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2011年7月 4日 (月)

空洞化の脅威は福島の方だ

 「大きいことはいいことだ」というのは、何十年か前のチョコレートのコマーシャルに使ったキャッチフレーズである。それは、公害問題の深刻化やオイルショックへの反省もあって、いつしか消えてしまった。

 しかし発想そのものは、グローバル化や新自由主義のもとで形を変えて復活している。一段落したようだが市町村合併などもその一環である。大きいことが、時として犯罪的結果を招く面についての反省が中途半端であったのである。

 大量消費が美徳、大量生産も美徳、節約や生産の細分化は悪という考え方は、依然として健在で経済界の主流をなしているばかりか、それが人々の生活を律しており、教育であり文化であり政治であり、社会構造そのものという観念が染みついている。

 それを東日本大震災は津波のように一切押し流し、非日常の世界を現出した。その最も象徴的な事柄が「脱原発」である。この発想は、エネルギーとして何がいいか、といった矮小化した問題ではなく、まさに社会構造そのものを「人の幸せ」という面で考え直そうという、革命的な変革を目指したものだ。

 革命的ということで、既得権益にしがみつく人や、保守、特に右翼の人たちの御気に召さない点があるのだろう。しかし、この機運は、ヨーロッパですでに動かしがたい潮流となっており、遅からず米・仏にも影響を与えるだろう。

 そういった中、脱原発に反対する人の間で「電気料が割高になり、産業の空洞化が起きる」という言説がもっともらしく流布されている。これは「就職難が一層激化し、失業者が増える」という脅しである。

 専門家でない私がどうも首をひねるのは、原発であろうがなかろうが値上げに当面することは避けられない。ただし現在進んでいる15%節電、中には30%も節電している企業もあるが、値上げ額の多くは節電で吸収されるのではないか、という点である。

  すでに書いたことであるが、空洞化はすでに大きく進行しており、それが人件費の問題であることは多言を要さない。仮に電気料金が上がらないとしよう。そうしたら海外移転をやめて人件費の高い日本で仕事を続けるのだろうか。

 空洞化の責任を脱原発に押し付けようとする意図は明白である。事故があっても、日本の電力の質、停電のすくなさや電圧、周波数の安定など、世界最高レベルにある。経済界が移転しようとしているのはどこの国なのであろう。

 やはり、中国、東南アジアならやめておいた方がいい。向こうの都合で停電はたびたびあり得るし、需要の急増や資源の高騰で料金が上がる可能性は、日本と同様である。かりにそんなところへ移転しても、日本には、新エネルギー開発の新産業が興り、失業者を吸収することができるので心配ご無用である。

 それより、どうして福島の放射能汚染地域の土地を捨てざるを得ない「空洞化」の方に、真摯な目をむけないのだろうか。福島は国の一部で、空洞化は日本経済全体というなら、それこそ許すことのできない「棄民政策」といわざるを得ない。日本は、これから30年もかけて世界に冠たる新文化を手にしようとしているのである。

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