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2012年5月

2012年5月31日 (木)

大飯原発、急転直下

 大飯原発再開の動きがおかしい。朝日新聞が早速社説を掲げた。タイトルは「大飯再稼働―これでは不信ぬぐえぬ 」である。論旨は「私たちは、見切り発車のように原発を再稼働させることに反対してきた。原発の安全性確保をめぐる状況に、大きな変化があったわけではない。野田政権の判断に強い疑問を抱かざるをえない」というもので、概ね塾頭の考えに近い。

 同時に「関西広域連合が30日になって、姿勢を転換したのにも首をかしげる」としているが、この急転直下の転換の原因にふれず、「大飯を稼働させるにしても、あくまでこの夏に限定した措置とし、電力需要が一段落したところで再度停止することを明言すべきだ」 としているのは、全くいただけない。

 橋下大阪市長の思い付き丸写しではないか。原発を運転再開するにしても停止するにしてもスイッチ一つでポンとできるものではない。大型装置で最も安全なのは、安定的に24時間運転している時で、それを停止し、点検整備し、再始動させる際最も事故が起きやすいし余分な経費もかかる。そんなことから、今夏だけというのは子どものおねだりでもあるまいし、ナンセンスだ。

 野田首相は「最終的には総理大臣である私の責任で判断する」などとよく言うが、、最初から再開で走っていたのは野田首相ただひとりであろう。細野・枝野両大臣は福島の戦場のような現場をくぐってきており、原発推進派だとは思えない。

 それに肝心な原子力規制庁設置法案は国会に出たばかりで、経産省から原子力安全保安院が切り放されることは確実だとしても、環境省がどうかかわるのかかかわらないのか、民主案・自公案など混とんとしたなか、お白洲にいるようで積極的な発言はしにくいだろう。

 首相発言の意味は、たとえ反対意見があろうともいろいろな人の意見を総合判断しての最終判断、という口実作りに聞こえる。みのもんたが「もうこうなれば国民みんなで決めるしかない」と憤慨して見せたが、出演者のひとりが「総選挙?」とつぶやくのが聞こえた。おそらく最終的にはそうなるのだろう。

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2012年5月29日 (火)

それが務めなら

場所を選ばない

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場所を選ぶ

原子力の安全規制を担う新組織設置のため政府が提出した原子力規制庁設置法案は29日の衆院本会議で、自民、公明両党が共同提出した対案とともに審議入りする。自公両党も本会議に出席する。

 衆院議院運営委員会の小平忠正委員長(民主)は28日の理事会で、29日に本会議を開いて両法案を審議することを職権で決定。衆院議院運営委員会の小平忠正委員長(民主)は28日の理事会で、29日に本会議を開いて両法案を審議することを職権で決定。問責2閣僚の続投に反発していた自民党も一転して出席に応じることを決めた。同党は、4月20日の2閣僚の問責可決後、消費増税法案以外は閣僚出席の審議に応じていなかった。

 自民党の岸田文雄国対委員長は28日夕、記者団に「我々は議員立法を出している。次善の策として本会議に出席し強く抗議したい」と、審議に応じざるを得ないとの考えを示した。審議停滞は世論の反発を招きかねないうえ、いち早く審議出席を決めた公明党との亀裂を避ける狙いがある。(以下略・毎日新聞

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2012年5月28日 (月)

アメリカへの気兼ね.

 毎日新聞の社説欄の下に「視点」という社説スペースとほぼ同様な枠組みがある。社説並みの論説発信の場と位置付けているような見える。この方は、論説委員の議論を経て最大公約数を書く社説と違って記名記事で、個人の率直な感触が伝わってくる。

 まだ調べてないが、歴史に残る社説として信濃毎日新聞の桐生悠々が書いた「関東防空大演習を嗤う」という社説(昭和8年8月9日付)は、は記名入りだったのだろうか。この記事で同紙が廃刊の危機にさらされたという。

 28日の「視点」はそなん大層なものではないが、布施広論説委員の記名入りである。題は、<イスラエル――素直な批判こそが有益だ>で、国連などで不当とされたパレスチナ人居住区内の隔壁作りや、イランへの空爆をほのめかして危機をあおるイスラエルに対し、日本はもっと率直にものをいうべきだ、という内容だ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20120528k0000m070114000c.html
その中に、日頃塾頭が抱き続けた疑念そのままの一文があるのに驚いた。

 (前略)私の考えすぎなら幸いだが、日本の一部メディアは、イスラエルへの「無条件の支持」をうたう米国への気兼ねからか、意味もなくイスラエル批判をためらうようになった。それも同国には不幸なことだ。

 ”日本の一部メディア”がどこを指すのか不明だが、それがメディアの中からでてきた告白だからである。塾頭家では毎日新聞しかとっていないので、毎日新聞から得ている印象といってもいいだろう。社内にいろいろな意見があるのは健全だ。同紙の「記者の目」同様、味気のない第2社説より、このよう紙面構成はぜひ続けてほしい。

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2012年5月27日 (日)

不信列島・日本

 政府の言うことは信用できない、官憲も信用できない、お役人もマスコミも信用できない、電力会社の数字はでたらめ……。アフリカのどっかの国でない、わが日本なのだ。これほどひどい「不信感」が世を覆ったことが過去にあっただろうか。

 「絆」などといって震災罹災者と連帯する姿が見られたのはほんのわずかだった。信用できる権威、権力がどこにもない。その傾向は民主党政権の公約裏切り、無能に始まっていたが、震災が一挙にそれを加速させた。

 ここで、マスコミのセンセーショナリズムに加担して「不信」を煽り立てる気は全くない。東電の社員や末端の役人は給料を減らされても歯をくいしばって国民のために膏血をしぼっている。すこしは彼らを信用しようではないか。

 国民は権威・権力しか持つことのできないデータ・情報を頼りにするしかない。なにも信用しなければ日々の生活にも影響する。原発が安全かどうかや国家財政と予算執行の中味がどうかは彼らの感覚と数字に頼らざるを得ないものが少なくない。

 それらを信用をしないで、どうしていい仕事をしてもらえるか考えた方がいい。また、民間情報だから正しいと決めつけるのは一方的になりがちで、参考にするのはいいがそれだけに頼るのは大変危険だ。

 例を一つ上げておこう。「がれき」分散処理に対する反対運動だ。放射能を持ち込まれては困る、それらは地元で処理すべきだという論理だ。膨大ながれきが復興の妨げになっていることはたびたび報道されてきて、早期の解消が求められていた。

 地元焼却場は被災していて復旧増設したとしても3年以内に処理することは無理で、各地処理場での分散処理に期待するしかなかった。最近の報道に出てくる反対運動は、群馬県桐生と福岡県北九州だ。

 不思議に思うのは、搬出地の宮城県や岩手県が津波の大被害を受けたものの、放射能汚染地域でないことだ。焼却処理をすれば灰に放射物質が濃縮されるのは当然だしそこから周辺より高い放射能が検出されることはあるだろう。

 しかし、がれきを受け入れなくても結果はさして違いない。なぜならば自然界に存在する放射能が震災前の1988年の放射線医学研究所のデータによると、都道府県別で福岡県が全国第6位の1.10msv/年、宮城県は38位の0.94msv/年、群馬県は39位の0.92msv/年だ。

今日のデータ(文科省)を見ると大気中線量が桐生で0.047μsv、石巻が0.059μsvとなっている。つまり福島原発の直接影響は両地区ともほとんどないに等しい。それをかたくなに拒否しデモまでして妨害する理由は何だろう。

 被災者に冷酷な地元エゴを別にすると、行政の放射能測定や許容基準に対する不信、運搬費用加算や業者に対する利権への疑惑などである。ちょっと無理筋だが要は行政に対する不信である。これらは明らかに行き過ぎであろう。

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2012年5月25日 (金)

改憲と各党の姿勢

 衆院憲法審査会の条文ごとの審査が、昨日(24日)から第一章、天皇を最初に始まった。毎日新聞が”憲法審査会での「天皇」をめぐる各党の論点”という一覧表を載せており、各党の改憲に対する姿勢・特徴がわかるので以下に転載する。

 電子版ではこの表がなく、朝日・読売では記事も見あたらなので転載した。下表も正確な議論の内容ではないが、次回総選挙で党を選ぶ有力な手掛かりになるだろう。

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【民主】女性天皇を認めるなど皇位継承順位が変わる場合は国民投票が必要▽首相公選制で天皇の任命手続きがどうなるのか議論がない

【自民】天皇を元首と明記、国旗・国家規定を新設▽皇位継承は変更の必要なし▽(憲法上明文のない)公的行為を銘記すべきだ

【公明】改正を必要とする条文はない▽現在も元首と同様な扱いで改正の必要なし▽女性天皇は認める方向だが皇室典範の議論だ

【共産】前文を含め全条項を守るべきだ▽公的行為の明記に反対▽世襲天皇は人間の平等の原則に合わず将来は民主共和制を目指す

【きづな】元首が天皇であるとの意識は国民にあり明文化の必要はない

【社民】元首の明記に反対▽女性天皇は皇室典範の改正で実現を▽公的行為の明記は政教分離の観点から重大な問題

【みんな】首相公選制導入のため天皇を元首と明記▽国旗・国家を規定
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・国民新党欠席・たちあがれ日本は自民とほぼ同じ改憲案を持つ。

【塾頭感想】第一章以外もそうだとすると、塾頭の考えに最も近いのが公明党だ。同党はこれまで「論憲」をいってきたが、自民党案に明確な対立軸をだしてきた。公明党に投票したことは一度もないが、この点だけは支持したい。また共・社が自民党案に反対するのは、既定路線で特に変わったことはない。

 塾頭は、自民案に対抗するには、自分たちの主張に沿った対案を示し、その正当性を主張すべきだとこれまでもいいつづけてきた。その点、共産が民主共和制という対案歩持ってきたが、自ら「将来」というだけに一笑に付されて議論にはならない。

 社民は、女性天皇を主張するがこれも「皇室典範で」といい、改憲の対案にならない。ただ「反対」だけでは何の力にもならなかった過去の歴史が、社民党の弱体化を招いてきたことを厳しく反省すべきだろう。つまり、多数のペースに乗せさせられ結果的に相手を利することにしかならないということである。

 最後に民主であるが、同党を代表したのは山花郁夫議員である。彼とは名刺交換をしたことがあるが親譲りの護憲派である。しかし、それを表に出せないような枝葉の問題だけで不鮮明な表現になっている。

 この構図は、同党内部の消費税増税、脱原発に対する不統一混乱ぶりとまさに軌を一にする。党内に自民党右派を上回る改憲派がいることもあきらかで、次の第二章戦争放棄に進めば山花議員も進退窮まることになるだろう。

 小沢元代表と野田首相の会談はともかく、そう遠くない時期に党を分裂させた方が国民にわかりやすく、いずれそうせざるを得なくなるだろう。それまでに憲法も本質的な問題で議論を高めておく必要がある。 

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2012年5月22日 (火)

尖閣諸島ノート

 尖閣諸島問題で、知識もなく「怪しからん」と怒っている人がいる。中には相当偉い老練政治家もいる。その点では中国も同じだ。しかしそれだけでは、声の大きさで1党独裁の中国や台湾、香港に負けてしまう。

  「尖閣列島は日清戦争で日本が強奪したもので、歴史的にみれば中国固有の領土である。われわれは、日本帝国主義の侵略を是認し、その侵略を肯定してしまうことはできない」

 これは何と、日本では飛ぶ鳥を落とすほどの名声をあげた高名な学者の声明である。井上清の学説に基づき、1972年に荒畑寒村や羽仁五郎が加わった「日帝の尖閣列島阻止のための会」が発したものである。

 中国政府もしばしばこの井上論文を引用しており、日本不法の根拠としている。その中身が気になるが、イデオロギー先行の過激さが災いし、現代中国の若い研究者でさえ首を傾げかねないもののようだ。素人歴史マニアである塾頭が見ても独断・誤認・偏見が多く、とても世界に通用するようなものではない。

 向うがそうならこっちはこうだ、というような馬鹿な真似はやめて、日本の主張の正しさを堂々と世界に発信できるよう各人の知識を高めることが、武力行使の道を閉ざすこの際の最も愛国的な立場ではなかろうか。政治やマスコミはもっとこの点に努力を払うべきである。

 国益優先や日本の主張を訴えるには、現在の政府の「領土問題は存在しない」という姿勢が交渉に応じないというかたくなな態度でなく、「領海侵犯は取り締まるが必要ないことはしない」という立場、つまり、長年にわたり民間所有が続いてきたという実績が世界を納得させる有力な材料になるということに気付かなければならない。 以下は、参考となるメモの羅列である。

■国際法と境界
*領海等国連で決まった基準があるものは条約の批准国だけが拘束される。しかし領土が確定していなければ紛争のもとになる。その他の資源開発・利用等については法的に解釈が確立しているとは言い難い。

【防空識別圏】
*1969年防衛庁訓令で設定、72年より実施
*国際法上確立した概念ではない
*台湾飛行情報区と一部重複、問題は起きていない
【中間線】
*漁業専管水域などで複数国の水域が重複する際、便宜的にその中間を境界とする

【領海】12カイリ(約22.2km)、1972年公布施行(日本)
*1982年の海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約によって定められた。軍事・民間を問わず外国船の無害通航が認められている
【漁業専管水域】200カイリ、1972年公布施行(日本)
【大陸棚】大陸からつながる海中の斜面、台湾が漁業権と共に沖縄返還前から言いだした

■法理
【無主地に対する先占】
*無人で何人もその土地の使用をしておらず権利を有しないことを確認の上、領有の意図をなんらかの形で示す
*先占にあたつて主権行使の事実を他国に通告すべき義務はない。国際司法裁判所判例
*井上説や中国反対論は、先占の法理は、帝国主義国による論理で、認められないとする

【実効的支配】
*1884年1月 内務省、沖縄県に尖閣諸島調査を命令
*1884年3月 古賀辰四郎が尖閣列島を探検、その1島、黄尾嶼(九場島)の開拓許可を沖縄県に申請
*1891年 井沢矢喜太などが魚釣島などでアホウ鳥羽毛採取を開始
*1895年1月 尖閣諸島を日本領土に編入
*1896年9月 古賀辰四郎が政府から借り受け
 ・97年開拓(鳥毛の採取・燐鉱石採取・鰹漁業)に着手1940年頃まで継続
 ・相続した嗣子・善次が1932年国有地払下げを受ける
*1920年 中華民国長崎領事館が同国民が尖閣諸島(日本帝国沖縄県と明記)で古賀氏に救助されたことに感謝状
*米民政府と琉球政府実効的支配を維持継続
 ・射撃演習場設置、固定資産税調査などを行う
*1958年1月8日 人民日報が琉球に尖閣諸島を含めた解説記事掲載
*1972年5月尖閣諸島返還を含む沖縄返還協定発効
*中国は現在同島が日本の実効支配下にあることを認めている

■歴史と主張
*清・明の時代にさかのぼる琉球朝貢使往復の航海誌に、航路上の目標となる島や・命名などに関するの文献が多く示されるが、それらは「先占」や「実効的支配」を示すものではない。史料は古ければ古いほどナンセンス。魏志倭人伝なら日本も中国領になる。

*1871年4月 蕃社事件(台湾で琉球漂流民54人の殺害)。1873年6月、日本政府の抗議に対し「台湾東部のの生蕃は化外の者で清国政教の及ばぬ所」と回答。これが日本政府の琉球処分を正当なものとする根拠のひとつとなった。

*魚釣島中国人遭難事件
1919年(大正8)福建省漁民31人を古賀善次が救助。長崎駐在中華民国領事から石垣村長と古賀に感謝状贈った。
(事件発生場所を「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島内和洋島」としている。和洋島は魚釣島をさす)。これは公式文書であるが、日本国内出先の感謝状で、まさか「中国領」とは書けまい。実効支配の史料として完全とは言えない(塾頭)。

* 1969年5月 国連アジア海域沿岸海底鉱物資源共同調査委員会(ECAFE)調査報告。これ以後台湾、そして中国の主張と行動が目立つようになる。

*「日清戦争の戦勝に乗じてひそかに清国から盗み取った」という説。
日本が尖閣諸島を領土に編入したのは、たしかに日清戦争の清国敗戦が確定的になった頃だ。古賀辰四郎らの開発要請などがあり、日本政府が現地調査に乗り出してから10年あまりたっている。これは、日本が中国領であることを知っていたからだとする意見がある。

 仮にそうだとすれば、日本は講和談判で賠償として得た「台湾とその周辺島嶼」に堂々と明記できたのにそうしなかった。「どさくさに紛れて盗み取った」という説は成り立たない(塾頭)。

■参考エントリー
琉球処分 2
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-9122.html
琉球処分 1
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/1-e8f7.html
・(本文のうち年表等は、浦野起央『尖閣諸島・琉球・中国』を参考とし、作成した)

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2012年5月21日 (月)

反戦塾乗12/5/21

2dscf3652_2■金環食

大小2重に見えた。雲のおかげ。

■水道汚染

アメリカなら=アラブ系・ムスリムがじろじろ見られる。
近くの国なら=暴動をおそれ早くも犯人逮捕。
日本=行政の 責任者、例によりわからずじまい。
ギリシア=再選挙。

■旭天鵬優勝

「モンゴル出身の日本人」なのに言い方の定まらないマスコミ。

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2012年5月18日 (金)

再び岩見隆夫氏に駁す

 「徴兵制論は改憲への呼水」と題して、『サンデー毎日』に掲載された岩見隆夫毎日新聞客員編集委員の論旨を批判したのは2月、もう3か月前になる。その時は、昨今の若者の軟弱さに気合を入れる意味もあるのかな、と思えなくもなかったが、同じ『サンデー毎日』(5/27号)で自民党改憲案を「当然である」と明言し馬脚を現した。

 書き出しは、日本の情報組織や情報管理、つまり「インテリジェンス」能力が弱体なことについて、公安調査庁元幹部・菅沼光弘に問うたところ「ああ、それは憲法のせいでしょうね」と、あっさりあしらわれたことに、いたく同調したことからはじまる。

 そして、結語は護憲派の「平和維持は外交努力専一でやるべきだ」という意見に対し、「外交は防衛力の裏打ちがなければ貧相なものになることを戦後のさまざまな経験から知ることになった。そろそろ平和ボケのぬるま湯から出る時だ」で結んでいる。

 官邸に近い料亭、別名日本料理店で首相と直接会食するほどの大物ジャーナリストにしてこの程度の改憲論拠だ。「インテリジェンス」が弱体な根拠が憲法のせい、という小役人根性に乗せられるとは何とも情けない。

 情報関連部門の役人の怠慢を憲法のせいにされてはたまらない。戦後、占領下でも政治家・官僚は命がけで外交努力をし、それなりの成果を上げてきた。幣原・吉田・岸・田中、いずれを見ても今のような屈辱外交に甘んじてはいなかった。憲法とは全く関係がない。戦争に命を懸ける軍人と比べられるような外交努力を誰がやってきたのか。すべて責任をとろうとしない悪しき官僚主義の口実にしか過ぎないではないか。

 憲法を論ずるなら、今の憲法の案文がどういう経緯で生まれてきたか。9条1項では「自衛戦争は例外」という歴史的・国際的解釈をどう見るか、それに歯止めをかけようという2項と、自衛隊の存在・日米安保の運用をどう見るかなど、肝心な論点があるがそれらに一切触れていない。

 たしかに、現憲法はさまざまな「解釈」で歪められているという欠陥は認めざるを得ないし改善することにやぶさかではない。しかし岩見氏のように、戦争回避への道筋を追求することなく、ただ自民党案に短絡させるという安易な世論誘導には断固反対する。

 以上のほか、氏は朝日新聞に掲載された意見広告をやり玉に挙げる。端的にいうと非武装中立論と自衛隊段階的解消論批判である。詳述する余裕はないが、本塾の立場はこれまで言い続けてきたように、安保合憲、専守防衛の自衛隊是認である。

 したがって、自衛隊は海外での武力行使は禁止、解釈改憲や集団的自衛権是認を招く米軍基地は縮小。そのために自衛隊の強化が必要なら、思いやり予算などやめてそれに回せばいい。情報管理もアメリカに頼らず自前のものを築くことだ。

 それにつけても、いわゆる護憲勢力が何世代も前のキャッチフレーズから一歩も踏み出せず、岩見氏などの右傾化改憲勢力の伸長を許している「平和ボケ」の方がよほど心配の種だ。自民や民主のリベラルグループも眠っている。いつ奮起するのかしないのか!――。

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2012年5月15日 (火)

中国の政情不安

 このところ中国の対外強硬策が報じられることが多い。日本に対しては尖閣諸島問題を「核心的利益」という表現で領土問題を先鋭化させたり、「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席への日本政府の査証(ビザ)発給をテロリスト支援と激しく抗議する。

 フィリピンの南シナ海のスカボロー島(中国名・黄岩島)の領有権問題は一発触発といっていいほど緊迫しており、中国の高圧的な脅迫には目に余るものがある。過去に領有を主張した実績がないなど、尖閣に対する日本の主張をそのままパクって恥ずるところがない。

 ここで、中国のいう「核心的利益」とは何かおさらいしておこう。(12/5/14  読売新聞より)

  中国政府が2011年9月に公表した「中国の平和的発展」と題する白書では、核心的利益を〈1〉国家主権〈2〉国家の安全〈3〉領土保全〈4〉国家の統一〈5〉国家の政治制度と社会の大局の安定〈6〉経済、社会の持続的発展への基本的な保障――と定義した。中国政府は台湾やチベットなどの問題について、核心的利益と表現している。

 要するにどんな小さいことでも国際紛争のネタにしようと思えば便宜的に使える便利な言葉である。ウィグルとチベットは、たしかに中国というより中国共産党にとって頭の痛い問題であろう。過去、チベットのダライ・ラマ来日に対しても前述のような強い反応は示さなかった。

 そのダライ・ラマに対して、中国の情報機関が女性スパイを使い、毒殺する計画が明らかになったということを15日の共同通信が伝えている。真偽のほどはわからないが、僧侶の自殺が相次いでいるということからも、締め付けが厳しくなっているのは間違いないであろう。

 アメリカとの関連では、障害を持つ人権活動家陳光誠氏の米大使館での保護や、近親者に対する逮捕、監禁などの弾圧、米国への出国申請などが相次いで報道される。当局が一体どっちを向いているのかわからない右往左往ぶりである。

 そういった政治の不安定化は、薄熙来重慶市党委員会書記の突然の解任に見られる権力者交代を前にした激しい権力闘争ぶりを示すものであるという解説が多い。この事件の裏にもイギリス人事業家の暗殺事件と妻の関与、腹心のアメリカ総領事館への駆け込みなど、少なからず国際的なかかわりが存在する。

 いずれをとっても、「核心的利益」をたてに強硬姿勢をとることが権力闘争を有利に導くことにつながると考えられているのだろうか。次の中国人民解放軍機関紙「解放軍報」の社説(中国網)がフィリピンを恫喝する表現を見ていただきたい。「政府はともかく軍は決して許さないぞ」といわんばかりの統制を欠くもので、国内の民衆を引き付けたい意図も丸見えだ。

我々が言いたいのは、黄岩島の領有権を奪おうとする者は誰であろうと、中国政府は決して応じないだけでなく、中国国民も許さなければ、ましてや中国の軍隊が許すはずがないということだ。

 中国の政情不安は中国の国内問題である。日本は中国の「核心的利益」プロパガンダに決して乗じられてはならない。中国人は古来現実的に物事を処理するのにたけている。感情的対処は国益になんら資するところがないことを知っておくべきだ。

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2012年5月14日 (月)

理想は「ゼロ成長」

 毎日のように繰り返される消費税とか福祉に関する論争。片や原発再開・節電関連ニュースもあふれている。海外でもユーロー圏内の財政破たん寸前にある国や、若者の失業問題、新興国を含めた景気減速など共通する話題が多い。

 日本では、消費税10%上げに民主党案で成長率3%を条件とするとか、少子化対策、インフレターゲットで経済成長を促すなどという、長く続いてきた成長神話に夢を託す話が多い。原発促進派の主張も同一線上にあるのだろう。

 こういった、経済のありがたいお話は、高名な経済学者・政治家・評論家などがなさるので、塾頭あたりが立ち入る余地はない。しかし、これからの世界は成長率ゼロで上々、極端なマイナスがなければ良しとしなければならないような気がしてならないのだ。

 絶えざる成長を願うためには、地球上のあらゆる資源が無限であるという前提に立たなければならない。次の推移を見ていただきたい。経済成長と不可分な関係を持つのが「人口」と「生活水準」である。

人口の増大→食糧が不足する→土地・水の確保→砂漠緑化・促成栽培・養殖等の工業生産→エネルギー消費の増大→鉱物資源の獲得→再生不能廃棄物増大

生活水準の向上→消費財獲得と知識・情報のの平準化→エネルギー消費の増大→鉱物資源の獲得→再生不能廃棄物増大

 いずれも「エネルギー消費の増大」をともない「再生不能廃棄物増大」が避けられないという相関関係がある。エネルギー資源として主力を担ってきた化石燃料やウラン鉱など、やがて枯渇する日が来る。エネルギー源が、再生可能な太陽光など新エネルギーに変わっても、エネルギー消費が増える限り、廃棄物の絶対量も増え続けるのである。

 つまりこれからは、人口とエネルギー消費の抑制を考慮しないと宇宙船「地球号」破滅に向かうしかないということである。こういった議論は1964~5年頃から出始めたが、1980年7月には、アメリカ大統領に”Global Two Thousand”という報告書が諮問委員会から出され、公式に取り上げられる議論となった。

 しかしながら、根本問題はさしおいて、公害問題とか温暖化原因ガスといった個別の環境対策を講ずることが成長継続の免罪符であるかかのようなとらえ方で終始した。日本の人口が1億人を超えたのは1970年代前半である。明治維新にはその3分の1、3330万人だった。この先50年100年も同じであっていいはずはない。

 日本の国土に今の数では多すぎるといってもいい。少子高齢化もひとつのチャンスである。もう一度原点に立ち返って、人口増ゼロ、経済成長ゼロで幸福追求ができる模範例を世界に示すことができれば、「日はまた昇る」新たなチャンスが訪れるだろう。

 なお、本塾で比較的コンスタントに検索を受ける過去のエントリーに「新・マルサス人口論」がある。若者人口と戦争の関連などに言及しているので、併せてご一読願えればありがたい。

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2012年5月12日 (土)

ようやく五月晴れ。本文なし。

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2012年5月11日 (金)

エネルギー後進国日本

 NHKの番組「クローズアップ現代」は、多角的な題材を取り上げるのですべてというわけにはいかないが、時々日本の政治のあり方に対する鋭い批判を内包する秀逸な番組を作ることがある。

 5月10日に放映された「海から電気を作り出せ」もその一つだ。塾頭は、オイルショック直後から海が持つ無限のエネルギーを利用できないものかという考えを持っていたが、ブログもない時代、ただ個人的空想に過ぎなかった。

 海洋発電として、潮流、波浪、海流の3つを考えられる。潮流は潮の満ち干である。動力源は太陽光や熱ではなく、月の重力ということになる。それが最も端的に表れるのが鳴門海峡のうず潮で絶好の動力源になると思った。夏の電力不足何%など議論のやかましい関西電力や四国電力などなぜ目につけなかったのか不思議だ。

 海流は、世界に冠たる黒潮が列島を洗う。年により流れに変化があるので、固定式よりブイのような半固定式がよさそうだ。波力は、波の大きさに変化があるので安定性に問題があると思っていたが、外国ではすでに実用化の実験がすんでおりその映像も紹介された。

 そんな新エネルギー開発が進んでいるのが欧州、ことにイギリスで、番組はくわしくその模様を紹介する。数々の優遇政策をもうけ開発をリードしており、試験的に電力供給も始めているようだ。EU全体では2020年までに海洋発電で原発およそ5基分の電気をまかなう計画だ。

 この中で苦戦しているのが日本の企業だ。日本政府にそういった具体的導入目標はなく、開発実験には様々な制約が立ちふさがる。漁業権・海上交通・海面利用・環境調査などなど、一体いくつの役所の許可が必要なのか、投げ出してしまいたいほどの難関を突破しなければならないようだ。

 地熱発電でも、国立公園の中にあり景観がどうの温泉がどうのなどと言われているが、原発事故の恐怖や被害の受忍限度とは比較にならない。原発がそうだったように、国が国策として環境整備をすれば簡単に推進できることではないか。

 それもあってか川崎重工は、日本を離れイギリスで技術開発・実用化を進める決断をして、開発そのものをすでに海外移転している。番組はそこまで言わないが、原発推進のためには、新エネルギー開発を困難にしておいた方が好都合と考えていたのではないかと勘繰りたくもなる。

 原発ゼロになってから、すでに1週間を経ようとしている。塾頭は現段階での原発ゼロが好ましいと状況だとは思っていない。再開には十分な根拠と、脱原発に向けたロードマップの中での位置づけが必要だ。

 それがない中で口先だけの「脱原発依存」をうたっても、「信用しろ」という方が無理だ。原発マフィアの影がちらつく野田政権、自民党政権下では、どうも欧州に追いつくことが絶望的のようである。

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2012年5月 9日 (水)

EUの行く手

 フランスの大統領交代に関連した書き込みを「ていわ」さまや「暇」さまからいただいています。コメント欄で絶妙なレスをかえす能力もないので、こっちに避難しました。今日も欧州の財政危機を理由に、兜町はニューヨーク市場のあとを受けて続落しています。

 フランス、ギリシャをはじめ最近の各国選挙では軒並み左派が勝利しています。これがばらまき政策などによりユーロー圏各国の財政再建にブレーキをかけ、ユーロー崩壊に拍車をかけるのではないかという弱気につながっているのでしょう。

 塾頭は、アメリカが先走った景気回復観測に冷水を浴びせられた、というのはわかりますが、日本の場合やや下げ過ぎではないかと思います。というのは、日本経済の先行きについて「そう悲観することはない」、と希望的観測も含めて考えるからです。

 ていわさまは、「ヨーロッパは再度ポピリズムが支配する時代に入った」と言われましたが、「ポピリズム」が、新自由主義・リバタリアニズムの対語として使うならその面は否定できませんが、ヒトラー・ムッソリーニなどのファシズムを生んだ衆愚政治に戻ることは絶無と言えましょう。

 なぜならば、ヨーロッパほど財政破たんの厳しさを知っており、それが国家間紛争の原因を作って2度の大戦で破滅寸前まで追いやられた経験を持っている所はないということです。それだけなら、日本も同じではないかと言えそうですが、民族・宗教・国家がいがみ合った中世以来の長い欧州史の積み重ねがあります。

 歴史の教訓に学ぶことの大切さが、国民性に染みついている点で、日本にないものがあるような気がするのは塾頭だけでしょうか。そんなところから生まれてきたのが、戦後に生まれたフランス・ドイツ・ベネルックス3国によるEUの前身、石炭鉄鋼共同体です。

 経済問題で始まった組織が経済問題で破たんするとは思えません。これまでも何度か危機とされてきたことがありましたが、しぶとくそれらを乗り越えてきました。フランスとドイツの協調姿勢は、これまでメルコジ(メルケル・サルコジ)体制といわれてきました。

 それが、メルコランド(メルケル・オランド)になれるか、などと外電が伝えます。塾頭はサルがオランウータン(一国の首脳に対し、何たる無礼。東洋のサルがいうことどうかご勘弁を)に変わっただけ、と覚えました。

 政策の違いがEUの存続にひびを入れたり、解決を戦争に訴えるなどあり得ないことなのです。むしろ原発ばなれでは、思いがけない協業体制を生むかもしれません。衆愚政治で心配なのは、石原慎太郎や橋下徹のいる日本の方だ、と言っておきましょう。

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2012年5月 7日 (月)

反戦塾乗12/5/7

■フランスは変るか
 フランスで大統領選があり、野党社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が保守系、国民運動連合(UMP)の現職ニコラ・サルコジ大統領(57)を17年ぶりに破り、政権に就くことになった。オランド氏は、2025年までに原発依存度を75%から50%に引き下げると公約している。

 脱原発とは言っていないが、この方針は「原発の耐用年数を40とし、60年もあり得る」などと、あいまいな「脱原発依存」しか掲げられない日本政府と違って明瞭なエネルギー政策開示だ。それに引きかえ、女性党首を戴くわが旧称「社会党」。なんていったらいいのやら。

■世界でも稀な過激映像
 ・東日本大震災津波
 ・高速バス、フェンスで串刺し
 ・街を襲った竜巻被害

■右派議員推薦和歌集

稲田朋美

             橘 曙覧
物ごとに清めつくして神習ふ
国風しるき春は来にけり

たのしみは朝おきいでて昨日まで
無かりし花の咲ける見る時

たのしみは蝦夷よろこぶ世の中に
皇国忘れぬ人を見るとき

何わざも吾が国体にあひあわず
痛く重みし物すべきなり

* 稲田 朋美は福井1区選出の衆議院議員。小泉首相のいわゆる郵政改革解散で、反対議員の刺客候補として自民党安倍晋三幹事長代理、山谷えり子らの要請で出馬したとされる。

平沼赳夫

              黒住 宗忠
海あれば山もありつる世の中に
狭き心を持つなひとひと

* 黒住 宗忠、幕末に岡山地方て神道系の新興宗教黒住教を開いた神職
* 平沼赳夫は「たちあがれ日本」党首(岡山3区選出衆院議員)

山谷えり子

               昭和天皇
みほとけの教へまもりてすくすくと
生ひ育つべき子に幸あれ

戦争被災児救護教養所因通寺に行幸の際、父母の位牌を抱いた女児の健気な応答に昭和天皇が心打たれて作られたとされる。

* 山谷えり子は、カトリック信徒。産経新聞出身。神道政治連盟国会議員懇談会 副幹事長。日蓮宗系の新宗教佛所護念会教団や統一協会からも支持を得る。

j◎以上和歌等は『今昔秀歌百撰』より。
  経歴等はWikipediaほか。

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2012年5月 4日 (金)

世界戦争を誘発したブロック経済

世界恐慌は昭和8年いっぱい続いたが、これに対処する方法として、各国はブロック経済方式をとった。特に昭和七年十月のオタワ協定は、英帝国の露骨なブロック政策採用の画期をなすものであって、ブロック外の諸国に対して大っぴらな差別待遇を実施した。

 当時、世界の各地に広大な領土を占める英国のこのブロック政策は、領土狭小人口過多の日本、イタリア、独逸に深大な影響を与え、これに処する方策が重大課題となった。当時私は、英国のこの政策をもって、世界戦争を誘発する性格のものだと批判したほどであった(この論文が私をパージした一原因である)

   高橋亀吉『高橋経済理論形成の60年』。
   谷沢永一著『百言百話』所載

 TPP、アセアン+3などなど――。上述した過去の教訓は誰でも知っていることだったが、日本も中国も、欧・米もこのところすっかり風化させてしまってはいないか、ブロック化競争の中で、心配性の塾頭がひとり考えることである。

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2012年5月 3日 (木)

憲法記念日メモ

不戦条約
第一条 締約国ハ国際紛争解決ノ為戦争ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互関係ニ於テ国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳粛ニ宣言ス

第二条 締約国ハ相互間ニ起ルコトアルヘキ一切ノ紛争又ハ紛議ハ其ノ性質又ハ起因ノ如何ヲ問ハス平和的手段ニ依ルノ外之カ処理又ハ解決ヲ求メサルコトヲ約ス

現行憲法
第九条[戦争の放棄、戦力の不保持・交戦権の否認] 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。   
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 

自民党改憲草案
9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇および武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない
 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない

9条の2 わが国の平和と独立並びに国および国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する

 3 国防軍は、1項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動および公の秩序を維持し、又は国民の生命もしくは自由を守るための活動を行うことができる

 5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く

 9条の3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海および領空を保全し、その資源を確保しなければならない

塾頭解説
①不戦条約
 1928年(昭和3年)8月27日にアメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本といった当時の列強諸国をはじめとする15か国が署名し、その後、ソビエト連邦など63か国が署名しました。フランスのパリで締結されたためにパリ条約呼ぶこともあり、現在まだ効力を失っていません。

 ところが、上に掲げた国で戦争をしなかった国はひとつもありません。すべて「自衛の場合(集団的自衛権を含む)は例外」という口実で、事実上有名無実なものになりました。現在は、それに代わるものとして「戦争」ではなく、軍事行動そのものを規制する「国連憲章」があります。

②現行憲法
 不戦条約をなぞったもので、2項はそれを強化したものです。現在の自衛隊は外国からは軍隊と見なされていますが、理由のいかんを問わず外国に向けて武力行使をすればただちに憲法違反となります。

③自民党改憲草案
 歴史の経緯から見て、以上の①②を無理につき交ぜ、全く異質のものにしたので一貫性がありません。いわば「ごまかし」改正案で、「自衛権」を明記するなど、世界的に見ても大戦前の水準に後退した、ちょっと恥ずかしい案です。

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