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2011年8月 5日 (金)

お留守になった海外事情 2

 中国
 中国で大きなニュースは、なんといっても浙江省で起きた高速鉄道衝突事故である。これは単なる列車事故ニュースではない。国際関係にも影響しかねない極めて政治的な意味のあるニュースなのだ。

 輸入技術のパクリによる国際的特許申請とか、米国をはじめとする輸出攻勢に不利とかそういった問題ではない。中国の鉄道省が軍部と深い関係にあるという報道を奇異に感じた人は多いと思うが、塾頭はピンときた。

 古い話で恐縮だが、日本は日露戦争の結果、中国東北部の満州で、その動脈となる鉄道利権を手に入れた。その沿線を警備するという名目で派遣されたのが関東軍である。その関東軍が肥大して独断専行をほしいままにし、大陸侵略を進めて日本が敗戦まで追い込まれる原因を作ったのだ。

 その鉄道利権に対抗し、満鉄に並行する線を建設した地方軍閥・張作霖は、旅行中日本軍が仕掛けた線路の爆破を受け殺された。なお、日本の新幹線計画の最初は「弾丸列車」といって戦時中に立てられた。その最大の目的は兵員輸送である。また、ヒトラーが第2次大戦で各方面のへ出撃やユダヤ人虐殺のため鉄道を効果的に活用したことも知られている。

 そういった前大戦時の残滓が、化石のように中国に残っていたというのは驚きだ。以前、中国共産党というのは一王朝であり、4000年の歴史が示すように、それは民衆の蜂起により転覆する可能性があると書いたような記憶がある。

 中国を動かすのは、党である。政府という皇帝がいても、実際に跳梁するのは、軍とか、上海閥とか、そして鉄道省という宦官で、急成長を自らの利益に還元していたのである。しかし、日本も威張ったことは言えない。

 原子力の平和利用と言って、国策民営という怪物を生み半世紀も放置した結果、敗戦にも比すべき国難を招いている。この原子力体制の改変は、今の政局騒ぎを見ていても容易なことではない。中国もすぐ王朝が代わるようなことはないであろう。

 ただ、以前と違って人民の口をふさぐことができなくなっていることと、政府のあわてふためきぶりが白日の下にさらされてしまったことである。これまで、国民の不満をオリンピックなどのイベントや軍事力の国威発揚、あるいは尖閣諸島のような国際緊張意などでかわしてきたが、今回は中間層が表面に立っており、マスコミでさえ裏口で不満を爆発させている。これまでとは、あきらかに質的な違いがあるのである。

南シナ海のはるか奥深く、ASEAN関係国の沿岸近くまでえぐり取るような領海主張は、中国がいつもやり玉に挙げてきた「覇権主義」と全く変わりない。また、軍事力で威圧してもアメリカカをはじめ関係各国を敵にまわしては、実質的な益がないであろう。期待薄だが、このさき中国人民が人民革命軍のはねあがりをチェックできるようになれば、本物といえるのだが。

                

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コメント

中国の高速鉄道事故について、その根本原因は経済成長ばかりを優先し安全対策を疎かにしてきたと言うことになりますよね。
これは、何処かのお国で発生した福島第1原発事故の根本的原因と共通するものと考えれば、日本はただこれを反面教師とすれば、それで良いのでは無いでしょうか。
中国に対しては、政治的には分裂するものの、経済的には一つの共同体への変わっていけば、日本にとっても中国にとってもアメリカにとっても、地球にとっても遥かに望ましいところだと思えば、アメリカと戦争でもしたければ、「どうぞご勝手に」ということで突き放してしまえばそれで良いと思います。
その変わり、「アメリカと戦争することになった場合には、それこそ国際社会全てを敵に廻し、追い詰められ、無残にも全てを失い崩壊するだけの、何処かのお国の二の舞になるだけのことですから」と言う姿勢で、敢えていないふりをすれば、日本にとっては遥かに喜ばしい限りでは無いでしょうか。

投稿: asa | 2011年8月 6日 (土) 12時34分

最近は、パキスタンへの原子炉支援などでインドともこれまで以上にギクシャクしている。いかに他の途上国に経済進出しようと、日米韓ASEANからインドにまで敵視され警戒されるようでは、収支マイナスでしょう。

もっとも途上国援助は利権汚職の温床になるが、レアアース輸出制限を出したりひっこめたりでは、金にならなさそう。

知恵のある華僑ならけっしてそんなことはしません。

投稿: ましま | 2011年8月 6日 (土) 13時53分

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