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2011年6月 6日 (月)

高杉晋作と菅直人

 1000年に1度といわれる大災害、それに匹敵する国難が、政治家の資質低下と混乱である。これだけ国民の一致した非難があるのに、反省・改善の方向は一向に見えない。陰ながらであっても、支持する政党、応援したい政治家があり、共鳴できる政策があってはじめてブログに書こうという気にもなるが、それも見当たらず筆をなえさせいる。

 菅首相は、これまで「歴史が評価する」という言葉を何度か使っていた。彼の尊敬する歴史上の人物は、高杉晋作と伝えられている。辞意発表ですでに死に体同然となった首相は、今週中にも辞任の時期を明言し、残された期間で歴史評価に耐えられる仕事を残しておきたいだろう。

 それは、野党との野合であるはずはない。大震災対策、中でも原発の処理である。冷温停止のプログラムが来年初頭になるが、プログラムが軌道に乗るかどうか、見極めがつくのはもっと早く、秋口にも見通せるかもしれない。

 さて、高杉晋作の方だが、歴史上の人物ではあるが歴史に残る評価というのは、はなはだ心もとない。塾頭は、尊王攘夷でも外国(英国・中国)の実態を知って行動していたという点は買うが、近代史の大家・奈良本辰也氏は次のようにいっている。(『幕末・維新おもしろ事典』三笠書房)

 かれが活躍した時期は、文久二年(1862)あたりから慶応三年(1867)、年齢でいえば二十四歳ごろから二十八歳で死ぬ(結核・塾頭注)までの、わずか五年程度にしかすぎないのだが、やったことを並べてみると唖然とせざるをえない。

 よくいえば豪華絢爛なのだが、よくよく眺めてみると本気なのかふざけているのか見当がつかない。語録としてまとめてみても抱腹絶倒の連続で、天才なのか単なる遊び人なのか頭をかしげてしまう。

 辞世の句からして「おもしろきこともなき世をおもしろく……」とまで書いて力尽き、その下の句を野村望東尼につけてもらうわけだが、後世の人間にとってこの男ほどおもしろい人物はめったにいない。

 ――というように、専門家でも歴史的評価がしにくい人物だ。菅さんは、山口県生まれで、長州藩なら安倍晋三のように吉田松陰となるところだが、小学生時代の尊敬する人物は、同藩の晋作であつた。

 晋作の理念と人物、どちらにひかれたのだろうか。士族以外の農民・町民・僧侶・神官などを組織した奇兵隊リーダーとしても有名だが、別に市民運動を組織したわけでなく、藩の方針に沿ったまでだ。やはり彼の「生きざま」の方だろう。

 そうすると、野党をはじめ外野がいうような、「権力にしがみついて」というようなことはなさそうだ。また、相談なしに時々意表をつく発言をしたり、相手をはぐらかしたりするのは高杉流だ。しかし、まわりの人は、どれが本音かわからない。

 また、諮問会議のようなものをどんどん作るが、自分自身の方針がわからない、決定が遅い、という非難もある。塾頭は、これこそ市民運動出身者としての特徴をあらわしていると思っており、優秀な官僚に立ち向かえる唯一の武器にしているはずだ。しかし、まわりに市民はおらず、それが指導力を要求される宰相としての器量が疑われる原因になった、ということだろう。

 晋作は、当局の指名手配から身をかくすため、愛人同伴で四国金毘羅の博徒日柳燕石(くさなぎえんせき)の庇護を受けた。菅さんは四国八十八か所のお遍路さんで行き残したところをまわるそうだ。まだ枯れていい年ではないが、回顧録でも何でもいい。鳩山さんのように恥をのこさず、歴史に残る仕事だけはやりとげてほしい。

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