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2011年5月12日 (木)

スカートの影がお好き?

 首相の浜岡原発停止要請に「唐突だ」とか「思い付きだ」という批判が、判で押したように続出したことに対し、批判の意味がよくわからず、前々回のエントリー・「脱・原子力ニッポン!」を(9)で、「菅評価真っ二つ」という副題をつけて、「唐突批判」を批判した。

 そう思ったのは私だけでなく、続々と疑問が投げかけられている。毎日新聞の論説副委員長・与良正男さんは、11日夕刊のコラム、「熱血!与良政談」でこう書いている。

(前略)まず書いておく。今回の首相の判断は妥当なものだったと私は素直に評価している。これまでの想定があえなく崩れ、しかも相当高い確率で起きるであろう危機が目の前にある以上、それを回避するのは当然だ。一方で国内の原発すべてを停止するわけではないというのも現実的な判断だと思う。

 私の考えを押しつける気も自信もない。だが、どうしても納得いかないのは、「拙速で、場当たり的だ」とか、「根回し不足だ」とかいった、決断に至る手続きに対する批判だ。結構、これが多いのだ。

 では、熟慮するため、菅首相が識者を集めて浜岡問題を検討するナンヤラ会議を作っていたらどうだったろう。今、手続きを批判している人たちは「またまた丸投げ」とか「決断力がない」とか、なじっていたのではなかろうか。

 あるいは政府が事前に地元自治体に対し内緒で「停止後も交付金は今まで通りにするから」と根回ししていたとする。仮にその後、それが明らかになった場合には今度は「密約があった。けしからん」と騒ぎ立てるのではないか。何より、「拙速批判」は、万一、明日、大地震が起きたらどうするか、という根本的な問題に答えていない。

 もちろん、地元や中電側の戸惑いや苦悩を広く伝えていくのはメディアの責務である。でも私のごとき社説やテレビのコメント役を担当している人間は、それだけでは済まされない。「地元が戸惑っているからダメだ」というのは批評しているように見えて、実は地元に判断を委ね、自らの考えを表明するのを逃げているとさえ思う。

 「首相の延命策だ」という政局絡みの見方も何とワンパターンであることよ。この種の話は延命策であろうがなかろうが、結果がすべてだ。今後、うまくいかなかったら判断を下したトップは責任を取る。政治決断とはそういうものだ。私だって今回の首相決断を評価した以上、今後もその責任は免れないと思っている。

 また、ダイヤモンド・オンラインでは、

消費税10%発言」や「TPPへの参加表明」など、菅首相の「唐突」な決断は厳しい評価を受けてきた。しかし、例えば英国では政治指導者の「唐突」な決断は珍しくなく、国民もそれを問題視しない。なぜ日本では、菅首相の「唐突」な決断が批判されるのだろうか。

 と書き(12日)、菅首相の手本は英国流民主主義によっているとした。しかし、批判の根源にある心情は、どうやらこれらとは別のものだろう。次の引用は、当塾が2年前の6月に書き込んだもので、偶然に今朝読み返し、これかな?と思った。

民主主義のこの発明は、最近になって真の恥辱にまで発展した特性、すなわちわれわれのいわゆる「指導者たち」の大部分の卑怯な特性に、最もぴったりと応ずるのだ。いくつかの重要なことをすべて実際に決定するばあいに、いわゆる大多数というスカートの影にかくれることができるのは、なんと幸福なことだろう。(中略)

 実際、一つだけ決して忘れてはならないことがある。すなわち多数は、このばあい、決して一人の人間の代理ができない、ということである。多数はいつも愚鈍の代表であるばかりでなく、卑怯の代表でもある。百人のバカものからは一人の賢人も生まれないが、同様に百人の卑怯ものからは、一つの豪胆な決断もでてこない。

 述べたのは、ナチス・ドイツ生みの親ヒトラー・ユーゲントてせある。『我が闘争』に出ている。

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