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2011年12月 2日 (金)

原発依存症

 「脱原発」を「脱原発依存」と言いかえた民主党政権は、原発を将来もゼロにしたくない、それがないと生き延びられない「原発依存症」であることが、だんだんわかってきた。衆議院外務委員が、原発輸出を可能にするためにヨルダンなど4カ国と署名した原子力協定について、先月30日から審議入りしているはずだが、さっぱり報道されない。

 今日が最終日で、野田総理出席のもとで開かれた。その模様は、マスコミではわからないので衆議院のホームページのネット中継で見ることにした。なお、当塾は、日本が持つ高度の技術や知見、経験などを活かし、また、さらにそれを伸ばすことで国際貢献をすることに賛成である。

 ただし、それは脱原発や、核廃絶のための協力で、原発輸出による金儲けであってはならないと考えている。それでも、すでに協定調印済みで批准を待つばかりの案件は、福島事故のため、日本自身が脱原発を目指すようになった事情を話して、必要があれば一部を修正するなど理解を受けたうえでの調印であれば、国際信義上やむを得ないかな、とも思っていた。

 2日午前の、外務委員会は、自・公・共の委員が質問に立ったが、共産党がいなくても自公の段階で、議論は政府の完敗であった。つまり、この協定は3.11以前と何ら変わるところがないことを暴露されたのである。

 塾頭は、日本のこれまでの原理力体制、つまり原子力村から脱却する意志がない、またはできたら温存したいという政治家・官僚のもとでこれが進められることを懸念していた。自公の質問は、まさにそこをえぐりだしたのだ。

 たとえば、懸念されるヨルダンの冷却水不足や地震対策など、調査団を派遣したというが、視察日数は1日だけで、メンバーは役人だけで専門家が加わっていなかったとか、安全対策は主権国家の責任で、福島と同じIAEAの基準に適合していればいいという考えだ。

 野党議員のいうように、福島の教訓は口で言うだけで、なに一つ活かされたものではないということだ。今後新規の協定に応ずるかどうか、国際的原子力協力の在り方などについては、福島事故の検証を終え新方針を策定する来年夏以降に決めるという。

 「それは今決めるべきことだ」という公明党議員のいうことは、もっともである。この分かりきったことをうやむやにしておこうという、裏に、既存勢力の中にある抜きがたい 「原発依存症」を見ずにはいられない。これは一部マスコミにも伏在する。以下、やや古いが「紀伊民報」のコラムを引用しておく。

 「原子力報道を考える会」という団体がある。どんな組織か、誰がスポンサーなのかは知らないが、毎月のように送られてくる資料を見ると、原発の安全性に疑問を呈する記事が出るたびに、それを「偏向」として厳しくとがめてきた。

 ▼最近も「脱原発」に動き出した世論に「興奮気味だ」と水を掛け「メディアは原発事故報道が菅政権を支えていることに気づいているのか」と言い掛かりをつけている。「脱原子力政策を進めることが幸せな道か」という、脅迫じみた言葉もある。

 ▼この会には元読売新聞論説委員、元朝日新聞科学部長、元共同通信論説委員らが名を連ねている。彼らが意見を公表するのは自由である。原発推進のお先棒を担ぎたいのならそれもいいだろう。だが、原発の安全性に警鐘を鳴らした人たちを批判してきた責任をどうするのか。福島の惨状をどう考えるのか。それを整理、総括してからにしてほしい。

 ▼彼らだけではない。政財界、学界には過去の言動を省みず、えらそうなことをいう人が多すぎる。例えば自民党の諸氏。共同通信の調査によると、自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2009年収支報告書では、個人献金額の72・5%が電力9社の役員やOBからの献金だった。

 ▼原子力政策を推進してきた党として、この献金と自らの政策の関係について説明する責任があるはずだ。それ抜きには、日本のエネルギー政策に発言する資格はない。(石)    (2011年07月26日)

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コメント

原発を輸出する?
原発関連産業労使からの献金が打ち切られたら困るので役人を動かしているのでしょ。原発依存というよりも、カネの為なら悪魔とも手を結ぶという醜い政治スタイルです。

投稿: ていわ | 2011年12月 2日 (金) 20時34分

ていわ さま
こんにちは。自民・公明がこんなに頼もしく見えたことはなかった。喜ぶべきか悲しむべきか。

ところが、こういう元を作ったのは、誰でしたっけ、と反論できないことを見込んでの自民の追求。どっちにしても、野田、玄葉コンビは無残な姿。

それでも、賛成多数で通ってしまう、世にもおそろしき永田町のお化け屋敷です。

投稿: ましま | 2011年12月 2日 (金) 21時01分

アメリカは原発を建設するそうで、そこへの本格的な原発輸出が東芝によって始まるようですね

投稿: 玉井人ひろた | 2011年12月 3日 (土) 10時50分

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