« 辺野古断念まで米追随? | トップページ | 憲法記念日メモ »

2012年4月30日 (月)

小沢裁判と庶民感覚

 「小沢議員を支持するわけではないが……」といちいち断り書きをしなければならないのは、困ったものだ。ネット言論の限界は、「右翼」だとか「左翼」だとか「小沢信者」あるいは「反小沢」などとレッテル貼りをし、それで思考停止をしてしまう傾向のあることだ。

  まあそれはどうぞご勝手に――ということにして、中央5大紙が足並みをそろえ、かつて小沢バッシングに精出した手前か、無罪判決に水を差す論調が目立つのを取り上げたい。訴訟や判決にないことまで匂わして世論に媚びようとする内容は、どこから見ても見苦しい限りだ。

 まず、「4億円もの大金を現金で用立てるなど、庶民感覚にほど遠い」などというものである。たしかに、塾頭から見れば天文学的金額であるが、このところ、ちょっとした小金持ちなら持っていそうな金額で、事業家ならずとも名の知れたタレントや野球選手ならはした金だろう。

 政治に金がかかるのは、古今東西の常識である。日本は清廉潔白をよしとするが、昔は「井戸塀」と言って政治家になると財産をすりへらし、井戸と塀しか残らないという格言もあったぐらいだ。4億円の私財が多すぎるというという根拠はどこにあるのだろう。アメリカの大統領選では、公然と桁違いの金が動くが、それに対し「庶民感覚」云々などという非難は聞いたことがない。

 もちろん、賄賂は言語道断、選挙民の買収もあってはならない。これらに、厳罰を科すのは当然である。そのために政治資金収支報告書でチェックする仕掛けになっている。検察は当然賄賂を立証したかったのだ。ところが証拠が出てこないので、「その帳面のつけ方がよくない」という容疑に切り替え、秘書と小沢議員が共謀したということにしたが結局不起訴処分にした。それをおして「検察審査会」の強制起訴で裁判になつたわけだ。

 もちろん、判決文には「庶民感覚」などという文言は一切ないのに、マスコミの判決ではそうなる。マスコミが政治とカネの問題を追及するのは大いに結構。しかし、資金集めをしない政治家が立派で、財産調べでは貧乏な方がいい政治家のように印象付けるのは、偽善ぶったまやかしである。

 次に、判決文に「収支報告書は一度も見ていないとする点などは、およそ信用できるものではない」などとあるのをあげて、「実質小沢の敗訴である」とか「判決とは別に国民の前に真実を明らかにすべきである」などと、無罪判決に未練たっぷりである。

 しかし、小沢は、そういった帳面のつけ方が「適法であると考えていた可能性がある」、といった共謀の犯意のなかった意味のことを判決文の中で3度も繰り返している。つまり、秘書が運転する車が制限速度30Kmのところ、40Kmで走っていのを、同乗していた小沢がそれに気がつかなかったのだから共謀といえない、という至極まっとうな判定なのだ。

 秘「秘書の宿舎にするのにいい土地が見つかったんです」。小「おおそうか、買ったらどうか」。秘「いますぐ手を打たないとほかにいく可能性があるんですが、事務所にある金では足りなくて」。小「ボクが立て替えるから、すぐそうしろ」。秘「先生の金で買ったというのは聞こえが悪いので、預かった金を担保に銀行融資を受け、それを使った事にします」。小「おおそうか。わかった。ボクの金を返すのは忘れるなよ」と、およそこんなことだ。

 さらに秘書は、実際に買った年度を1年繰り下げ、仮登記ではなく本登記完了の日をもって買収の日とした。それを知っていたとしても、なんで総理大臣になる可能性のある政治家を3年も4年も疑惑でしばりつけ、政治的生命を奪いかねない状況を作りだすのか。

 控訴されればさらに最高裁まで被告の立場が続く。政治とカネの問題は古い政治家ならほとんどがすねに傷を持つ。小沢だけがどうしてこんな微罪で追いかけ回されなくてはならないのか。判決は、小沢の政治家としての注意が足りないことを指摘しているが、それ以上に検察側の供述調査偽造などについて「あってはならないこと」、「決して許されない」などの激しい言葉で糾弾している。

 この裁判の取調べに関して不当性を声高に主張したのは、小沢とその弁護団である。それが認定されたことがどうして実質小沢の敗訴になるのだろう。新聞はこれに触れないか全く軽視した上で、無罪となった小沢の政界退陣だけを叫びつづける。小沢判決をどう読んでもそういった結論はでてこない。このマスコミの異様さはどこからくるのだろう。

 もうひとつ、4億円の中味として、解散した政党の数十億円の政党助成金を個人が着服した疑いがあるということをあげる。特捜部が調べて、その疑いがあれば4億円を隠しておきたいという有力な動機になり、小沢共謀の証拠として使える。

 かりにそれが法的な犯罪を構成しなくても証拠があれば利用するはずだ。また、マスコミがそれをいうのなら裏付けを示さなければならないがそれもない。繰り返すが、国会議員を裁くには司法による結論か選挙しかないのだ。人気や好き嫌いで身分を脅かすことはだれにもできない。小沢叩きの異様さ、これが庶民である塾頭の感覚である。

 さらに誤解されないよう付け加えておこう。無罪が確定したなら、復権して大いに政治手腕をふるうべきだ。ただし、秘書の一審有罪判決があるので、要職就任は控えるのが当然であり、それが今回の判決を尊重する証しにもなる。また、裁判で指摘されたような政治資金の秘書任せ、法軽視が繰り返されれば、もう小沢に先はない。同時に「かばん」に頼ろうとする時代ではなくなったことを知るべきだ。

|

« 辺野古断念まで米追随? | トップページ | 憲法記念日メモ »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

4億円の私財が多すぎるといっているのではありません。そのカネの出所が問われているのです。
4億円の土地購入の原資について小沢はどう説明したか。
最初は「皆様の献金」→2009年10月「銀行からの融資」→2010年1月16日「父親からの遺産」→2010年1月24日「私や家族の口座から引き出した事務所金庫内の金」。
ころころ変わっているわけです。で、普通の人なら嘘ついてんな~と思うのですが塾頭は不問になさっている。
たとえ話の問答も噴飯モノです。不動産を買うのにモノを見ずに秘書の話だけで買う人がいますでしょうか?そもそも政治家がなんで政治資金で不動産を買うのか?しかも所有権は自分の名義で。
どの世論調査でも反小沢感情は高いですがきわめてまともで、誰もが以上の疑問を持っているのです。逆にこういうことを何とも思わない塾頭が不思議に思えるわけです。

投稿: ミスター珍 | 2012年5月 3日 (木) 11時07分

あなたの言っている――おそらく新聞情報でしょう。それが仮に全部真実だとしても、裁判所が有罪判決できないものを、つまり推定無罪の人を政界から抹殺する権利があるのでしょうか。

道義的責任は裁判でも言っているし、私もそれを負うべきだと言っています。小沢の人柄は選挙民が判断すべきことで、あとは、法の判断に従うべきではないですか。

なお、不動産取引や登記は実務経験があり、そんなに不自然ではないと思っています。4億円の出所は特捜部で聴取しています。不正があれば共謀の訴因にあげるべきだったのにしませんでした。

珍さんは違うと思いますが「小沢は嫌いだから怪しい。ゆえに黒だ」は、あってならないことだと思います。

投稿: ましま | 2012年5月 3日 (木) 11時53分

今、大爆笑です!
ついさっき、つまらぬ怒りから、亡き心の師匠への思いでしんみりとしていたのに…。
携帯クリックするんでなかった(笑)!
ちょうど私が『大嫌いな』と、あなたに気を遣って(笑)小沢氏に形容したことを、あなたがご丁寧に解説まで付けて論じていたので、もう徹夜ついで!書き込み突撃しまぁーす!!
なんか気分は将棋の大名人、いや、右翼でない方ですが(笑)みたいですが、何なんでしょうね?
小沢さんが有罪にならないのは、ド素人でもわかる話なのに!
馬鹿をさらけ出して書き込みますよ。
何故か?私は、昨日の夜から実は相当怒っておりまして(笑)、いや、マスコミにです。
つまりは、維新の会がこどもについての破廉恥な条例を謝罪した、一旦撤回したという『快挙』を一切、テレビ放送しないことに対する怒りです。
フランス社会党が新保守主義政権を打倒した(笑)、久しぶりに気分のよい日に、今度はついに、あの橋下に『土がついた』様が見られるかと、下世話ながら期待すらしたが、完璧に裏切られた。
そんな流れで、思わずネットで徹夜と酔狂なことをした最中の、このサイトだった次第です。
直接的にはつながらない小沢と維新の会…。
でも、マスコミがご都合よく利用している風にしか見えないのは同じ!
小沢にはよくてもヒール、できれば潰れて欲しい。その心は善くも悪くも現実政治で『自発的に動ける数少ない政治家』である小沢氏は、多分左右の思想的立場等を越えて断言できるだろうが、社会を仕切る側には煙たい存在だからだろう。
『彼らにとって』90年代までならば、ここまで嫌がる理由もないし、せいぜいダーティ、こわもてで囃し立てるレベルでオッケーなキャラだった小沢さん。しかし、リアリスト(笑)な彼がどの何とかとも寝るノリで、些か左スイングし始めた辺り…自分サイドに近づいたので弁護していない。何党であれ、政治家なんてそれくらいの厚かましさと、融通が利かないと『観念政党』になってしまう。小沢の場合、自由党から民主・社民党に気配りするまでのハイジャンプをやってのけるのは、けっこうえぐくはある(笑)…とにかく、あの辺りから、右派側には裏切り者みたいに思われたのだろう。しかも力があるから、目の仇にされている。
そいつが復権して今度、今をときめく愛国的な右翼軍団と組んだら、『彼らにとって』不都合なんだろう。幸い、筋目を通す右翼、静香ちゃんは排除できたみたいだが、これで小沢さんが橋下などと絡む可能性は低くはないかも、くらいにはなったろうか?減税で人気者とコンビ組まれたら大厄介!
だから、たたきまくる。
またまた岩見、不愉快でしょうが(笑)、彼などは、常識ぶった中高年大衆層には権威だろうから
こいつが、口を膨らまして長年の政治記者として…とか言い出すと困ったもの。鳥越さんはよくやってくれたと思います。
どこぞの官憲上がりの爺が『好き嫌いで決めろ!』とか本を出していたが、ジャーナリストがそれじゃあな。だから提灯河豚なんだよ!
小沢さんへは、もう駄々っ子みたいな奴は黒だぜキャンペーンなのに、誰がみてもブッチキリで極悪な、大阪維新の発達障害条例は『箝口令』に等しい、テレビ規制?
産経新聞ネット報道で維新の会が頭を下げて謝罪する写真入り解説記事を読むという、非常にナンセンスな展開。
あの、薄汚く知的水準の低い産経記事のヤフーコメント欄で、橋下やばい、無責任、政治家として云々などと意外というか当たり前な意見が数多く出ていたのとは、好対照でした。中には関西の方のコメントで『関西でテレビでろくに取り上げない』というのもありましたね。
軍国日本を弁護する、財界を護るためにと明言する思想結社;産経でさえ新聞記事としてはきちんと報道しているのに、何故か古館、23クロスですら一秒も話題にしない不気味さ!政治にはどうでもよい瑣末なことでも、橋下をテレビに出すのに躍起になるのに、だ!
いくらネット社会でも、おかしい。
だらだら書き込みまして失礼しました。

投稿: 暇 | 2012年5月 8日 (火) 08時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/45082859

この記事へのトラックバック一覧です: 小沢裁判と庶民感覚:

« 辺野古断念まで米追随? | トップページ | 憲法記念日メモ »