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2011年11月 5日 (土)

天皇と憲法(その3)

 憲法学者でも皇室の専門家でもない塾頭ゆえ、まっとうなことは言えない。これまで書いてきたように、戦争と天皇制と新憲法というこれまでの三題話から離れ、飛躍しすぎは承知の上で次世代天皇を考えてみた。

 まず第二条である。旧帝国憲法では憲法本文に「皇男子孫之ヲ継承ス」と、男子が入っていた。新憲法は、「国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを承継す」で、性別は皇室典範に委ねている。

 小泉政権の頃、盛んに問題になったことだ。その皇室典範は、皇嗣の順位を9項目にわたりこまかく決めている。女性天皇は、摂政就位を除いてありえないことになっているので、実現するためには皇室典範改正が必要になる。

 古代は、長子ではなく末子相続が多い。長寿の時代にはその方が合理的かもしれない。飛鳥時代には、天皇の意志(遺言)が大切にされた。現在はすべて法律で順位が決まっており、親の意志は全く反映されない。金正日以下で、お気の毒のようにも思う。

 絶大の権力があれば後継者争いをさけるため、決めておくのもいいかもしれないが、天皇、又は皇后の提案を、首相・衆参院議長・最高裁長官などが入る皇室会議で認証するようなルーズなものではいけないのだろうか。

 お気の毒といえば、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する――という国民一般の権利もないのだ。皇室会議の承認をとらなければならない。選挙権はもとより、住居の自由も職業選択の自由もない。一杯ひっかけに行く自由もなければ、おともだちとおしゃべりで気を紛らわす自由もない。

 日頃の行動は、週刊誌のあらさがしでさらしものにされ、身動きが取れないといった感じは、昔の「菊のカーテン」があった時代よりまだ悪い。『高松宮日記』などを見ても、かつての方が今よりよほど一般人の生活に近い日常があったように見える。

 皇室典範は、戦後の旧体制をどう新体制に転換するか、まださまざまな混乱の残る時代に定められたものだ。今や全く新たな発想で見直すことは悪くない。最大の焦点は男女同権とすることであろう。昔なら、外舅へ権力が移行するという心配があっただろうが、象徴天皇にそんなおそれはない。なお、女権拡張について日本の家族制度の破壊という保守派の主張があるが、これは次回にまわしたい。

 憲法には、天皇のたずさわる国事行為という条文がある。第六条と七条にわたって、国会や内閣で決めた人事の任命や、法律・条約の交付など全部で12項目ある。要は、天皇機関説どころかまさにハンコ押し機械で、そうでないのは最後の9番目と10番目、「外国の大使及び公使を接受すること」と「儀式を行ふこと」だけである。

 それ以外の行為は、戦没者慰霊祭出席や、国賓接待などが準国事行為または公式行事になるのだろう。相撲見物や被災者見舞いはもとより、宮中祭祀(四方拝、新嘗祭など)は、神式という宗教儀式なので、私的行為に分類されているようだ。

 塾頭は、天皇伝統的祭祀の存在が世界遺産、人間国宝に比すべきもので、しかもその歴史的価値から見て、世界で唯一無二な存在とみている。その天皇の最大の任務は、開闢このかた「祈り」をおいてないというのが塾頭の結論だ。海に向かい、被災犠牲者に礼拝する姿を見てつくづくそう思う。

 したがって祭祀の伝統形式を宗教とせず、国民のための祈りという意味で、国事行為」に格上げしてはどうだろうか。

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コメント

”天皇の最大の任務は、開闢このかた「祈り」をおいてない”というのはそのとおりですが、”祭祀の伝統形式を宗教とせず”は、まったくおかしいと思います。
皇室は神道の元締め、天皇は神道の最高の祭主。神道でない祭祀なんてありえないと思います。

投稿: ミスター珍 | 2011年11月12日 (土) 22時26分

ミスター珍 さま
ようこそ

天皇は「日本国民統合の象徴」とされています。日本国民の中には、キリスト教徒も仏教徒不施不受派もイスラム教徒も含まれています。

天皇は宗教法人神道の代表者ではありません。もしそうなら、憲法20条違反の存在になってしまいます。しかし「祈り」が神式にのっとるのは支障ないと思うんですが。実現するにはそれしかないでしょう。

投稿: ましま | 2011年11月13日 (日) 09時44分

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