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2011年9月20日 (火)

「原子力学会」を廃絶せよ

 本塾は、4月から5月にかけて、「脱・原子力ニッポン!」を、と題するシリーズを9回続けた。その第8回は、「土下座はしない原子力村学者」という副題をつけ、それら学者に水素爆発ならぬ、公憤を爆発させた。

 東電は、被災者に土下座し叩かれ続け、今や存亡の危機にさえ立っている。しかし、国策民営と称される、原発なしでは経営ができないような経営形態を押し付けられてきたことを考えれば、まだ同情の余地がある。

 事故後、はじめての原子力学会の大会が19日北九州で開かれた。それに関する報道は、主要紙の中で毎日新聞が一番詳しいので、そこから引用させていただく。

(前略)原発安全神話の一翼を担ってきた専門家の責任が問われる中、初日のシンポジウムには一般市民約60人も含む約500人が参加。会員の研究者からは「想像力が乏しかった」などと事故を防げなかった反省の弁が相次ぐ一方、原発推進の基本姿勢を問う発言は出なかった。22日まで開かれる。

 冒頭、会長の田中知・東京大教授は「国民に多大な影響と心配をかけ、学会として大変遺憾に思う」とあいさつ。二ノ方寿・東京工業大教授は「安全神話が独り歩きして結果的に改善が遅れた。専門家もあれほどの事故は起きないと過信があった」と批判の矛先を自らに向けた。

 この後、研究者11人が壇上に並んで討論。参加者から事前に集めた質問に答える場面では、「事故が起こらないと問題が意識できないのか?」との問いに、宮野廣・法政大客員教授が「想像力の乏しさを反省しなければ」。山口彰・大阪大教授も「想像力を働かせなくていい環境があったのでは」などと安全神話に立って原子力を推進してきた自らの姿勢を戒める発言もあった。

 ◇原発の是非 議論されず
 しかし、原発の是非そのものについては意見が出ず、原発の必要性を前提にした議論に終始。田中会長は「原子力エネルギーは必要不可欠」。杉山憲一郎・北海道大教授も「放射能のリスクにばかり関心が向いている。(原発がないと)エネルギー資源が制約されるリスクを若者に教育すべきだ」と主張した。

 シンポ後、一般参加した北九州市の女性(62)は「反省の弁が出たことは評価するが、本当に見直すべきは原発推進の姿勢では。事故で不安を募らせている市民感覚とずれていた」と不満を口にした。【阿部周一、内田久光】

 これだけ大きな事故発生原因の一端を負いながら「遺憾に思う」だけで、本気で反省や謝罪はしていない。それどころか、原発推進を説き、国民の教育が必要などと、どこまで鉄面皮なのだろうか。

 彼らは、人間である前に、高名な大学教授であり、政府の要人であり、その地位だけが名誉と生きがいとう俗物なのだ。学問と名がつけば、言ったこと為したことに責任を感ずる必要はないとも思っている。学問の至らなさに静かに学会から身をひいた、その程度の話すら聞いたことがない。

 今後の原子力政策に彼らを参画させたら、事故は必ず再発することを断言する。塾頭はなにも腹を切れと言っているわけではない。どうせ、彼らの活躍する新設原発などできっこない。持てる学問や知識を放射性廃棄物処理や核施設や核兵器の解体など、地球の環境改善や世界平和に振り向ける、どうして言えないのだ。

 彼らに電力不足の心配などしてもらわなくてもいい。国民は節電することの大切さ、効用をすでに実感しており、新エネルギーの方に大きな期待が向いている。

 ついでに、原発訴訟を裁いた裁判官にも一言要望しておきたい。文系の法科出身のあなた方は、専門的な科学に弱く専門家の提出した証拠だけに頼らざるを得ないという。それは口実だ。今はどんどん新しい科学鑑定や電磁的証拠を判断するのが裁判官だ。

 もちろん、専門家以上になる必要はない。こんな広範囲に取り返しのつかないような影響をもたらすことへの判断だ。官僚的発想を捨て、素人考えの大岡さばきこそ、今求められているのではないか。学者と裁判官の判断が、「原発安全神話」を下支えたことを心に刻んでおいてほしい。

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コメント

原子力学会は昔は日本学術会議にも属していなかった畸形的な組織であり、原子力開発推進を唯一の存在目的とした利益団体で、普通の純粋の学会なら厳格な入会資格が必要なのですが曖昧なのです。
関連する電力会社や原発メーカー社員が加わって『安全性研究』は先端的な研究分野ではないため評価されない。
それどころか『危険性の指摘』は営業経費に跳ね返るので目の仇にされる。
原子力工学は純粋科学ではなく技術を応用し社会に役立てる実学であり、原子力を繁栄させることを目的とする人間が集まり、自然と推進派ばかりになる。
京大の今中哲二助教は、『危険性に警鐘を鳴らす学者は減る。年間何千億円という研究費で潤い、異常にカネ回りがいい。カネの動くほうに流される研究者も多かった』と語る。
今の大学の学部や学生は減る一方で最盛期の17分の1になり保安院と原子力安全院とか色々名称は違っていても過疎地の限界集落の催し物と同じに成り同じメンバーが出たり入ったりの有様らしいですよ。
鉢呂前大臣は、経産省の審議会のメンバーを賛成派だけではなくて賛成反対同数にしようとして嵌められたとの噂もありますね。

投稿: 宗純 | 2011年9月21日 (水) 16時27分

宗純 さま
いつも貴重な追加情報をありがとうございます。知らないことも多いのでよろしくお願いします。

学会ではないけど、昔、正力松太郎は湯川秀樹博士の名声を利用しようとして、初代の原子力委員に委嘱した。

ところが、基礎研究から始めようとする湯川に対し、実験炉輸入などに突っ走る正力のやりかたに嫌気がさし、1年で辞任したという。

今の学会メンバーにそんな良識の働く人はいない。福島第一も、アメリカメーカーのフルターンキー方式とやらで、完成試運転完了までメーカーが責任を持ち、それがすんでから、「はい、これがキーです」と手渡され、日本の技術者はバックアップ電源やポンプがあんな低いところ(その方がコスト安になる)にあることを知らなかったそうですね。

正力はCIAのエイジェントだったそうですが、鉢呂や平岡はずしがすでに始まっており、正力に一脈通ずるナベツネとともに「昔陸軍今よみうり」の感がします。

投稿: ましま | 2011年9月21日 (水) 18時11分

福島第一1号基のGE製のマーク1ですが、東京電力が導入した当時はまだ、実は本国のアメリカでも商業運転が開始されていない危険な代物で、初期の頃の原発は数々のトラブル続きで到底商業発電とはなっていなかった、と当時の東電副社長が証言しています。
東電は原発導入で損をしていた。
ところが、何と相手のGE社は本国やその他の国では原発事業は損をしたのですが、日本相手では唯一黒字になる。
理由はトラブルなどで原発を設計変更しても日本以外では追加料金はメーカー責任でGM持ちだった。
ところが日本には請求したら払ってくれたので、『取引先として日本は素晴らしい。』とはGEの弁。
福島第一敷地は35メートルもの標高があったが10メートルまでわざわざ削っている。
理由はGEの冷却水のポンプの性能が10メートルしかなかった為で、東電側からの設計変更要求では膨大な経費の上乗せが要求されたため、仕方なく敷地の方をGEに合わせたらしい。
原発ですが日米での力関係が正常とは言えない。
完全に米優位なのです。
アメリカですが殆どは内陸部に設置されているし沿岸部にある原発でも日本のように海岸(海水利用)ではないのですよ。
だからポンプの能力は10メートル以内で十分なのです。
最大の問題点の水没した非常用発電機ですが、何と建設当時は頑丈な格納容器のある建屋ビルの中だったのですが東電から90年代に設計変更が経産省に提出されている。
より危険な海側のタービン建屋の地下1階に2台とも移動しているのです。
移動せずに元のままであれば、今の大事故に発展していない可能性があるのですね。
移動理由は不明とされているが、日本の福島第一原発は全てGEのフルターンキーなのですから東電ではなくて、GEだった可能性が濃厚なのですが、そのアメリカでは事故後に地震も津波も全く考慮していない事が判明している。
対米従属の極みの奴隷根性で、意味も分からず従ったのですが、『アメリカの言う通りで間違いない』と思考停止状態だったのです。
これでは事故は起こって当たり前だったのですが、何とも情け無い話ですね。

投稿: 宗純 | 2011年9月22日 (木) 16時02分

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