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2011年9月17日 (土)

「保守反動」新解釈

  かつて「保守反動」という言葉があった。使われなくなったのはいつ頃からだろう。あまり定かではないが、朝鮮戦争特需で経済復興が緒に就き、「もはや戦後ではない」とされた昭和30年代にはあまり聞かなくなったような気がする。

 「保守」と「反動」の複合語で、「反動」は時流に反して動く、つまり反社会的行動だ、というわけだ。 もともとは、占領政策の要である民主化にとって不都合な国家主義、軍国主義、全体主義、それに封建思想の排除に抵抗感を持つ、保守陣営攻撃のための左翼が使う常套語だった。

 言葉の上では、「保守」であっても「反動」でない場合もあり得るわけで、塾頭も、美しい伝統を残そうとするイギリス流保守主義や欧米のリベラリズムの魅力について、当時友人と議論したことを覚えている。

 しかし、左翼がいう場合、保守イコール反動という使い方になった。「反動」を分けなかったのが、その後の硬直性につながったのかも知れない。「逆コース」という言い方もあったがやや弱かった。和服・白足袋でワンマンの名をほしいままにし、天皇上奏文で「臣茂」と自称した吉田茂元首相などは、恰好な「保守反動」の的にされたのである。

 戦後の政治家では、歴史的に見て幣原・吉田首相などは保守主義であっても、反動ではないと塾頭は考える。反動は、戦後に戦犯や公職追放で活動を封じられていたような人に多かったのではないか。

 鳩山一郎にそれを感じるし、岸信介は、保守どころか戦前は革新官僚と言われた人だ。ただし、両人とも、その業績がすべて反動だったとは言えないものの、教育の自由に対する干渉・介入や警察権力利用など、「反動」の材料には事欠かないものがある。

 それから半世紀、反動政治家として名指しできる首相は、安倍晋三につきる。もちろん、首相でない政治家なら、自民・民主その他にごろごろいる。安倍を含む「真・保守政策研究会」といった議連があるが、まっとうな「保守」なら、なにもそのグループ名に、わざわざ「真」とつけなくてもいいはずなのだが、昔の左翼と同じで、保守=反動にしたいらしい。

 さて、そのような古いタイプの保守反動はさておき、新たな「保守反動」を探ってみる必要がある。革新を名乗るのは、体質的には最も保守的で、今や無残な姿に落ち込んだ共産・社民だけになった。民主党は、そもそも保守2大政党を目論んだ現小選挙区制のもとで生まれた保守政党である。

 現在の幹部クラスのほとんどが、自民・日本新党・新進党・さきがけ・民社という保守政党出身者である。旧社会・社民連出というのもあるが、もはや保守か革新かというのは、ほとんど意味をなさなくなった。

 新しい「反動」像をどう描けばいいだろうか。それは、原発事故の現実に目をそむけ、なんとか旧原子力体制を温存したい勢力、経済的にも軍事的にもアメリカ一国支配が傾き始めているのに、アメリカ属国体制を続け、沖縄県民の民意を無視して基地新設を強行しようという勢力、高度成長や膨張だけを国力と見なし、中国と張り合うのが安全保障と思う勢力、そんなことが思いつく。

 これからは、自民か民主かではなく、もちろん保守か革新かでもない。反動かそうでない(名前はまだついていない)かで政治家を見分ける必要がある。中途半端でひとりよがりだが、現実はそうなっているのではないか。

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