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2011年7月28日 (木)

「原発は安い」神話

 新聞の投書欄などに、さすが原発安全神話が載ることはなくなったが、「原発は安い」神話は依然として健在だ。経団連米倉会長に代表される「原発をやめると石油やガス火力に依存せざるをえなくなり電力料金が上がる。そのため製造業の海外移転が進み日本経済が破たんする。よって原発は残すべき」の類だ。

 原発が安いとする根拠は、すでに電力会社の内部資料によっても証明できなくなっているのに、いまだにそう信じている人が多いことは驚きだ。下の試算はすでに広く知れ渡っているものと思っていたが、ネットのニュースで検索すると、毎日新聞と共同通信が柱で他からは黙殺されているように見えた。そこで、初耳という人があるかもしれないので、当ブログにしっかり記録しておくことにした。

Dscf3476  ① 03年の計算で各電力の広報が使い各メディアも使用してきた。運転年数40年、設備利用率80%の発電所を想定、為替レートや燃料価格など当時のまま、修正を加えていない。なお、以上のほか経産省は、風力(小中) 24円、風力(大)  14円、 太陽光 49円という試算も出している。
 ② 有価証券報告書総覧に基づく実績
 ③ 運転期間は40年の過小評価、実際はもっと長い期間運転中 
  ④ 地元自治体交付金を按分加算

 この試算は、すでに10年9月に政府原子力委員会で紹介されており、毎日新聞などで明らかになっているので、数字に欠陥や誤りがあれば指摘されなくてはならないが、そういった話もない。 廃棄物処理のうち、MOX再処理費用が抜けていたり、六ヶ所村工場の稼働率を100%とするなどの過小評価もそのまま採用するなど、むしろ控えめな計算になっている。

 表で見るように、原子力とその他エネルギーとのコスト差は実績値でごくわずかであり、地元交付金などを加えると逆転し、原子力が最も高くなっている。震災前の試算なので、福島事故の補償金や、安全基準の底上げなどによるコストアップ、設備利用率の低下などは当然入っていない。

 今後の原子力でのコストアップ要因は目白押しだが、オイルシェールの開発技術に伴うガス資源の増大、打ち続く円高など、原子力がますます対抗できなくなる可能性が高いのだ。これまでの電源利用の実績をふまえつつ、節約→原子力段階的削減→火力・水力による補充→再生可能なエネルギー→原発全廃というのが「脱原発」の意図するところである。

 その、長期的ロードマップがない、経産省などが作ろうとしないことが現在の最大の問題点である。強力な政治主導ができれば、この間のシュミレーションを行うことは、そんなに難しいことではないはずだ。   

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コメント

脱原発のドイツやイタリアは他の欧州諸国に比べて矢張り電気料金が割高なのですが、原因を調べるととんでもないことが発覚しています。
普通に考えると何でも新しく造ることは大変なことなので建設費よりも大概は解体費用は割安だと考えてしまう。
今の大型原発の建設費用は5000億円近い巨額にのぼるのですが、
ところが、何と解体費用やその後の管理維持費が遥かに巨額なのです。
イタリアですが24年前の87年国民投票で脱原発に舵を切り、20年以上前から原発は一基も稼動していないのですが、廃炉出来るのは未だ10年は先の話。
原発は止めただけでは少しも安全ではないのです。
そして稼動年数が長いほど経費もかかる仕組みで、発電すると1日にヒロシマ原爆3発分の死の灰が貯まる。
たった5年程度しか動かしていなが、廃炉の最終的費用は約65億ユーロ(7280億円)。
イタリア人が『捨てた』原発はかなり高くついた。
阪神大震災や今回の大震災での被災民の二重ローンが今、大問題になっていますが、ドイツやイタリアはまさに今その原発の維持管理という名の、二重ローンに苦しんでいるようです。

投稿: 宗純 | 2011年7月30日 (土) 09時51分

そうですねえ、ことに福島第一の廃炉は新設運転経費の何倍かかることやら。当然、試算や実績コストには入っていません。

原発を廃止すると、産業そのものがなくなり、大勢の従事者や研究者が失業しGDPがとううのという議論をよく聞きますが、日本はかつてロシアの原潜解体などを請け負ってやっていた。

世界の解体業務を請け負えば、新産業勃興、ほとんど永久に失業はなくなるでしょう。放射能克服産業の将来はバラ色です。

投稿: ましま | 2011年7月30日 (土) 11時28分

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