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2012年1月30日 (月)

送電線を地図から消した電力

 以下、毎日新聞(12/01/30)の記事

 地形図の電子情報化に伴い、国土地理院が電力会社10社に送電線や鉄塔の位置について情報提供を求めたところ、全社がテロなど安全上の問題を理由に提供を拒否し、送電線などの表記が最新の電子地形図から消えたことが分かった。送電線の記載は、登山などで現在地を確認する際に利用されており、日本地理学会などは掲載の継続を求めている。【中西拓司】

 送電線や鉄塔の記載が消えたのは、国土地理院の電子国土基本図。従来の紙の地形図(縮尺2万5000分の1)に代わるものとして、昨年2月からインターネット上で公開している。 従来の地形図は現地での測量に基づいて作製していたが、電子国土基本図は航空写真に、自治体や法人などから寄せられた道路や建造物の位置情報を反映させて作っている。

 送電線や鉄塔などは航空写真では確認しにくいため、国土地理院は昨年末までに電力各社に位置情報の提供を求めた。ところが、いずれも「保安対策上の問題」を理由に提供を拒否されたという。関西電力の担当者は毎日新聞の取材に対し、「位置情報がテロなどに悪用される恐れもあり、詳細な情報は提供していない」と話す。(以下略)

 電力10社が揃ってそういうことを言うのは、元が電事連(電気事業連合会)だということだろう。そのまた元は経産省エネルギー庁だ。国土地理院も国交省管下のお役所だからそのまた元が内閣ということはなさそうだが。

 かつて5万分の1地図を持って各地を歩いたことがある。山で迷った場合、自分の位置を確認に貴重な目印になるのが送電線だ。それで山小屋にたどり着けるなど、場合によれば人命にもかかわる情報でもある。

 平地には目印になるものがたくさんあるが、送電線の所在は、不動産・建設・行政など仕事上なくてはならないものだろう。また、古い地図も歴史の検証によく使う。地図の作製は伊能忠敬以来国家事業であり、国民が手放すことのできない共有財産である。

 うさんくさいのは、「テロなどに悪用」である。9.11以来アメリカにはやった「そういえばなんでも通る。基本的人権が犠牲になってもやむを得ない」という風潮である。テロとは、裏をかいて行うもので、その元を絶つ対策がなければなにをやっても防げるものではない。

 テレビを見ていると役所などに、首からカードをぶら下げた人よくが映る。塾頭の近くの田舎の公民館までそうだ。それでなにか得々としているようにさえ見える。塾頭が所用で都心の大型ビルに入ろうとした時、「これをお願いします。テロ対策のためでご協力ください」と例のカードを渡された。

 なにか昔の「のらくろ一等兵」がぶら下げた階級章のようで嫌だったが断って入れないのも困るので従った。そのビルの地下駐車場へ公用車で乗り付けるような偉い人は、そんなものをぶらさげていない。

 そういえば、北朝鮮の偉い軍人は軍服の生地が見えないほどたくさんの勲章をぶら下げている。日本の政治家も衿に余計なものをつけている人はいるが、ファッションだと思っているのかも知れない。いずれにしてもその国の文明・民度の低さを表わしているように思えてならない。

 さて、本題に戻るが、電力の情報隠ぺい体質などというより、もっと根深いものがありそうだ。テロリストの利用とひろく国民の利便を秤にかけて考えれば簡単なことだ。お願いだから「一億一心」の再来だけはご勘弁願いたい。

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エッセイ」カテゴリの記事

コメント

政治家の先生が襟につけているバッジは議場に入るのに必修です。中にはテレビに出演する時に外している先生もおりますが、中には元議員バッチというのを襟につけてテレビに出演していた方もおりました。あのバッジをつける為に相当なお金を使ったのでしょうから未練もあるのでしょうが何とも痛々しく感じました。

名札はよろしいと思います。相手の名前がしっかりと確認できます。名札を隠していると誠実に仕事をしていないようなイメージを受けます。ちょっと手帳から身分証明書を見せてすぐに隠してしまう人たちは己に自信がないのでしょう。

投稿: ていわ | 2012年1月30日 (月) 21時58分

ていわ さま
先生のバッジ、私はブルーリボンのことをいったつもりなのです。故・中川外相はそれをつけ、呂律のまわらないまま国際会議の記者会見に臨んだ。

野田総理も、TVはおろか海外の各首脳会議につけたまま出席している。松原仁先生は、仕事だからことさら抵抗ありません。

ただ、それをつけていればいいというものでなく、どれだけ拉致被害者救出に汗をかくか実績を上げるかでしょう。

職員の名札は当然ながら、首からぶらさげるの、あれは名札になりません。犬の首輪のようなもの。目障りです。

勝海舟渡米の途中、ハワイに寄って王様夫妻と面会した。その印象記に「奥方はもろ肌脱いでたすき掛け」と文明の差というか無作法に驚いた。たすき掛けというのは、大綬章みたいにものですね。日本の皇室は、いまどうなっているのかな。 

投稿: ましま | 2012年1月31日 (火) 10時22分

ブルーリボンですか。ま、表現の自由なので着けたいと思う方はそれでいいと思います。例えば、脱原発のデザインが入ったポロシャツを着るのも、ダルビッシュのように大麻のTシャツを着るのも、それぞれ意味があると受け止めていますが違和感はありません。私も若ければ何となく着ていたのではないかと思います。昔は春闘が始まると「要求貫徹」といったワッペンを貼っていましたが同じことでしょう。ただ戦術的には永年続けていると形骸化してしまうわけで、その点を工夫する必要があるのかもしれません。

投稿: ていわ | 2012年1月31日 (火) 21時42分

表現の自由は全面的に認めます。キャンペーンバッジも、発言力のない庶民には有力な表現手段です。それとは全く別問題ではないですか。

ていわさまご存知のように、外交にはプロトコールが必要です。金日成バッジをつけていっても国旗のゼッケンをつけても違反ではないでしょうが冷笑されるだけでしょう。

投稿: ましま | 2012年2月 1日 (水) 09時46分

私はまったく知らない情報でした。それに地図に送電線が表記されていたことすら知りませんでしたcoldsweats01
現実として私のもっているドライブ用の地図帳にはもともと送電線の記載がないので知らないはずですね。

さっそく、電子国土ポータルサイトにアクセスしてみましたら、なるほど「電子国土基本地図」からは送電線が消えていました。

しかし、同じ地図を「2万5千分1地形図」に切り替えると、送電線はしっかりと表記されていましたので、電力会社が表記の拒否を行ったにもかかわらず、国土地理院ではそのままWEB上に送電線を公開したまなんですね。
同サイトでは当分の間そのまま公開するそうです。

送電線については塾頭氏と同じ考えの人と、全く逆で「消すのは当然のことだ」という人と真っ二つに意見が分かれているようですね

それから首から下げるIDカードのことですが、私も以前勤務していた会社でやっていましたが、その理由は「社内情報漏えい」や「社内物盗難」や「不審者侵入防止」が理由でやっていました。
外部から来た来訪者には「盗難のため」とは失礼にあたるので「テロ対策」という言い方で対応していましたので、ほかの施設も同じだと思います。

ブルーリボンですが、
あれは、拉致被害者の会に支援金を寄付するともらえるものです。
いわば赤い羽根や緑の羽根を付けているようなもので、棟に付けていることで「私は支援金を出しました」とアピールになるんだと思います。
「何とかしなくちゃ」とか「早く対策しろ」と言っているだけで、何もしない人よりは活動資金に困っている被害者の会に寄付金をすることは最低限の支援の行動をしたことになるのではないでしょうかね。

ちなみに私もブルーリボンを持っています

投稿: 玉井人ひろた | 2012年2月 1日 (水) 11時46分

玉井人ひろた さま

何の知識もないの書いたことについていろいろ教えていただき、感謝します。地図については、明治の初め後の士官学校にあたる施設が近所にでき、その在籍者の墓石が無縁仏としてお寺にあるのを発見しました。その元の位置が当時の測量図に逆T印でわかりました。

似たようなことは、長崎県で中世末の御家人夫人のものらしい供養塔を見つけた時にも経験してます。

送電線は、本当はせっかく人里離れた山奥に来たつもり山男をがっかりさせるものなのです。杉の人工植林もそうです。

要はバッジ同様趣味の範囲にある問題ですね。テロリストなどを心配しないでいい世の中になることが一番でしょうけど。 

投稿: ましま | 2012年2月 1日 (水) 17時08分

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