« 反戦塾乗12/4/12  | トップページ | 「最も警戒すべき国は中国」金正日遺訓 »

2012年4月14日 (土)

発射失敗後の北朝鮮

 先月末の「反戦塾乗」で、北朝鮮の<衛星>打ち上げ失敗を予測し、それにどう備えるのか、というような記事を書いた。北朝鮮は王朝の後継者・正恩推戴と金日成生誕100年記念、そして強勢大国を開く号砲・打上げ花火と位置付けたミサイル発射に失敗し、世界に醜態をさらした。

 それに劣らぬ破片落下の「お祭り騒ぎ」で失態を見せたのが日本政府とマスコミである。「北はこの失敗を取り返すため、近々核実験を行うだろう」と、変わらぬ「脅威論」をあおることだけに余念がない。

 今回の打上げが、ミサイル開発だったとしても大陸間弾道弾、つまりアメリカ向けであって、日本向けにそんな高価なものを使うはずがない。それより恐怖を抱かなければならないのは、すでに開発済みとされる日本向けノドン2~300発の方である。

 核弾頭を積まなくても、放射能や生物化学兵器をまき散らし、日本を混乱に落とし入れるのならノドンで十分だ。国民にとって不安なのは、アメリカ頼りきりの日米同盟とか、安保理の制裁決議頼みで日本独自の外交・防衛戦略がないことだ。

 さて、本題に入ろう。今後の北朝鮮がどうなるのかである。打上げ失敗が報じられた直後、まず両極端の北の反応を考えて見た(その中間はいろいろあるが省略)。

 ①北は「某国の攻撃で衛星切り放し前に撃ち落とされた。共和国は断乎この敵対行為を究明し、無慈悲な反撃をもってこれにこたえるだろう」という声明を発表。従来路線をより強硬なものにする。

 ②「技術上の問題が発生し、衛星の打ち上げは延期した」と正直に発表し、「この問題は偉大な指導者のもとやがて解決される」と、ミサイル打上げを当分凍結する。

 北朝鮮国営テレビの「打上げ失敗声明」で①はなくなった。その中で、自信満々の事前予告にもかかわらず「失敗」という責任追及に及びかねない文言を使った事、これは、②でいう塾頭の想像をはるかに上回るものだった。

 北朝鮮は明らかに変わった。同国のことだから、今後どんなハプニングが起こるかわからない。しかし、外国記者団を呼び込んで機密にわたるようなことまで見せる記者会見を公開したり、番組を中断して「失敗」の臨時ニュースをながすなど、これまでとはたしかに違う。

 打ち上げ前から気がついていたことだが、衛星打ち上げの目的として「農業発展のため」という1項が加えられていたことだ。これは、明らかに「食糧難に目をそむけた無駄遣い」という批判を意識したもので、国内にも無視できない反対意見があり、ことによるとミサイル関連部門優遇に対する軍内部対立を物語るものかも知れない。

 前述したが、失敗の名誉挽回のため3回目の核実験をするという軍事筋や北朝鮮ウオッチャーの観測が多い。しかし、塾頭はこれにも疑問を持つ。北は、すでに核保有国であることを自認し国内宣伝に使っている。また、どう転がっても衛星とちがって飯のタネにはならない。

 仮に核実験を強行すれば、衛星の場合と違って中国の同情は得られず、国連安保理の制裁決議は避けられなくなるだろう。北朝鮮はそれらをいつもカードとして使ってきたというが、それはこれまでのことで、もう各国に見透かされているから使えないカードだ。

 当塾が遠い歴史的事実をたびたび引くように、中国が利益を度外視して北朝鮮を助けたり、北も中国を頼りにするという相思相愛のような関係ではない。北朝鮮は、ミサイルの失敗を奇貨として、実益のない核兵器開発を放棄(それにより衛星開発も公認される)することでアメリカとの交渉の糸口を維持発展させるという変身ぶりを見せるかもしれない。

 その時、日本は東アジアの外交舞台でだれからも相手にされない孤児にならないようにする用意ができているだろうか、与野党を見回しても、そういった政治家が存在するとは到底思えない。

|

« 反戦塾乗12/4/12  | トップページ | 「最も警戒すべき国は中国」金正日遺訓 »

東アジア共同体」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

2009年の打ち上げ時にも当時の麻生内閣が『ミサイル撃墜』が命令されPAC3やイージス艦が配備される騒ぎに。
これに対して、もしも実際に日本が撃墜していたら臨戦態勢の北朝鮮は即座に対応する準備を取っていて、日本の軍事行動から戦争に発展していたとの恐ろしい話を、韓国紙が報道しています。
可能性としては低いが自衛隊の現場指揮官の判断一つで、日本が全く望んでいない戦争に突入すると言う旧関東軍的な話。
今回は初めて予告打ち上げで、日本側が事前に破壊命令が出されているので杞憂ではなくて①の話も現実味もあったのですね。
今回の打ち上げ失敗ですが、一番穏当な結果でしょう。
成功していればアメリカとしても振り上げた拳を下ろせない。
初期の段階の失敗なので穏便に済ます可能性も生まれてきます。
北朝鮮ですが目は目をのハムラビ法典ではないが今までは力には力をとのアメリカ的な力に頼る強硬路線で制裁に対しては核実験で答えていた。
幾ら北朝鮮でも核実験の実施にはハードルが高くて、国家としての大義名分が是非とも必要なのです。

投稿: 宗純 | 2012年4月15日 (日) 11時10分

宗純 さま
コメントありがとうございました。
①の北の対応は、反戦ブログの戯言てなくたとえ実行までいかなくともあり得ると思いました。
その際の日本政府の狼狽ぶりを見るだけで効果100%でしょう。

北の軟化転換も十分あり得ると思います。中東リビアやビルマ民主化、イランの6か国協議復帰、シリアの停戦試行など強硬独裁軍事政権が続々融和路線に向かい始めました。

その中で北だけが突っ張り続けるというのは、いかにもきつすぎます。堪え切れるでしょうか。

投稿: ましま | 2012年4月15日 (日) 16時07分

北は変わりませんよ。
今回は金日成生誕100年祝賀とミサイル輸出のプレゼンを兼ねてたから珍しく報道サービスしたんでしょ。よほどの自信があったのにとんだ赤っ恥を掻いて、また誰か責任を取らされるわけ。北の数少ない輸出産業のミサイルの商品性が地に落ちて頭抱えているはず。日本としてはさらに締め上げて体制転覆を目指すべきです。もっとも民主党政権にそんな能力はありませんが。
中朝が相思相愛に見せかけてその実、嫌悪し合っているというのには同意です。

投稿: ミスター珍 | 2012年4月15日 (日) 22時26分

ミスター珍 さま
マスメディアの多数意見はそのとおりですね。しかし正恩が「資本主義的でもいいことはとりあげよ」とか「世界標準と違うものは改めよ」などと指導し、正日とは違ってきたなどのニュースが散見(12日「毎日トップ」)されるようになりました。

兄のいう「締め上げて体制転覆」のうち、徐々にではなく「転覆」を望んでいる国はどこにもないでしょう。それが国益に合致する国はありません。日本も拉致被害者救出が困難になります。

なお、ICBMの売り込み先、イランはすでに北に頼っていた技術の上を行っており、そのほかには見当たりません。ノドン級がほしいという国なら今回の発射はなくても安ければ売れるでしょう。

投稿: ましま | 2012年4月16日 (月) 13時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/44879507

この記事へのトラックバック一覧です: 発射失敗後の北朝鮮:

» 韓国総選挙で与党辛勝と北朝鮮の打ち上げ失敗 [逝きし世の面影]
『4月11日総選挙』与野党実力伯仲の韓国 日本に一番近い隣国である韓国の総選挙(定数300)が4月11日行われ、李明博政権与党セヌリ党(旧ハンナラ党)が45.4%の得票率で過半数ぎりぎりの152議席を得ている。 旧ノムヒョン政権与党で野党第一党の民主統...... [続きを読む]

受信: 2012年4月15日 (日) 09時29分

« 反戦塾乗12/4/12  | トップページ | 「最も警戒すべき国は中国」金正日遺訓 »