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2012年1月10日 (火)

イラン制裁と日本

 このところ、どうもわからないのがイランと米欧の対立にからむ国際問題だ。アメリカはイランに核開発の中止を求めて、イラン中央銀行との取引禁止の経済封鎖を進め、これにヨーロッパ各国も追随する構えだ。

 アメリカは、日本・韓国にも同調するよう圧力を強めている。そしてイラン海軍はメキシコ湾で演習をはじめ、アメリカ海軍も周辺で警戒を強めている。イランは、経済封鎖には、ホルムズ海峡封鎖で対抗するといっている。

 ホルムズ海峡の封鎖は、日露戦争の旅順港封鎖と同じで海峡の狭いところに大型船一隻を沈めれば通行不能になるのではないか。そうなれば日本の原油輸入ルートの大半が影響を受ける。そもそも経済封鎖というのは、戦争の一歩手前の強硬手段だ。

 イランにとっても石油輸出は命の綱だ。中国などへの販路は残るのでゼロにはならないだろうが、アメリカの圧迫に屈するわけにはいかない。イランはウラン濃縮を継続しているが、国際機関IAEAによる確認のもとで行い、北朝鮮の秘密裏の行動とは違う。

 核拡散防止条約で認められた保有国5か国以外に、インド・パキスタンがすでに核兵器を所有しており、イスラエルの保有は公然の秘密扱い、北朝鮮は国交テクニックと国内引き締めの道具にこれを使う。イランに対する明らかなダブル・スタンダードだ。

 今やちょっとした国なら、核を持つことなどそれほど困難なことではない。アメリカは、どうしてこれほどイランにだけ神経をとがらすのだろうか。それは、イスラエルを抜きにして考えられない。

 イランが核施設を持つとイスラエルが先制のミサイル攻撃をイランに行使するからだという。たしかに、シリアには同じ理由で爆破攻撃を行った。それならば、アメリカがイスラエルに自制を求める方が先ではないか。

 境界を超えてヨルダン川西岸地区に移住家屋建設を進めるイスラエルに、中止や撤退を求めるにしてもも、明らかに腰が引けている。国内の経済界・政界に有力な人材を配しているユダヤ人への配慮といううわさも俗説とは思えない。

 ヨーロッパは、イギリスを筆頭に中東、イラン地区でさんざん手を汚してきた歴史があり、十字軍以来イスラム圏での信頼がない。アメリカの歴史はそんな古くはないが、ホメイニ革命や、アメリカ大使館占拠事件などにトラウマが残るのであろうか。

 イランの宗教指導者など強硬派にも責任があるが、東西文明の交錯した古代ペルシア発祥の地としての責任を自覚してほしいものだ。また、日本は、イランと対敵する理由はひとつもない。まさか、北朝鮮と通じているからと、子供じみたことをとう人はいないだろう。

 ここは、アメリカの言うなりではなく、日本・イランの友好維持のため、すこしはしたたかな外交の妙と知恵を発揮してもらいたいものだ。

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コメント

この問題はどのように説明しようか悩むところですが、明らかなのは両国には太いパイプがあります。オバマ民主党よりは共和党のラインと言ってよいでしょう。歴史を振り返れば、その答えは解ると思います。
ではオバマは何故制裁強化に踏み切ったのでしょうか?答えは明確です。オバマ民主党のラインを築きたいのです。公務中に机の下でチュパチュパしていた大統領を弾劾できない民主党を、イランは相手にするつもりはなかったのです。

投稿: ていわ | 2012年1月14日 (土) 21時43分

ていわ さま

あんぐら情報というか、大手マスコミも手が出ない素人ばなれした情報ですね。

イランの核関連技術者が暗殺者に狙われすでに何人も殺されているというが、真相が表にでない隠微な世界です。民主主義国にはあってはならないことでしょう。

投稿: ましま | 2012年1月15日 (日) 16時36分

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