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2012年3月 6日 (火)

東電訴訟で断罪へ

 昨5日、東電の株主42人が勝俣恒久会長ら新旧役員27人を相手取り総額5兆5045億円の損害賠償を同社に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。対象は事故当時の役員18人のほか、文部科学省が三陸沖でマグニチュード(M)8クラスの地震が起きるとの長期評価を公表した02年7月以降の社長、会長、原発担当の役員である。訴状の詳細はわからないが、毎日新聞によると次の部分が含まれている。

原告らは02年7月の長期評価のほか▽08年春に明治三陸地震(1896年)級のM8・3の地震が福島県沖で起きた場合に最高15・7メートルの津波が同原発に来るとの社内試算があった▽09年に原子力安全・保安院から貞観(じょうがん)地震(869年)を踏まえた津波対策の検討を促されていた--などと指摘。警告に対する具体的な対策を怠り、莫大(ばくだい)な損害を生じさせた。

 請求通りの損害賠償判決が出ることは考えにくいが、上記の事実認定が行われれば東電の「想定外」発言の根拠が全く失われ、天災を理由にする責任逃れは根拠を失う。事故の原因調査は今年夏までかかるというが、施設の内部に入れないかぎり津波以外の原因究明は困難を極めるだろう。

 そういったことが無くても、政府の原子力安全・保安院が東電の怠慢を知っており、1年以上もフォローアップしなかったこと、原子力安全委員会も放任していたことなどが証明されれば、裁判により、日本の原子力体制の根本的な欠陥がさらされることになる。

 原発運転を再開するかどうかは、反対者の誤解を恐れずに言うと些細な問題である。その前に、原子力村を解体し、新規原子力保安体制を築く準備を一刻も早く前に進めなくてはならない。遅々として進まないのは、原子力村の抵抗が潜んでいるからだとしか思えないのだ。

 その意味で訴訟で提起されたことは、非常に重みがある。真相が司法の場で一日も早く明らかにされるよう願ってやまない。斑目原子力安全委員長は、かつて高浜原発訴訟で証人に立ったことがあるそうだが、請われれば勇気をもって是非もう一度証言台に立ってほしい。

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