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2011年10月27日 (木)

じれったいが論調に変化も

 何がじれったいといって、こんなじれったいことはない。普天間基地の辺野古移転問題だ。今日27日午前、野田佳彦首相は、就任後初めて沖縄県の仲井真弘多沖縄県知事と官邸で会談した。その席で知事は、「移設案の実現は事実上不可能だ」として県外移設を求める要請書を提出した。

 アセスメント結果をまとめる「環境影響評価書」を年内に県へ提出する準備を進めているというのが、首相の答えだが、川端達夫沖縄担当相、一川保夫防衛相、玄葉光一郎外相と沖縄詣でラッシュが続いた。誰が行っても何度会っても同じ要望同じ答えの繰り返しである。

 1年半以上前から、事態は何一つ変わっていない。アセスメント云々はアメリカ向けポーズだという説もあるが、航空会社を喜ばせるだけで国費の無駄遣い以外のなにものでもない。結果はすでに出ている。そうすることで何が日米にとってメリットになるというのだろうか。まさに政府・官僚のサボタージュである。

  こういった中、新聞論調に気付かない程度の変化も見られる。10月17日付の毎日新聞社説について「普天間移転、毎日の英断?」として新聞論調の変化の兆しがあることを書いた。前段に「実現の道が見いだせない辺野古への移設にしがみつくのは、もう限界である。野田政権は、日米合意を見直して、米国、沖縄双方が合意できる方策を検討すべきである」とあり、その結論を「野田首相は、現実を見据えて取り組んでもらいたい」で結んだ。
 
 当塾が表題に「?」をつけたのは、辺野古移転案は実現困難だとしながら、打開策を当事者間の協議に委ねるような書きぶりだったからである。ころがわずか11日あと26日付社説は、全く同様の事案を扱いながら、最後の結びを「日米両政府は、沖縄の政治情勢の現実に目をそむけず、日米合意の見直しを含めて真剣に検討すべきである」としている。

 これは、希望的観測や要望ではなく、まがうことのない社論で、一歩進んだように見える。ネットでは日頃マスコミの世論誘導を問題にするが、新聞にも、よきにつけ悪しきにつけ世論に同調しようという性癖がある。やはり沖縄県民のようにたゆまず声は上げていかなければならない。

 もうひとつ、注目すべき問題はTPPである。10月12日の毎日社説では、野田首相に対し「APECではTPP参加を明確に表明してもらいたい」と積極的な賛成意見を出した。以前にも書いたことがあるが、毎日は名物コラム「記者の目」で、社説と全く逆の意見が出ることがよくある。

 その7典型例が、今日27日付の「TPP交渉参加は本当に必要か――輸出依存もう見直す時だ」である。社説より見出しは大きく、2枚の写真入りなので、この方が影響力がありそうだ。

 本塾は、TPPについてあまり意見を出してこなかったが、アメリカが期限付きで参加をせっついていること、アメリカ以外はほとんど中小国でアメリカのペースで進められているように見えること、中身が不透明で議論のしようがないことなどから、普天間移転と同様、言いなりにされてしまうのではないかという不安は持っていた。

 同記事の中で、塾頭がひそかに持っていた不安を、《慎重派が指摘する項目の多くは、過去に米国が「年次改革要望書」などで日本に要求してきたものだから》と、ズバリ表現してくれたことである。

 前原民主党政調会長が、慎重派が、実体のない「PTT」おばけにおびえている、と言ったが、われわれはそのおばけにおびえ、言いなりになって来た歴代の政治家を知っている。前原氏には悪いけど、八っ場ダムと同じで強がりをいってるとしか聞こえない。

 350人を超える全政党を網羅した議員連盟、農協・漁協・医師会などの圧力団体の組織横断型の決起をする中で、米倉経団連会長は、露出度を高めることを避けるようになった。これから、新聞の論調はどう変わるのか変わらないのか、やはり目が離せない。
 

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コメント

普天間問題で、玄葉 光一郎外務大臣が自民党議員の質問に答えて、
鳩山首相の『最低でも県外』は間違いだったと断言。
しかも鳩山発言を聞いて『これでは駄目』と鳩山氏の首相辞任まで推測した、とまで言っている。
この玄葉大臣の国会答弁に対して、野田総理が直接鳩山氏に謝罪したそうですが、謝って済む話では無い。
松下政経塾の玄葉 光一郎ですが、日本国の外務大臣である前に、アメリカ国務省日本出張所外務大臣をやっているのですね。

投稿: 宗純 | 2011年10月29日 (土) 08時57分

宗純 さま
こんにちは

玄葉という人はよくわからない。なにか、優等生的な政策通で官僚と意気投合しやすいような……。とにかく外務には向いていないように感じます。

松下不政経塾には、ガチガチなナショナリストが、特に幸之助の直接謦咳に接していた初期のメンバーに多い。

ブランド名が「ナショナル」だったからでしょうか。玄葉はそれとも違うようです。いずれにしても、彼を外務に持ってくるというのは、野田人事の限界なんでしょうね。 

投稿: ましま | 2011年10月29日 (土) 15時57分

何と今回、野田総理はTPP協議に参加を決定。
前原はTPP協議に参加した後でも抜けれると言っているが、玄葉は正反対に『一度参加してから抜けるの難しい』といってる。
TPPのアメリカ代表も玄葉と同じ意味の発言をしているので、多分前原の方が間違いで玄葉発言が正しい。
『最低でも県外』との鳩山の対米自立志向の政策では首相の首が飛ぶとの玄葉の判断も、今までの歴史的経緯を考えれば間違いなく正しい。
敗戦後32人の首相の内で4年以上の長期政権は吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎と例外なく全員が対米従属路線である。
実はそれ以外の歴代首相は今と同じで1年と少しの寿命しかない短命内閣しか日本国には居ないのですよ。
ですから玄葉が鳩山首相発言で、短命内閣を予想したのは、実に賢いのです。
玄葉氏の内閣の予想自体は正しいが、しかし、『対米自立路線が間違い』との発想の根本は、救い難い奴隷根性で大間違いですね。

投稿: 宗純 | 2011年10月30日 (日) 11時29分

宗純 さま
 正確にいうと、池田勇人が4年3か月ほどですね。私は小泉を除くと、吉田以下、岸をふくめ冷戦を巧みに利用しながら、日本にすこしでも有利になるよう交渉テクニックを使っていたと思っています。

 決して外務官僚に完全おまかせではなかった。おかしくなり始めたのが橋本あたりからで、現在は全く外交戦略ゼロといってもいいほどです。

投稿: ましま | 2011年10月30日 (日) 13時10分

蛇足気味ですが付け足すと、
ましまさんが指摘の、所得倍増計画の高度経済成長路線の池田隼人が歴代5番目。
歴代6番目の長期政権が日米安保条約改定(60年安保騒動)の岸信介が1241日です。
それ以外は全てが、1000日に満たない。
1997年の消費税5%の張本人、『おかしくなり始めたのが橋本』竜太郎は歴代7番目で900日台ですね。
1000日を越えた6人全員が在任中に株価が上昇しているとの共通点があり、消費不況の原因である無制限の規制緩和を推進して格差拡大の今の日本不況原因を作った小泉純一郎でも1割程度の極僅かの数字ですが株価が上がっている。ですから今でも小泉人気(小泉待望論)が未だに一部ではあるのでしょう。

投稿: 宗純 | 2011年10月30日 (日) 16時29分


宗純様
補完していただき、ありがとうございました。

投稿: ましま | 2011年10月30日 (日) 20時14分

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