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2012年3月25日 (日)

(続)小沢判決の行く手

 前回、4月26日に行われる小沢一郎強制起訴による裁判判決が、有罪、無罪のいずれであっても「勝者はいない」と書いた。問題は政局にどう影響するか、である。塾頭は、半年前まで小沢が党を割って新党結成、などを漠然と考えていた。

 しかし、前回述べたように、無罪判決を小沢が勝ち取ったとしても、凱旋将軍のように迎えられる環境になく、かつての剛腕も周辺の警戒感と裁判から受けたダメージにより、よほどのハプニングがない限り振える余地がすくない。

 結論をいうと、小沢判決は政局に影響せず、政界は膠着状態が続いて、野田政権もなんとか国会を乗り切り、解散・総選挙のないまま秋まで続くだろうということである。もちろん、小沢支持グループは、不信任案や重要法案の反対投票等で民主党を揺さぶり続けるだろうが、小沢の力の源泉は与党にあればこそのもので、必要によりどんな妥協でもして見せるのが小沢流だ。

 政界膠着状態が続く原因をさらに上げてみよう。まず衆院の議員定数問題である。選挙区により1票の価値に2倍以上の差がある現行制度が違憲状態にあるという判決があり、これを改めない限り、解散・総選挙に問題が生ずる。選挙が無効だなどとなると大変なことになる。

 緊急避難として、自民党から0増5減案が出されていたが民主党が同時に比例区80減の公約にこだわり、公明党は選挙制度抜本改革を主張して妥協が困難だと見られていた。しかし、野党はこのまま、解散回避の口実に使われ、野田政権の延命に手を貸すようになっては、元も子もなくなる。また、野田総理も自ら解散権を封じることは、得策と言えない。

 小政党は、2大政党を固定させる小選挙区より有利な中選挙区指向であったが、社民党なども0増5減案をとりあえず支持する方向になっている。公明党の反対はあるが、解散が現実問題になれば公明を振り切ってでも0増5減案で乗り切るしかなさそうだ。

 もう一つの難関と見られていた「社会保障・税一体改革」も、民・自それぞれ党内に反対意見があるものの妥協点をさぐる動きがでてきており、公然と大連立が噂されるなど「避けて通れない道」という形での合意形成が、何らかの条件を伴って成立する可能性がでてきた。

 自民党の谷垣総裁は、早期解散を叫び続けるが、今の政党支持率では到底過半数をねらえるあてがなく、だれの目から見ても建前論だということがわかる。さらに公明党の方でも、選挙制度改革に冷淡で民・自大連立が噂されるような自民とは、これまで通り無条件で選挙協力することに距離をおき、橋下新党などをにらんで次の手を模索することになる。

 こうして見ると、早期解散を有利と見る勢力はどこにもないことになる。ただひとつ、大阪の橋下市長が市長選勝利の勢いに乗って「維新政治塾」を開講、2000人を集めて国政進出要員を養成するという、一見台風の目と思える動きがある。

 それが台風として吹き荒れるのか、単なるバブルで終わるのか予測がつけがたい。バブルであるとすれば時間の経過で自然に消え去る運命にあるが、当面の候補者を促成栽培しようというのは、松下政経塾のように長期的目標に立ち、手当まで支給して人材育成をしようというのとは全く違う。

 これら新党ブームも、解散時期は既成政党に有利になるようにタイミングをはずした方が賢明だという考えに向かうだろう。そんなことで国民の憂鬱はまだまだ続きそうだが、ファシズムで国論統一されるより、多くの意見を練りあげて漸進的に国政改革を進めた方がよい結果を生むということも忘れないでおこう。

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