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2011年10月23日 (日)

独裁者の末路

 独裁者の定義は知らない。①権力機構の上で卓絶した存在であること、②自らを「革命」の担い手としていること、③カリスマ性があること、④手にした政権は永久に続けたいと思い、世襲iにしたがることなどであろうか。

 真っ先に浮かぶのはキューバのカストロである。不倶戴天のアメリカは別として、今のところ最も成功していると思われる独裁者ではないか。殺されたばかりのリビアのカダフィー大佐、これはどこから見ても独裁者の資質にこと欠かない。

 北朝鮮の金正日はどうか。「革命」はすべて父親ゆずり。カリスマ性が通用するのは国内だけで、国外では滑稽な存在とうつるだろう。そういうと怒られるかも知れないが、パレスチナの故アラファト議長をはじめ、リビアにしろキューバにしろ南の国の指導者にはどこか愛嬌がある。

 キューバ危機を回避したカストロ、民間機爆破テロを認めたり、核武装を放棄したカダフィーなど強硬路線の中に、柔軟さもみせる。それに引きかえ、金正日の国は核を誇示したがり、ラングーン事件や大韓航空爆破などにしらを切ったり、国境の島を砲撃する、町のつっぱり兄ちゃんそのものだ。独裁者といっても、1ランク下に位置するの小心独裁者であろうか。

 さて、カダフィーの死であるが、次のようないきさつが伝えられている。隠れ家から車列を組んで逃走中、これを察知したNATO空軍機やアメリカの無人機が空爆、車列が被害を受けてばらばらになり、カダフィーは車を離れて土管のようなところへ隠れていたのを反カダフィー側の兵士が発見、負傷しているもののトラックの荷台に引きずりあげた。「撃つな、我が息子よ」と哀願し、兵士側にも「生かしておけ」との声が聞かれる中、誰かが構わずに射殺、病院に着いた時はもう死体だったという。

 これが本当であるとすれば、国連の人権弁務官あたりが、殺害は国際法に反する疑いがあるとか国際刑事裁判所が人道に反する罪で裁く機会を失ったと苦情を言うのは当たらない。まずこれが戦争なのか内乱(内戦)なのかはっきりしない。

 攻撃機や無人機を繰り出したNATOの根拠は何か、国連安保理の市民保護決議だけである。それよると、飛行禁止区域を設けること、それに必要なあらゆる措置が認められることだけで、民家を爆撃したり車列を襲ったりすることも許されるかは疑問である。

 NATOと言ってもドイツは国連決議に棄権し、アメリカも最初は及び腰だった。つまり、国際法上は戦争とは言い難いものがある。内乱であろうが戦争であろうが、現場は戦場だった。カダフィーを生かしておくと取り返しに来た敵に殺される可能性がある。また味方と思われる中に敵が紛れ込んでいるかも知れない。

 あるいは、身内が密告され逮捕虐殺され、発作的に仇を討ったという想像もできる。それならば撃った兵士を外国人や国際機関が難詰する理由はなく、国内法で処理すべきだ。ところが憲法すらない国だから、期待可能性などといわずとも、彼の行為は昔のアメリカの私刑に相当する。

 世界には、欧米人の価値観で作り上げた国連スタンダードしかないので、これに従うしかないが、どの場合も公正さに疑問を残し、後味の悪い国際刑事裁判が回避できたのは、ビンラディンを射殺した米兵と同様、功績なのであろう。

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