« 無意味な東京裁判批判 | トップページ | 安保体制60年 »

2011年9月 6日 (火)

今どきの大学生

 日曜日の夕食時間に、NHK・Eテレを見ることはめったにない。一昨日、次なような新聞の番組表につられてチャンネルを合わせてみた。

 白熱教室JAPAN
 日米関係を考える
 ▽沖縄米軍基地は日本の安全に必要か
 ▽慶応大学

 慶応大学の大教室らしいところに現れたてのは、かつてテレビ朝日のサンデープロジェクトで田原総一郎司会のもと、頻繁に出演していた草野厚教授である。

 まず、「アメリカに好意を持っていますか?」などのアンケートを取り、それぞれの回答者からその理由などを手を上げた複数の学生に答えさせる。教授は、それを軽妙にリードしながら基地問題などに誘導する。

  最初に遠慮のない印象をのべると、幼稚園か小学校低学年でよく見る風景と同じだな、という気がした。われわれが経験した独立自尊、エリート意識の強い最高学府のイメージではない。学生にそれぞれの個性は感ずるが、マスメディアの論調を超えない優等生の集まりのようだった。

  草野教授の誘導や、番組収録という限界からか、「中国、北朝鮮やロシアの脅威がある、憲法9条は守りたい、だからアメリカとは仲良くして守ってもらう」という方向で話が進行していた。また、「米軍基地は必用、だけど自分の住んでいるところにくるのはいやだ」が多数意見のようで、予想以上のものは何も出てこなかった。

 見終わって、気がかりなことが2つでてきた。ひとつは、戦争を遠い世界の話のように考えていることである。草野教授自身がすでに戦争を知らない世代である。したがって日本の針路も矛盾を抱えたまま成り行き任せのように思われ、突っ込みに欠ける点である。

 ちょうど原発被害と同じで、福島から遠いところでは関心があっても他人ごとで、脱原発はいいが節電は困るというのに似ている。沖縄出身の女子学生がいたが、生まれた時すでに基地に囲まれており、多くのアメリカ人と仲良く暮らす生活環境に何の違和感もない、と言っていた。

 だから、基地反対を言うのは年寄り、という感覚で基地がなくなって経済基盤を失うことの方が心配だというのは、うそではないだろう。これは、基地と戦争が結びついていないということで、原発立地が放射能と結びつかないのと同じ現象である。

 次は、以上に関連するが、日米基軸の安全保障のほかに、世界を覆いだした戦争回避の方向性や、具体策に教授が全く触れなかったことである。地域紛争への不介入・不干渉、軍縮、地域共同体、国連改革など、項目だけでも示してレポートを求めれば、やや大学らしくなったと思うのだが……。

 戦時体験が薄れていく中で、人類は再び同じ過ちを繰り返すのか、さらに成熟した社会を目指すことになるのか、それを一番問うてみたかった。

|

« 無意味な東京裁判批判 | トップページ | 安保体制60年 »

反戦・軍縮」カテゴリの記事

コメント

こんにちは…
やはり右傾化教育とマスメディアの偏向報道が原因ではないでしょうか? 権力側に不都合な真実は隠蔽し、国民を騙す…政・官・業・学・報が総ぐるみで「国民の無知化」を画策し、為政者が利権政策・米国追随政策をやり易くしているんですね…。だから、昨今の日本社会の右傾化傾向に対しても多数の市民が無頓着になり、石原・橋下の様な軍国パラノイアがもて囃されるんですね…。
>日米基軸の安全保障のほかに、世界を覆いだした戦争回避の方向性や、具体策に教授が全く触れなかったことである。地域紛争への不介入・不干渉、軍縮、地域共同体、国連改革など、項目だけでも示してレポートを求めれば、やや大学らしくなったと思うのだが……。

これは、大変重要なご指摘で、わたしも全く同感です。偏向環境に慣らされているため、日米軍事同盟に固執してしまい、その他様々あるパラダイム(枠組み)が頭に浮かばないのですね…。草野氏が様々なパラダイムを知らない筈はありませんね。知っていて意図して誘導するのは教育に身を置くものとしての資格に欠けていると、言わざるを得ませんね。
『新しい歴史教科書を作る会』の台頭や、大阪府の教育への政治の不当介入(教職員懲戒免職条例)など教育を取り巻く環境が非常に危険な状態に陥っています。 先日、ブログ主様が記された通り、今のネット社会を活用し啓蒙し、平和な社会へ変革していかねばならないと強く思います。今、日本でも『脱・原発』の国民的ウネリが興ろうとしています。『反戦・平和』のウネリも同時に期待したいところです。戦争は破壊・大量殺人行為のほか何ものでもないのです…。
貴ブログは『反戦』を全面に出された非常に希少価値の高いものであると思います。世界平和のため、今後の益々のご活躍を心から祈念させて頂きます。

投稿: 青い鳥 | 2011年9月 6日 (火) 10時56分

青い鳥 さま

右傾化といっても最近どうもわからなくなりました。これまでの原発推進政策は、国策民営化、明らかに社会主義政策です。

逆に、脱原発で新エネルギー開発や売電を自由化しようというのは、右寄りの発想です。今の右傾化は天皇制ファシズムにはなりきれず、欧米のネオナチや白人至上主義とも違う。

 戦時の統制派軍人・東条や、閣僚だった岸信介などは革新官僚で、大政翼賛会なども社会主義に近かった。

 ネット右翼とか街宣右翼に共通するのは、表に顔をださないイジケ右翼が多いのではないでしょうか。もっとも警戒しなければならないのは、こういった手合いにおもねて人気を維持したい芸人・政治家、それに国際緊張を高めることで利益を得る軍部、政商などですね。

 だから「反戦」はどうしても「左翼」にされてしまいます。変な世の中です。最後に「希少価値」とお褒めいただいたようですが、塾頭、ご覧のとおりの雑魚で、ドジョウには手も足もでません(あっ!、手足は最初からなかったのだ)。

 

投稿: ましま | 2011年9月 6日 (火) 15時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/41527999

この記事へのトラックバック一覧です: 今どきの大学生:

» 特攻隊基地だった福島第一 人間を使い捨てる原発のタブー [逝きし世の面影]
『日本以外でも事情は同じ』 クリーンで安全、経済的にも優れている夢のエネルギーとの宣伝文句だった原子力による発電には、臨時雇用の作業員を『使い捨て』にする非人道的な恐るべき秘密が隠されている。 しかも、発電会社の正社員では無くて待遇が極端に悪い臨時雇...... [続きを読む]

受信: 2011年9月 6日 (火) 09時22分

« 無意味な東京裁判批判 | トップページ | 安保体制60年 »