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2011年5月19日 (木)

ポスト・フクシマ 4

「原発は安い」神話
 フクシマのおかげで、原発に関する専門語が、大量かつ急速に国民の間に普及した。曰くシーベルト・ベクレル、圧力容器・ベント等々、その数は到底数えきれるものでない。同時に「原子力体制」「原子力村」などといわれる、原発をめぐる実態も曝露されつつある。

 「原子力体制」は、中曽根当時議員による予算付け以来、歴代自民党内閣により「無資源国日本」の陰に隠れて生き延びてきた、政・財・官・学からなる強固な仕組みであり、「原子力村」は、それを直接差配する構成メンバーをいう。

 「原発安全神話」は、「原子力村」の中で作られた。なぜ「村」というかというと、特定の限られたメンバーでよそ者を排除し、村八分もあるという閉鎖性、それに秘密主義・情報隠しが政府の保護のもと常態化していたからだ。

 「安全神話」は、メルトダウン以上のスピードで崩れる運命をたどっている。ところが、いまだ「推進派」の中で信じ続けられている「原発は安い」神話がある。下記が経産省の発表するエネルギー別電力コストで、一番広く使われている。(単位:円Kw時)

 原子力     5.3
 石  炭    5.7
 天然ガス    6.2 
 石  油    10.7
 水  力    11.9
 風力(小中) 24
 風力(大)   14
  太陽光    49

原価の計算には、初期費用、稼働率、耐用年数その他いろいろな要素をどう組み込むかで大きな違いが出てくる。現に東電で計算したものの中にも、各原発それぞれ10円を越すような計算もある。だから目的によっていろいろ提示できるわけだ。

 計算根拠を突き詰めると、「企業秘密」という壁に阻まれるが、これは自由競争をする会社のいうことで、地域独占が認められ、政府の認可で料金が決まるような会社のいうことではない。ただし、これには次のものが含まれていないことがわかっている。

1.揚水式発電所費用、2.電源三法交付金、3.バックエンド費用、4.送電費用
 
 簡単に説明すると、1.は原発の性格上、供給の余る時間帯の夜などでも途中運転を停止できないため、その電力を水力発電所のタービンを逆回転させることにより、需要ピーク時にそなえる費用。

 2.は原発所在地、地元への懐柔交付金、3.は、使用済み核燃料ほか放射性廃棄物の保管・処理、4.は、原発が消費地から遠いために必要とする送電設備費や数%にのぼる送電ロスである。

 ことに、3.のバックエンド費用は、六ヶ所村の設備が満杯で、処理方法の技術的検討が行き詰まっており、12年10月までに2兆1900億円の費用が必要とされているが、実現の見込みはまだ立っていない。

 もちろん、政府が原子力行政推進のため使う研究開発助成金など直接、間接の費用は含まれず、今回の事故の天文学的補償金や、今後強化されるであろう追加安全対策費などは一切計算外だ。

 もう結果ははっきりしている。原発ほど高くつくものはない。安全に次ぐ2番目の神話も崩壊した。世界の趨勢は、いち早くその先を進んでいる。環境エネルギー政策研究所主席研究員・松原弘直氏は次のように指摘している。(『週刊エコノミスト』、5/24)

 今年4月に米国ワールドウォッチ研究所が発表した「世界原子力産業白書2010-11)において、原子力と比較して急成長する自然エネルギーの最新情報がまとめられている。そのなかで、10年末には世界の自然エネルギーの累積導入量が、3億8100万㌔㍗となり、ほぼ横ばいが続いていた原子力の設備容量(3億7500万㌔㍗)をすでに追い抜いていることがわかった。

 つまり、日本の常識は世界の常識ではないことがすでにはっきりしていたのである。原子力と違って、小規模分散型の新エネルギー開発は、巨大産業でなくても手掛けられ、自由競争になじむ分野だ。政府の政策転換があればますますコストダウンがはかれるだろう。

 

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