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2012年1月19日 (木)

原発マフィアの黒幕

 福島の原発事故は「第2の敗戦」だということは、本塾で何度か言ってきた。しかし「敗戦」を経験したことのない人には、単なる物のたとえとしか感じないだろう。また、原発を推進し、今なおその延命を考えている政治家、企業の要人は、「嵐が過ぎ去るのを待てば」という、あたかも、敗戦時帝国陸海軍の復活を夢見た軍人そのものである。

 「第2の敗戦」、いやそれ以上の苦難にあえいでいるのが福島県の人々だ。それを他人ごとのように平然として見殺しにし、事故への責任は想定外の天災のせいにして恬と恥じない原子力村、いや、これからは「原発マフィア」と呼ぼう。あなたがたは、どういう犯罪に加担してきたか知っているのか。

 憲法に保証された基本的人権を奪った。それは、居住・移転・職業選択の自由から、財産権の侵害にまで及ぶ。それはさらに、福島に在住する故をもって風評被害という「差別」を生んでいる。その精神的・肉体的被害は、まさに戦争による被害に劣るものではない。

 国家・国民には、膨大な経済的損害を与え、これからまだまだ積み上がっていく。放射能被害は、直接間接に国内ばかりか国外まで影響を及ぼしている。国際的に長年培ってきた日本の技術の高さ、正確さ、堅実性などの評判に傷をつけ、歴史や文化に対する尊厳まで疑念の目で見られようとしている。

 さらに、政治家・官僚・専門家の信頼を低下させ、国論の分裂や政治の混迷を招き、国民はやり場のない閉塞感のなか、将来に託す夢まで奪おうとしている。このような、元凶を「原子力村」などというのんびりした平和なイメージで呼ぶのはふさわしくない。

 激しく糾弾しなければならないのは、「内閣官房原子力安全規則組織等改革準備室」なる名前だけ長ったらしい中途半端な組織が、原発の寿命を40年とするが、20年、つまり60年に延長することもできるという法律を政府に作らせようとしていることである。
 
 その黒幕は、だれか見当がつかない。経産省も今後安全・保安を担当するようになる環境省も中堅官僚の意識は微妙に変わりつつあるように見える。にもかかわらず、福島事故の原因究明の結論を今年夏まで先送りし、そこで将来の原子力・エネルギー政策のあり方を考えようというのんびりした方針なのに、なぜ、原発の寿命を盛り込んだ法案を今提出し、4月1日から施行するようにしなければならないのか。

 60年はおろか、半分の30年で再生可能エネルギーや低公害エネルギーが原発にとって代わるという、多くの試算がある。放射能をコントロールできない人類は、そうすべきであり、しなければならないということが常識化しつつある。

 それに対し、準備室は、アメリカの基準がそうなっており、世界でも認められているから、と答えたそうだ。そ~ら出ました、アメリカン・スタンダード!。アメリカも国土が狭く、地震の巣だらけで、津波を受けやすい海岸に原発がひしめいているといいたげだ。

 TPP、普天間、イランと同じ構図だ。もしかして原発マフィアには、全責任をアメリカに押し付け、日本国民を反米化させようという陰謀があるのかも知れない。

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コメント

アメリカの原発ですが殆どは内陸部ですね。
海岸にもあるのですが原子炉の冷却水は日本式の海水ではなくて人造湖をわざわざ作って利用している。
日本では海水を使うために福島第一の敷地を30メートルから10メートルまでわざわざ削って危険性を増していた。
これは海水を汲み上げる手間を惜しんだ為らしいのですから情けない。
もっと情けないのは全電源喪失時の非常用ディーゼル発電機が水冷で、この冷却も海水に依存していて、しかも冷却水汲み上げポンプの設置場所が岸壁の一番低い位置で真っ先に破壊されている。
半年後の津波ビデオで公開された一番最初の破壊される燃料タンクとは、非常用発電機の燃料です。
もちろんこの発電機自体も水没しているのですが二重三重に動かない仕組みだったのですから開いた口がふさがらない。
福島第一の5~6号基の冷温停止ですが、直前に設置した予備発電機がたまたま経費の安い空冷式だったからで、水冷式なら福島第一の全基が暴走していたことになります。
早いところ、この無責任で無能な連中から原発を取り上げないと二番目三番目の福島第一が日本中で起きるでしょう。

投稿: 宗純 | 2012年1月20日 (金) 17時38分

宗純 さま
日頃よく研究されたコメントをありがとうございます。

事故直後、皮肉をこめて全電源喪失に備え、薪か石炭で動く蒸気エンジンぐらいあってもいいではないか、と書いた覚えがあります。

そこまでしなくても、冷却系統を保護する手はいくらでもあったはずです。また、収納容器や配管の破損の原因がわからないのがなんとも不気味です。

投稿: ましま | 2012年1月21日 (土) 10時07分

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