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2011年8月16日 (火)

傲慢さ

 あなたは「傲慢さ」といえば何を思い出しますか。人の性格であれば10人のうち1人か2人は必ずいそうです。高名タレントの中には、それをウリにしているやからさえいますね。

 最近気になりだしたのは、それをある集団が共有し、しかもそこにいる人は、それとは気がついていないという厄介な問題です。端的に言えば原発を推進してきた原子力村の人たちですが、ここでは例に挙げるものの、特定の組織や人ではなく一般論で考えてみたいと思います。

 まず、学者の傲慢さです。学問とは無限の可能性を秘めたもので、それを制限する権限は誰にもない。学問は尊ばれなければならない。門外漢は専門外のことで余計な口出しすべきではない。求められれば意見はいうが、意見であって結果に責任を持つものではない。まあ、そんなところでしょうか。

 これには、当然学者以外の人にも責任があります。「専門の学者が言うのだから間違いはないだろう」で済ましてしまう風潮です。原発訴訟で、学者の意見が有力な証拠として採用され、判決にそのまま反映されてしまったことはすくなくありません。

 学閥という、閉鎖性、封建色の強い、およそ学際的でない社会の話はよく聞きますが、それはまあ外に置いておきましょう。原発の議論の中でよく聞くのは、「原発を廃止すると、ただでさえ減少気味の優秀な研究者が減り、日本の高いレベルの技術が衰退する。これは国家的損失だ」というものです。

 そしてもうひとつは、「原発の安全度はすでに相当高まっている。このさきも高度の技術開発で完璧に近い設備を作り出す可能性を閉ざしてはならない」というものです。いずれも、学者以外の、財界を含む推進派が大きな発信源のようです。

 原発をつくらなければ研究希望者が減る、というのは、どこか利益誘導的で傲慢な話ではないでしょうか。必要とあれば量子力学全般を対象に研究助成や奨励をすればいいので、放射線医学や、廃棄放射性物質の管理・処理、核軍縮など、これからの人類にとって大いに役立つ分野は、すくなくありません。発展してほしいのは塾頭も同じで、それは可能だと思います。

 次の技術万能主義のような話ですが、何の研究であろうと取り組む自由はあってしかるべきです。ただしそれは、あくまでも国策としではなく、兵器は別として民間でペイできる範囲のものでなくてはなりません。

 また、設備設計上100%の安全を見込めず、どこかに切り捨てなくてはならない部分のあることは当然です。しかし核施設は、万一の場合の被害の及ぶ範囲と、影響する年月の長さが桁違いであり、飛行機や新幹線事故と同じに見るわけにはいきません。

 このほか、次世代の原子炉、地中原子炉、夢の原子炉など原発を生き延びさせようという[はかない]プランがありますが、核反応施設や地球上に存在しない放射性原子を生むようなものを、時間と金を費やしてつくるのなら、それを再生可能のエネルギー開発に回した方がよほど効率的ではないでしょうか。 

 放射性廃棄物の処理方法も確立しておらず、戦争やテロに使えるようなものを、あえて残しておこうというのは、国際社会の中で特権的地位を守ろうとする、日本を含む核物質保有大国の傲慢さです。国策としてやる事業の研究は重要で程度が高く、小笠原島でこつこつ生物の固有種をさがす研究は、閑仕事で重要でないなどと誰が言えましょう。

 最後に、殺し文句の「原発がなければ電気料金が上がり、ものづくりが海外に流失して空洞化を招く」というものです。福島の農民や漁民が生産地を追い払われ、食糧や材木という大切なものづくりを空洞化させている現実に目をそむけている。「国策のため国益のためには、1地方が犠牲になってもやむを得ない」、これが最大の傲慢さでしょう。

 企業は、これまで原発所在地から受けてきた電力事情の恩恵の事を考え、電気料金の高負担は甘んじて受けるのというのが筋だと思います。そもそも、電気料金を上げざるをえなくなった原因が何であったかの反省が全く見られないというのは、どういう神経なのでしょうか。

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