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2012年4月 2日 (月)

中国から見た北朝鮮、韓国、日本

  広大な面積、13.5億の民、「中国から見た……」といっても決して一様ではなく漠然としてつかみようのないものだろう。ところが「共産党」という大きな一枚の鏡がある。この鏡は実像・虚像いりまじり、あるいは映らない部分もあるが、この鏡を見て冷静に分析を加えるという利点もある。

 その点、個人崇拝の宗教ですっかり覆われてポスターのような北朝鮮のそれとは全く違う。また日本には、旧ソ連の時代の思想と区別ができない人が多いが、フルシチョフの時代には、中・朝ともに完全に対立関係にあるといってもいい時代があった。

 どこの国の共産党でも、マルクス・エンゲルスの共産党宣言に端を発していることだけは間違いない。理論・理念が尊重され、政治に正しい方向性を与えようとする共通点もある。スターリンの過ちは、各国の独自性は認めず、クレムリンを唯一正しいものとして世界制覇をたくらんだことにあった。

 それぞれの民族には、独特の風土・伝統・習慣となによりも誇るべき文化と歴史がある。それらを一様に「反革命」で葬り去ろうとすれば、抵抗を受けるのは当然である。4000年の歴史を誇る中国が、覇権主義反対、内政不干渉、民族自決をかかげてソ連国際主義に対抗したことは、忘れてはならない。

 さて、前置きが長くなったが、中国の今後を占ううえで、「歴史」は決して軽視できない問題だ。「歴史問題」というと、すぐ「南京事件」などと細部にこだわりがちだが、やたらに対立をあおるのでなく、尖閣問題なども含めて長い目で検証し合うことに、両国が協力しあう余地は大いにあるといえよう。

 中国と朝鮮の関係は、神話の時代はさておいて、4世紀初頭まで不完全ながら帯方郡など中国の置く4郡が支配していた。その中でほぼ時を同じくして北から高句麗、百済、新羅、そして駕羅の4つの勢力が分立、中国王朝から冊封を受けて自らの地位を確保しようとした。

 駕羅は、はっきりした国家の態を欠くが、以前から住んでいた倭人が主導権を持っていたのではないかと推測される。仁徳の頃からかといわれる倭の五王は、東晋や宋、斉などの皇帝に朝貢し、五王の最後にあたる武(雄略)は、使持節都督倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓六国諸軍事鎮東代将軍の号を受けている。

 これは、倭(日本)国内の王権強化の目的もあるだろうが、朝鮮半島内で三国と相対峙する地位を確確保する目的が主であったことを物語る。しかし、その後じわじわと新羅、百済に浸食され、欽明朝には、遂に任那滅亡(562年)といわれるようになった。

 589年、統一国家として隋が誕生する。倭王武が梁に朝貢した502年から100年近くたった600年の推古朝まで全く接触のなかった日本は、あらためて隋に遣使する。そして引き続き607年の遣使の際、有名な「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す」云々の挨拶となるのである。

 以前の冊封を求めるような卑屈さはすでにない。もう朝鮮半島には主張しなければならないような支配地がないからだ。冊封ではない対等な関係を宣言したかったのだろう。隋の煬帝はその無礼を怒ったが翌年返礼の使者を派遣し、友好関係を結んでいる。

 隋にとって、重要度が高く最も神経を費やさなければならないのは、地続きで過去何度も衝突を繰り返した高句麗である。冊封は、郡による直接支配にかわって王朝の権威と内部体制維持のための重要な機構の一部となっている。

 煬帝は出過ぎた日本に、「またもって聞するなかれ」(二度と聞きたしない)と怒ってみせたがそれだけである。ところが高句麗の場合は違った。領地侵犯を理由に兵を発し、それを謝罪しても朝貢回数が少ないとか礼を失しているといういいがかりをつけて200万という大軍を向けたのだ。

 ところが足元で反乱がおきたり高句麗に追い返されたりで成功せず、煬帝が軍の先頭に立つなど3度も遠征を試みたがいずれも失敗、ついに、隋の国運が尽き、煬帝も国内大乱の中で殺されてしまうのである。

 そのあと、唐の時代になり朝鮮3国は一斉に唐と冊封関係を結んだ。しかし、初代皇帝高祖は、隋の失敗に鑑み、民を安んずるためには、高麗を冊封体勢から除外する方がいいと考えた。これを阻んだのは帝をささえる側近たち、すなわち官僚群である。

 その言い分は「遼東の地は周の時代の箕子朝鮮以来のものです。魏、晋の前から中国が封じた内にある。どうして不臣を許していいものでしょうか。もし高麗と対等の立場に立ったら周辺の四夷が中国を仰ぎ見ることをやめるでしょう。中国は夷狄から見て太陽や星のようなものです」というものである。

 つまり、中国から見て高句麗(高麗)は、日本、もっといえば百済・新羅とも全く違った重要かつセンシティブな存在なのだ。塾頭は、現在の北朝鮮に対して腫れ物に触るような中国の態度に、ついこの故事を思い出してしまうのである。

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コメント

北朝鮮を腫れ物扱いしているのは日本だけでしょう。

中国共産党は内政に影響がなければ「北朝鮮に関与するつもりは無し」という姿勢です。基本的に北朝鮮に対する中国カードというものは存在しません。日米韓のメディアが勝手に妄想しているだけです。

朝鮮半島から見る中国は半島に利益をもたらすか否かです。日本が中国に求めるのはやはり利益です。中国から利益を得られなくなれば撤収するだけの相手ということです。

朝貢というと上下関係があるようにとらえますが、古来より朝貢の目的は主権者としての権益を認めさせ、相互貿易による利益の独占を目的としていたものです。中国と周辺諸国は互いに利を分け合った関係にあったと言えるでしょう。ペルシャ帝国やローマ帝国もそうして大国を維持していました。

では何故、日本は北朝鮮を腫れ物扱いしているのか。答えは簡単です。日本を大国だと錯覚しているからです。資源の無い日本は本来は小国でしかありません。「虎の威を借る狐」「身の程知らず」と笑われないような日本人であってほしいです。

投稿: ていわ | 2012年4月 2日 (月) 22時20分

ていわ さま こんにちは

私の乏しい経験ですが、中国に行ったり中国人と話したりして感ずることは、朝鮮人に対する異様な反応で、反朝デモや反韓デモなど聞いたことがないのに、なにか在中朝鮮人を嫌っています。

彼らは中朝国境付近に多く住んでいるわけですが、知識階級としての仕事を得て北京などにも大勢いるらしく手ごわい競争相手です。

また彼らは、チベット人やウイグル人よりずっと数はすくないのですが、国から少数民族として扱われています。したがって、政府は北朝鮮への対応に非常に苦慮しているはずです。

もし、間違いが起きればチベット・ウイグルに影響しかねず、それこそ隋滅亡の悪夢がよみがえるのかも知れません。

この点、兄と観点を異にするようです。

投稿: ましま | 2012年4月 3日 (火) 10時19分

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