視しているのは、ウソ、ホントウより、あくまでも「不信感」で、まっとうな議論がされなくなることです。

投稿: ましま | 2012年5月30日 (水) 12時58分

ましまさん、『嘘をついた証拠は何処にあるのか』とは・・・
それは無いでしょう。
たった1年前ですよ。枝野の発言は今でもネットで幾らでも見られます。
今判明している『事実』と、当時の枝野幹事長の『発言』が違いすぎるのですよ。
真実とは正反対なのです。
これが『真っ赤な嘘』でなくいとしたらこの世に嘘は一つもありませんよ。
『後でバレル可能性があるので嘘をつかない』のは、ましまさんの様な健全な良識ある善良な人物なら、当然の常識かもしれませんが、困ったことに今問題になっている原子力ムラには当てはまりません。
因果応報で嘘をついた必ず失脚するなら、今のように不信列島になりません。
散々悪事を働いても失脚することなく居座っているから大問題なのですよ。枝野大臣しかり、近藤原子力委員長しかり。原子力委員会では今でも原子力ムラの推進派だけで構成され裏談合を繰り返しています。
真っ赤な嘘をついた彼等が信用をなくして当然であり、一般市民は怒って当たり前であり、信用問題というよりももっと深刻な話です。
嘘をつく心算はなく、『知らなかった』のだとしたら、そのような無能な人物が今でもトップに座り続けること以上に不幸なことはありません。

投稿: 宗純 | 2012年5月30日 (水) 13時37分

真っ赤なウソ、というのは、意識して黒を白だといって人をだますことでしょう。情報不足とか事実の誤認などからくるもので、後日訂正されるよえなことを「真っ赤なウソ」とはいいません。枝野さんが故意にウソをつく必要があったかどうか知りませんが、私の知る限りではそんな悪質なウソのように思えません。これは枝野さんを支持するとかしないとかということに関係ありません。なにがウソで何が゜ホントウかは多くの情報・発言を吟味しなければなりませんが、中には「中間」もあり得ると思っています。おことわりしておきますが「真っ赤なウソ」をつく人がいないというわけではありません。近藤原子力委員長などはすでにそれが割れています。近く首になるでしょう。

投稿: ましま | 2012年5月30日 (水) 18時35分

今のように日本列島が不信一色に塗りつぶされたのは67年前の敗戦以来、絶えて久しい嘆かわしい出来事ですが、これは枝野など政府要人やマスコミ、東京電力、原発ムラの学者などが、悪質極まる真っ赤な嘘を言い続けた当然な結果です。
本当に『私の知る限り悪質な嘘は無い』が真実であるなら、誰も彼も不信感にさいなまれるような、現在の日本のような末世の世の中にはなっていません。
多くに日本の普通の市民は、正反対であるから今の不信列島が出現しているのです。
故意か過失かで罰則が天と地との違いがある個人の犯罪とは違い、当人達が意識していたかしていないかはこの場合にはたいした問題ではありません。
知らないなら、その方が余程悪質であるのです。
善意から間違えたとしたら、日本国でそのような能力が無いものがトップに居座り続けていれば、当然今のように不信感が生まれるでしょう。
今の不信列島ですが、何の根拠も無く多くの人々が陥った訳ではないのですよ。
今のように日本列島全体に不信が渦巻くには、ちょんとした合理的な理由があるのです。
悪質な嘘八百が垂れ流された結果であり、いまだに何十万人が避難生活を送っているにも拘らず誰一人逮捕されず責任を取っていないのですよ。もちろん原発事故も収束していない。
ところが政府は冷温停止状態なる新しい言葉を創作して、終息宣言を出し、『原発は安全です』と停止中の原発を動かそうとしているのです。これが真っ赤な嘘でなくてなんでしょう。
不信列島になったのは政府の今までの言動が原因していることは疑い様が無いのですよ

投稿: 宗純 | 2012年5月31日 (木) 11時25分

原子力村と称されるのは、事故前から指摘されていた利権を有するステークホルダー、所轄省庁、電力業界、政治家、地方自治体有力者、メーカー、関係学者で、枝野さんが原発とかかわるようになったのは事故後の官房長官時代からで、その前は事業仕訳などで原子力村を指弾する側にいたのではないでしょうか。

前にもいったとおり枝野さんの政治姿勢には批判的ですが、海江田さんと違って玄海原発で九電に対峙したような姿勢は評価してます。

投稿: ましま | 2012年5月31日 (木) 18時19分

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