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2012年3月

2012年3月30日 (金)

反戦塾乗12/3/30

線路の上を太陽光パネルで
 オイルショックの時もさんざん太陽エネルギー利用のアイディアがあふれた。
 その中に、全国の鉄道線路の上を太陽パネルで覆うという案があった。土地代ゼロ、送電線新設費ゼロ、電力を電車に使えば交流転換不要、送電ロス最低。日陰を走る列車の冷房負荷低減。管理費は保線作業と共用などなど、いいことづくめだったがこの頃は聞かない。何故だろう。

国論に逆らう原発輸出(3/31・追記)
 日立製作所がリトアニアに原発輸出をすることを決めたというニュースがある。政府がはっきり「脱原発」といわず「依存」などをつけてごまかすからこういうことになる。日本が味わっている苦悩を外国に味わあせないという保証はあるのだろうか。東芝などもそうだが、これをやめさせるには、「脱原発」を明言する政府を選ぶか輸出企業製品の不買運動をするしかない。

松下幸之助遺訓(謹呈・野田総理)

    われわれはもっと自在でありたい。自在にものの見方を変える心の広さを持ちたい。何ごとも一つに執すれば言行公正を欠く。深刻な顔をする前に、ちょっと視野を変えてみるがよい。それで悪ければ、また見方を変えればよい。そのうちに、本当に正しい道がわかってくる。模索のほんとうの意味はここにある。そしてこれができる人には、ゆきづまりはない。(『道をひらく』PHP研究所)

ミサイル発射失敗したら
 北朝鮮のミサイルか衛星か知らないが、その破片なり残骸が日本に落ちてくれば人命に被害を及ぼすなどと、日米のけっこう偉い人まで騒ぎ立てている。前回もあったことだが、迎撃ミサイル配備のために「準備命令」を発令し、弾道ミサイルに対する「破壊措置命令」を出すなど、にぎやかなことだ。

 準備をおさおさ怠らないのはいいことだが、原発事故にこれだけ用心する気があれば防げることがもっとあったはずなのになあ、と思う。そもそも、日本に何か落ちてくるというのは、打ち上げ失敗を意味し世界中に知れわたる。

 前々から、金日成生誕100年に合わせてなど内外に華々しく宣伝してきたことだ。成功によほど自信があるのだろ。情報化が進んだ北朝鮮は、これまでのように国民をウソをついてごまかすことはできまい。失敗したらどうするのだろう。

 漸く権力移行に成功したかに見える金正恩の威信も権威もすっ飛んでしまう。軍は総崩れで内紛から内乱へ――。これへの用心と対策の方がよほど大切だと思うが、この事態にはどう対応するか。その方のの議論はさっぱり聞こえてこないのだが。

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2012年3月28日 (水)

ようやく春が

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  天神さまの梅はようやく5分咲き。公園の放射能はようやく目安値の0.23マイクロシーベルトを0.01マイクロシーベルト下回りました。しかし、福島の春と日本の政治の春はまだまだ遠い先です。それでも必ずやってくることでしょう。
Dscf3616_2  

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2012年3月27日 (火)

情報調査と内部告発

 今日(27日)の新聞報道で、気になるしかも後味の悪い記事を2件目にした。ひとつは大阪市の労組と維新の会側の醜い曝露、訴訟合戦で資料ねつ造がわかったこと、もうひとつは、自衛隊の情報保全隊の個人情報収集が、一部不法という仙台地裁判決が出たことである。

 簡単に紹介すると、前者は、平松邦夫・前大阪市長の後援会への参加を職員労働組合が市職員に徹底させる内容の職員リストが見つかったが、これは、市交通局の非常勤嘱託職員が人事データを流用して文書を捏造したものであることが判明した。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201203270015.html

 後者は、自衛隊のイラク派遣反対の街頭活動に対する陸上自衛隊情報保全隊の情報収集を巡る訴訟で、26日の仙台地裁判決は、参加者の氏名、職業、所属政党に関する個人情報が調査され、その後の情報収集を違法として30万円の賠償を国に命じたものだ。
http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2012/03/27/20120327ddm041010062000c.html

 いずれも、内部文書によもる密告から表面化したもので、法令違反というより、戦中・戦後に盛行した陰湿な思想・信条の調査を思い出させるものがある。その後講和条約が発効し、憲法の精神が普及することにより、そのような調査は下火になったように見えた。

 同時に言えることは、個人情報秘匿に過敏すぎて孤独死を見逃すような昨今の現象がある反面、上述のような調査に対しては世間が以前より寛容になったような感じがすることだ。さらに付け加えると、当局が内部告発に対して無防備で、簡単に表面化させてしまうのはなぜだろう。

 一方、内部告発者も、前者ではコンピュータに痕跡を残すなど全く不用意で、かつて前原民主党代表を退陣に追い込んだにせメール事件や、尖閣諸島の中国漁船衝突ビデオ流出などを彷彿とさせる。

 こういった実態は、秘密情報をさぐるため逆スパイを潜入させることも簡単であるということにつながる。権力機構と透明性は、どうしても「なさぬ仲」なのであろうか。ふたつのニュースを見て感じたことである。

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2012年3月25日 (日)

(続)小沢判決の行く手

 前回、4月26日に行われる小沢一郎強制起訴による裁判判決が、有罪、無罪のいずれであっても「勝者はいない」と書いた。問題は政局にどう影響するか、である。塾頭は、半年前まで小沢が党を割って新党結成、などを漠然と考えていた。

 しかし、前回述べたように、無罪判決を小沢が勝ち取ったとしても、凱旋将軍のように迎えられる環境になく、かつての剛腕も周辺の警戒感と裁判から受けたダメージにより、よほどのハプニングがない限り振える余地がすくない。

 結論をいうと、小沢判決は政局に影響せず、政界は膠着状態が続いて、野田政権もなんとか国会を乗り切り、解散・総選挙のないまま秋まで続くだろうということである。もちろん、小沢支持グループは、不信任案や重要法案の反対投票等で民主党を揺さぶり続けるだろうが、小沢の力の源泉は与党にあればこそのもので、必要によりどんな妥協でもして見せるのが小沢流だ。

 政界膠着状態が続く原因をさらに上げてみよう。まず衆院の議員定数問題である。選挙区により1票の価値に2倍以上の差がある現行制度が違憲状態にあるという判決があり、これを改めない限り、解散・総選挙に問題が生ずる。選挙が無効だなどとなると大変なことになる。

 緊急避難として、自民党から0増5減案が出されていたが民主党が同時に比例区80減の公約にこだわり、公明党は選挙制度抜本改革を主張して妥協が困難だと見られていた。しかし、野党はこのまま、解散回避の口実に使われ、野田政権の延命に手を貸すようになっては、元も子もなくなる。また、野田総理も自ら解散権を封じることは、得策と言えない。

 小政党は、2大政党を固定させる小選挙区より有利な中選挙区指向であったが、社民党なども0増5減案をとりあえず支持する方向になっている。公明党の反対はあるが、解散が現実問題になれば公明を振り切ってでも0増5減案で乗り切るしかなさそうだ。

 もう一つの難関と見られていた「社会保障・税一体改革」も、民・自それぞれ党内に反対意見があるものの妥協点をさぐる動きがでてきており、公然と大連立が噂されるなど「避けて通れない道」という形での合意形成が、何らかの条件を伴って成立する可能性がでてきた。

 自民党の谷垣総裁は、早期解散を叫び続けるが、今の政党支持率では到底過半数をねらえるあてがなく、だれの目から見ても建前論だということがわかる。さらに公明党の方でも、選挙制度改革に冷淡で民・自大連立が噂されるような自民とは、これまで通り無条件で選挙協力することに距離をおき、橋下新党などをにらんで次の手を模索することになる。

 こうして見ると、早期解散を有利と見る勢力はどこにもないことになる。ただひとつ、大阪の橋下市長が市長選勝利の勢いに乗って「維新政治塾」を開講、2000人を集めて国政進出要員を養成するという、一見台風の目と思える動きがある。

 それが台風として吹き荒れるのか、単なるバブルで終わるのか予測がつけがたい。バブルであるとすれば時間の経過で自然に消え去る運命にあるが、当面の候補者を促成栽培しようというのは、松下政経塾のように長期的目標に立ち、手当まで支給して人材育成をしようというのとは全く違う。

 これら新党ブームも、解散時期は既成政党に有利になるようにタイミングをはずした方が賢明だという考えに向かうだろう。そんなことで国民の憂鬱はまだまだ続きそうだが、ファシズムで国論統一されるより、多くの意見を練りあげて漸進的に国政改革を進めた方がよい結果を生むということも忘れないでおこう。

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2012年3月23日 (金)

小沢判決の行く手

 4月26日に、検察審査会から強制起訴された小沢民主党元代表の判決言い渡しがある。小沢氏は、その長い政治経歴と政治手法をたどって見ると、決して本塾が積極的支持をすべき政治家ではなかった。

 しかし一昨年、それまでマスコミが、西松建設だとか、ダム工事に神の声などと騒ぎ立てていたのがいつしか聞こえなくなり、秘書を次々と政治資金報告書不実記載容疑で逮捕した。小沢氏については、共謀容疑を追求し始めたが、結局起訴すべき証拠がなく、2度にわたって不起訴となった。

 それにもめげず、検察審査会は法的には可能である強制捜査に持ち込む。その間、代表辞任から、幹事長辞任という形で政治責任を負わされ、遂に「党員資格停止」という、党の処分まで受けた。結局、政権交代の基盤を作り上げた有能な政治家の政治生命が、これからの判決でどう変わるのか変わらないのか、考えてみたい。

 判決は、有罪か無罪かの二つしかない。有罪であっても刑務所に入るような罪を犯していない。これまでのところ、公判の成り行きから見て、無罪の可能性が高いとされる。しかし塾頭は有罪もあり得る、と見ている。

 その理由は、小沢無罪なら石川知裕元秘書らも無罪でなければならないからだ。共謀を疑われて、片方が有罪で、それを全く知らなかったとは言い切れない片方が、完全無罪というのは考えにくいからだ。

 最終意見陳述で小沢氏は「収支報告書に間違いや不適切な記載があっても実質的犯罪が伴わない限り、報告書の修正で処理されてきた。私のケースだけを立件したのは『法の下の平等』に反し、最初から『有罪ありきの捜査』だ」と訴えたという。

 この陳述は、石川被告に「実質的犯罪」がなかったということを前提にしており、同被告の1審有罪判決を否定することになる。司法については素人だが、同一事件で、時期も離れていない判決に全く相反する決定ができるものだろうか。

 塾頭は、判決が有罪・無罪のいずれであっても万歳を叫ぶ勝者はなく、みじめな敗北感を味わうことになると思う。仮に有罪を勝ち取っても、検察はすでに落ちるところまで落ちた。これは結果的に政治を籠絡したとも見かねられない、日本の司法にとって最悪の事態なのである。

 一方、小沢氏が無罪でも石川氏とともに2審以降の裁判が待っている。政治責任はお預けであり、刑事事件容疑に別犯人が現れるようなわけにはいかない。小沢氏も総理の座をねらうには、これからも道義的な限界が問われ続けることになるだろう。

 その中で、ニヤリとほくそ笑む黒幕がいるとすれば誰だろう。小沢をなんとしても政界から消してしまおうという、執念に燃えた人か組織か団体かそれは分からない。「小沢を立件できなかったら検察の負けだ」と口ばしった検事がいるという。特定できない黒幕は確かに存在しそうだ。

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2012年3月20日 (火)

五百旗頭と斑目

 非常に珍しい姓で印象的だが、人は、ふたりの風貌が似ているという。どちらも国の安全や将来の進路を左右する問題について政府内部から進言する立場にあり、テレビの登場回数も多い。五百旗頭(いおきべ)真は、防衛大学校長であり、東日本大震災では、復興構想会議議長も務めた。

 班目(まだらめ)春樹は原子力安全委員長で、原発訴訟で安全性を証言するなど過去の安全神話を支えたキーパーソンであり、菅前首相が福島第一原発に急行した際同行し、爆発の危険性を否定したことでも知られている。

 五百旗頭校長はこの春、多くの成果を残して退官する。斑目委員長は、4月に委員会が内閣府から環境庁に移管されるのを機に退任することを、自他ともに認めていた。そういった共通点も似ていた。

 しかし、塾頭から見ると全く似ていない。まず目元が違う。五百旗頭の芯の強そうな自身に満ちた目と、斑目の物に動じない春風駘蕩といった風貌。五百旗頭は歴史の専門家でもあるため、塾頭と波長が合うことが多いが、斑目は世が世ならば切腹ものだと思うのに、人がいいのか馬耳東風のかまえ。

 果たせるかな、他の委員から強く慰留を受けたらしく、残りの任期を続投するかどうかで迷っているという。もっとも、4月1日からの新体制発足は、国会の空転などで人事のめどがつかないという政権のふがいなさもかかわっている。

 五百旗頭は、小泉首相時代に任官したが、小泉のイラク戦争支援と靖国参拝に反対したものの外交政策全般には高い評価をし、塾頭同様、福田康夫首相の外交姿勢を高く評価している。そういった回顧を書いた毎日新聞コラム「時代の風」は一見の価値がある。
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/

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2012年3月19日 (月)

沖縄の今 2

Dscf3605  下は、塾頭が沖縄滞在中の3月14日付「琉球新報」の社説である。沖縄の現状と住民の心情をあらわすものとして、そのまま再録させていただきたい。県民は、野田総理が沖縄訪問する時が普天間移転問題を左右する天王山だと意識している(カット誌所載)。        

《思いやり予算 被災地の復興に充てよ》大盤振る舞いという言葉がこれほどふさわしい税金の使途はほかに少ない。在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算のことだ。
 防衛省は、1978年度に始まった思いやり予算のうち、79年度~2011年度の在沖米軍基地の施設整備費(FIP)が5556億円に上ることを明らかにした。
 整備件数の最多は家族住宅で1326億円に上る。1戸当たりの延べ面積は約150平方メートルで、基地外の民間地の一戸建て住宅平均の約2倍の広さに当たる。思いやり予算が米兵や家族の居心地の良さにつながり、沖縄の過重な基地負担を下支えしている実態が浮かび上がった。
 そもそも思いやり予算は、日米安全保障条約に基づく日米地位協定上、日本に支払う義務はない。
 東日本大震災で膨大な財政需要が見込まれる中、政府は思いやり予算の大幅減額に切り込むべきだ。
 米空軍嘉手納基地内に2010年、生徒数約600人の中学校ができた。用地面積16ヘクタールは、太平洋の米軍基地内の中学としては最大だ。整備費用の40億円は生徒数が同規模の県内中学校のほぼ2倍。専用の400メートルトラックやサッカー場まであり、豪華さが際立つ。
 同じ年の春には、沖縄市に135億円を掛けて18ホールの米軍専用ゴルフ場がオープンした。返還された泡瀬ゴルフ場(47ヘクタール)の代わりだが、面積は3・6倍に膨らみ、カジノバーまで造られた。
 財政難にあえぐ米政府の予算であれば、これほどぜいたくな施設にはならなかったはずだ。
 日本政府は1978年度から在日米軍に対して「思いやりをもって対処する」(金丸信防衛庁長官=当時)という珍妙な論理で、基地従業員の給与を肩代わりした。
 87年以降の特別協定は、本来は米側が支払うべき基地従業員の給与や光水熱費、訓練移転費などにまで際限なく支払うようになった。
 日本が負担する駐留米軍経費は他国に比べ、群を抜いて高い。だが、米国は中国などの軍事情勢を挙げて増額圧力を強め、在日米軍再編見直しに絡む経費負担増も求めかねない。
 11年度から15年度までの期限で1兆円近い思いやり予算が国会承認されたが、再交渉を求めたい。 東日本大震災の復興は、駐留経費をめぐり連綿と続く対米従属を断つ好機だ。思いやり予算を被災地支援に充てるべきだ。対等な日米関係を築く上でも大義がある。

 同紙などによると、2006年に合意していた米軍再編ロードマップは、在沖海兵隊定員を1万8000人とし、うち8000人をグァム等に移転する計画であった。それが、昨年は定数2万1000人と伝えられており、4700人をグァムに移転させるという、なにか当初案から後退した目くらましのような案が提示されている模様だ。さらにアフガンなどから撤収する海兵隊が加わり、気が付いたら増えていた、などの危惧もある。

 辺野古のキャンプ・シュワブでは、構内で普天間移転に備えるような施設工事が続いているという。北澤防衛大臣当時、「前政権時に契約した工事だから」と弁明したようだが、いまだにストップしていない。また、普天間では新規に老朽化施設の更新が進められている。こういったムダ金使いが一向に改まっていないが、沖縄に落ちる金は7割余り、あとは本土に還流するらしい。春はまだ遠い。

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2012年3月17日 (土)

沖縄の今

Dscf0578  寒いとはいえ、東京にすれば例年のお彼岸後、花見前といった感じ。観光客は年配者のバスツアーのほか、若いカップルが意外に多く、こういった人たちは定番のスポット以外の北部過疎地にも多く見られた。以下塾頭のレポート。

P1000803  琉球古来の聖地・知念村の斎場御獄に残る上陸作戦弾痕の池。

Dscf0638  国立工業高専・校地から見た沖合(中央)の辺野古米軍航空基地建設予定地。
左側がキャンプ・シュワブで、演習地はそこから背後の山林をめぐって南下、4市町村にまたがる広大な面積を占める。その南端がキャンプ・ハンセンとなる。

 Dscf0640_2 団結小屋は、月曜定休日だった。名護市長共闘だから公共施設にあわせたか?。屋外公衆トイレもあり、観光客らしきひと組の男女を目にした。

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2012年3月10日 (土)

殉職

 東日本大震災の一周忌を明日に控え、テレビの回想番組が盛んだ。その中に宮城県南三陸町職員・遠藤未希さんの話がある。

 迫りくる津波情報を防災無線放送で刻々繰り返し、直ちに避難するよう呼びかけた。そのうち、猛威を振るう津波は容赦なく庁舎を飲みこみ、遠藤さんはその場で波にさらわれた。映像は、原野のようになった一帯に鉄骨だけが残った勤務場所を映し出す。

 何度見聞きしても、ことばを失う。そんな時、ふと尋常高等小学校時代に「修身」で習った木口小平のことが頭をよぎった。日清戦争に参戦した陸軍二等卒のラッパ手である。突撃命令のもと全軍鼓舞のためラッパを吹く。♪ミミドドミミミソミソミドドミ……。

 教科書には「キグチコヘイハ テキノ タマニ アタリマシタガ、 シンデモ ラッパヲ クチカラ ハナシマセンデシタ」と書いてあり、われわれがラッパの節につける慣用句は、「出てくる敵は、皆々殺せ」だった。このふたつの話、生かすと殺すの差があり、全く比較の対象にならない。

 漢字で木口小平でよかったかどうか、念のためWikipediaを見たら次のようにも書いてあった。

新しい歴史教科書をつくる会による扶桑社の市販本では、死んでもラッパを手から離さなかった、と変更され、後に教科書として文部科学省の検定に合格した。さらにその後、口から離さなかったと自主訂正された

――塾頭は明日から沖縄旅行にでます。

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2012年3月 9日 (金)

間近に迫った原発ゼロ

 停止中の原発再開の手順は次の通りとなっている。

①電力会社がストレステスト結果を国に報告
     ↓
②原子力安全保安院が結果を「妥当」と判断
     ↓
③原子力安全委員会が保安院判断を「適切」と評価
     ↓
④首相と関係3閣僚が安全性を確認
     ↓
⑤地元自治体が理解
     ↓
⑥首相と関係3閣僚が再稼働を決定

 ①のストレステストは、地震の揺れや津波の高さを従来より厳しく見積もり、それに耐えられるかどうかの評価をする。②は経産省所属の役人。③は内閣府の諮問機関で学者やメーカー出身者など、つまりこれまで「原子力村」を構成してきた人々が主なメンバーだ。

 現在、福井の大飯原発3、4号機と愛媛の伊方原発3号機が②の段階まで達した。政府は早急にこの先を進めたい方針だが、前述のように①②③とも従来の組織とメンバーである。4月には環境省のもと新組織に切り替わるが、メンバーがどう変わるのか変わらないのかわからない。

 原子力安全委員会が今月中に③の段階の結論を出すのかどうか、これまでだったら「問われたことに答えればいい」ということで「適切」の結論をだすところだが、「4月からはいないでしょう」と言っている斑目委員長だ。

 電源全面喪失は考えなくてもいいとしたり、水素爆発はないでしょうといって、信用をまるでなくした委員長のこと、最後の答申をいままで通りですますかどうかもわからない。

 地元自治体などは、福島の事例にそった新安全基準がなければ考慮できないという立場が強い。新基準は4月からの新組織の仕事になる。また、事故原因調査は夏までかかるという。

 当塾で繰り返し指摘してきたように「脱原発依存」のようなあいまいな政策ではなく早い段階で「脱原発」を宣言し、それに向けた移行の手順を怠ったつけが今きている。夏を待たず、5月には原発全面停止となるのがほぼ確実のようだ。

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2012年3月 7日 (水)

島津斉彬

 薩摩藩主・島津斉彬といえば、篤姫や西郷隆盛のドラマで脇役で出ることはあっても主役になることは滅多にない。一番知られているのは、洋学マニアで「蘭癖」と称され、ライフル銃を自作したり、ガラス・紡績の工場を作ったり、水力発電所まで手掛けた日本一の開明殿さまだったことだ。

 その島津候が元祖「大アジア主義者」であることは知らなかった。その発想は――(奈良本辰也監修『幕末・維新おもしろ事典』より)。

 近畿、東海、東山、中国の諸藩はシナ本土に突入し、九州、四国の諸藩はベトナム方面に進出、北陸、東北の諸藩は満州に向かって侵攻する。
 もっとも斉彬は侵攻するとはいわず、シナ国民にかわって列強の侵略を阻止するのだといっている。

 その方面軍の派遣戦略をみれば、英、仏、露の三大帝国主義諸国に対応しようという構想であって、昭和期の軍部戦略も顔負けである。

 薩摩藩主といえば、今にすると鹿児島県知事である。「シナ」をこき下ろしたり、尖閣に隙をねらつて上陸してみたり、都民からも支持されていない小ぶりの東京オリンピック誘致に手をだしたりするなどっかの知事とは、まるでスケールが違う。

 一方、時の政府は、というと、筆頭老中・阿部正弘は、ペリー艦隊来航にあわてふためき、ペリーの要求にどう答えるべきか、譜代・外様の諸大名、幕府の下部役人、諸藩の家臣、浪人、一般庶民に至るまで「よい意見があれば申し出よ」というお触れをだした。

 この案を具申したのは、親交のある斉彬だという説がある。この破天荒のアイディア、何れがまさるか比較はできない。だが、今の国民閉塞状態に打つ手をもたない政治家を見ると、当時がなんとなくうらやましく見えてくるのだが……。

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2012年3月 6日 (火)

東電訴訟で断罪へ

 昨5日、東電の株主42人が勝俣恒久会長ら新旧役員27人を相手取り総額5兆5045億円の損害賠償を同社に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。対象は事故当時の役員18人のほか、文部科学省が三陸沖でマグニチュード(M)8クラスの地震が起きるとの長期評価を公表した02年7月以降の社長、会長、原発担当の役員である。訴状の詳細はわからないが、毎日新聞によると次の部分が含まれている。

原告らは02年7月の長期評価のほか▽08年春に明治三陸地震(1896年)級のM8・3の地震が福島県沖で起きた場合に最高15・7メートルの津波が同原発に来るとの社内試算があった▽09年に原子力安全・保安院から貞観(じょうがん)地震(869年)を踏まえた津波対策の検討を促されていた--などと指摘。警告に対する具体的な対策を怠り、莫大(ばくだい)な損害を生じさせた。

 請求通りの損害賠償判決が出ることは考えにくいが、上記の事実認定が行われれば東電の「想定外」発言の根拠が全く失われ、天災を理由にする責任逃れは根拠を失う。事故の原因調査は今年夏までかかるというが、施設の内部に入れないかぎり津波以外の原因究明は困難を極めるだろう。

 そういったことが無くても、政府の原子力安全・保安院が東電の怠慢を知っており、1年以上もフォローアップしなかったこと、原子力安全委員会も放任していたことなどが証明されれば、裁判により、日本の原子力体制の根本的な欠陥がさらされることになる。

 原発運転を再開するかどうかは、反対者の誤解を恐れずに言うと些細な問題である。その前に、原子力村を解体し、新規原子力保安体制を築く準備を一刻も早く前に進めなくてはならない。遅々として進まないのは、原子力村の抵抗が潜んでいるからだとしか思えないのだ。

 その意味で訴訟で提起されたことは、非常に重みがある。真相が司法の場で一日も早く明らかにされるよう願ってやまない。斑目原子力安全委員長は、かつて高浜原発訴訟で証人に立ったことがあるそうだが、請われれば勇気をもって是非もう一度証言台に立ってほしい。

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2012年3月 4日 (日)

『日本書紀』の読み方

 自民党では、また性懲りもなく新憲法改定案を作ったそうです。今度は天皇を「元首」にするんだそうで、モデルチェンジの目玉はなにかわかりませんが、昔の教育勅語にある「国体の精華」を再現させようとという意気込みのようです。

 こういった人たちに是非読んでいただきたいのが『日本書紀』全文です。『古事記』でもいいですが『日本書紀』の方がくわしく、より後の時代まで書いてあります。

 ただし、要約、マンガ本、電子本では駄目です。同じところを何度も繰り返し、その後の歴史や海外のことも対照しながら読む必要があるからです。おすすめは、原文・読み下し文・解説・注が豊富な岩波文庫版全5冊です。1冊1000円ちょっとだから、そんなに負担になりません。

 片や、マルクス主義全盛の頃にはやった歴史教育を受けた人にもおすすめです。その頃、日本書紀については津田(左右吉)史学が支配的でした。津田博士は共産主義者ではありませんが、戦時中、「書いてあることは嘘っぱちだ」といったことを不敬罪だと攻撃され、出版法違反で検挙、有罪判決を受けました。

 時の権力、国であろうが企業であろうが、歴史を書く上で自らに不利になるようなことは好んで書きません。だからといって、博士の本の中で頻発する「虚構」「潤色」「改作」「作為」、はては「書紀編纂官人のさかしらしさ」などの表現は、「書紀全体が信用できませんよ」といわんばかりで、塾頭も調べ物をしながら「それはちょっと違うな」と思ったものです。

 塾頭は、団体史や企業史を何冊も執筆した経験があります。その際、「歴史の中で、失敗例などもちゃんと書き、それを繰り返さないようにするのでなければ刊行の意味が半減する」といえば、発行元も大抵納得してくれます。

 それから、あくまでも史・資料に忠実で、それに基づかない筆先のあそびは、きびしく自戒するというのが、執筆者の鉄則であり誇りでもあります。したがって発注者の意を斟酌するにしても、意のままに書き換えられるなど、ちょっと考えられません。

 神武即位前紀の、「何年何月何日に橿原の宮に即帝位す」など、暦がなく、天皇という名称も地位も確立していない時代の記述は、たしかに真実ではありません。しかし、何らかの伝説があったかも知れません。すべて根も葉もない創作だ、と決めつけてしまうのもゆきすぎでしょう。

 先月、「卑弥呼史観」というシリーズでも書きましたが、ここ10年ほどの間に考古学は長足の進歩を遂げました。その中には、日本書紀などの古典を裏付ける新発見も決してすくなくありません。日本書紀に親しむことで、より日本の古来の本当の姿がわかりやすくなるような気がします。それは、皇国史観とか国粋主義とは、まったく縁のないものです。

 もうひとつ、日本書紀自体の文献分析が進み、執筆担当者の氏名や執筆方針の一端まで推測されるようになったことです。森博達著『日本書紀の謎を解く』によると、執筆陣の中には、続守言(しょくしゅげん)と薩弘恪(さつこうかく)という2人の中国人の名をあげ、全30巻の半分近くがこの人の手によるものだろうとしています。

 最初にあげた人は、斉明天皇の時代、百済から交戦中の唐の捕虜として贈られたようです。つまり、軍属の戦記記者だったのではないでしょうか。戦況を正確に記録し、戦術の適否を判断し後の参考にするという大切な役目で、前線にいて捕まったのでしょう。

 書紀は、漢文で書かれています。森博士は、書紀全体にわたり、漢文の正しい表記と、誤用あるいは日本人が陥りやすい間違いを分析しました。そのほか、詩などを日本語のまま表記する場合、より正しい発音に近づけるため、どの漢字がいいか厳密に検討しているかどうかも調べました。

 その結果、巻によってはっきり分かれたのです。そして、中国人の手によるとおもわれる巻では、逆に日本人なら誰でも知っている、妻のこともイモ(妹)ということに、わざわざ注釈をつけるなどの不自然さも見られました。

 そして、日本が唐に送った使節のレポートを引用する場合、使節が間違った漢字の使い方をしても、史料に忠実であることを優先させたのでしょう、そのまま訂正せずに載せています。このように、非常に正確を期すよう心掛けたあとが見えます。

 この2人は、律令作成にも協力したらしく、「音博士」という称号をあたえられ、官位につけるなど手厚い処遇を得ています。また「書博士」とされた百済人もおり、こういった各国文化の渾然とした中で、日本のすぐれた独特の文化が形成されてきたことを忘れてはなりません。
 

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2012年3月 2日 (金)

大連立の可能性

 一昨日の国会党首討論に続き、野田、谷垣の密会説が出て、自・民大連立のうわさが一挙に舞い上がった。一寸先は闇の世界だが、前回の原発ゼロの話のように、非現実的な話が急に現実的になるから、国民も用心しておかなければならない。

 解散総選挙の前かあとかは棚に置いて考えてみたい。まず、実現の大前提として必要なことは、公明党の同調である。民・自は選挙の洗礼を受けると両党を足しても過半数割れする可能性がある。

 これまでの算術ではあり得ないことだったが、野田の作戦は「小沢派を切っても消費税を」という捨て身の覚悟に変わった。小沢は自らの裁判が有利に傾いているものの、この前の代表選で海江田という、はた目で見ても軽すぎるみこししかかつげず、その後も政治家としての魅力に影がさしている。

 結局、代表選で野田に投票した議員は、不満があっても野田と行動を共にし、小沢と行動を共にする議員はさらに数を減らすだろう。つまり、小沢派についても与党議員でいることが難しくなったということだ。

 しかし、民主党の現議員が大幅に減少し仮に小沢新党ができれば、民主党の得票は確実に減る。一方、谷垣総裁に不満を持ち、大連立に反対してより右傾化した自民党を目指そうという自民の議員がいる。

 森・安倍両元首相は、谷垣のみこしで民主党の右派をとりこみ、憲法改正などを視野に入れようとするねらいがある。野田や前原だけならそれも簡単だろうが、リベラルを含む今の野田主流派がすぐそれに乗るとは思えない。

 自民党議員の中には、そういった事を見越し、いくつかはできるであろう新党に走る議員も出てくる。そうすると冒頭書いたように大連立が大連立でなくなる。両方で過半数前後ということになれば、どうしても第三の連立相手が必要になる。

 その最有力候補は、キャスチングボード維持が至上命令の公明党をおいてない。その3党以外に過半数をねらえる新党や野党連合は考えられない。公明党の存在で改憲などの右傾化は遠のき、結局政変前の自民体制復活になってしまって、旧小沢自由党の代わりを民主党が演ずるということになりかねない。

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