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2011年5月11日 (水)

ポスト・フクシマ 1

 当塾の5月5日付のエントリーが「ポスト・ビンラディン」だった。続けて「ポスト・フクシマ」を書く心づもりだったが、まだ福島原子炉の冷却に目標はあっても見通しが立っていないことや、菅首相の浜岡原発全面停止発表など、流動的要素が多く先送りした。

 とは言ってみたものの、本当の理由は、これから事故の検証がはじまり、日本のエネルギー政策のあり方や、原発を抱えまたは新設候補とされている地元住民の議論がはじまるのももこれからである。さきを占うようなことは書きづらいということだ。

 たまたま、「ポスト・ビンラディン」で、「今度の作戦がパキスタン政府と同軍部の暗黙の了解のもとで行われたと思っている」という憶測を書いたが、読売オンライン(5/10)によると、英紙ガーディアンの報道として「米国がウサマ・ビンラーディンをパキスタン国内で発見した場合、パキスタンは米軍による単独作戦を容認するとの密約を、米パが結んでいた」という内情を明かしている。

 予断めいたことをなぜ書いたかというと、それが多くの環境条件の積み重ねから導き出される(使いたくない言葉だが――)歴史的必然だったからである。「ポスト」といえば「ポスト・ベトナム」を思い出すが、アフガン・イラクともにベトナムと同様な経緯をたどるという「歴史的必然」を、塾頭は当初から疑わなかった。

 残念ながら、アメリカは「歴史的教訓」を無視した罰は受けなくてはならない。しかし、それはアメリカにとってマイナスではない。彼らの若い開拓魂は、必ずや新しい方向を見出し、世界をリードしていくことになるだろう。

 そういった意味で、ポスト・フクシマの先がよく見えないまま、「歴史的必然」をさぐる目的でシリーズにしてみることにした。途中であれこれ別のテーマが挟まったり、空中分解してしまったら恒例によりご容赦を願う。

菅首相が何度か表明しているように、浜岡の停止は決めたが、原子力利用に関する全体の政策は、白紙の立場で議論し見直す、としている。この結論を大まかにあげると、次のようになる。

 1 運転中の原発すべてを可及的すみやかに停止し、廃炉にもっていく=反原発
 2 運転中の原発は、より厳しい安全基準をもうけ、それに満たないものは廃炉にする=脱現発
 3 老朽化した原発の更新はもとより、新設は一切認めない=脱原発
 4 新立地は認めないが、より厳しい安全基準をもうけ、それに合致するものは更新を含め認める=現状維持
 5 新技術を開発し、安全が保障できる原発なら新設を認め、現政策をさらに推進する=推進

 ここで、注意していただきたいのは、「反原発」と「脱原発」を区別することである。本塾は、現実無視の反原発ではなく、脱原発の立場であることをこれまでも述べてきた。菅首相は、例によって自らの意見を言わず、結論を「議論」にゆだねている。市民運動をまとめていく手法ではあるが、民主党内にはおそらく1から5までがあり、とても今、首相が結論を言いだせる環境にはないのだろう。

 すでに、旧民社党出身議員は電力・電機労連などの意向を受けてか、脱原発に抵抗を示す姿勢になっているようだ。菅政権の支えとなっているメンバーは、松下政経塾出身者が多く、気になるところだが、パナソニックは東芝、日立などと違って原発には縁が薄いのでどうか。

 しかし、去年策定された温暖化対策としての電力原発依存率30%を50%に引き上げるという民主党政策は、自民党以上に過激なものだった。これを脱原発に転換するということは、理由はともあれ容易なことではない。

 菅首相にとっては、進退窮まるような課題に挑戦することになる。結果として5に戻るようなことになれば、鳩山政権同様、菅政権も民主党も命脈はそこでつきる。その点は、小沢派も同然であろう。かりに、菅首相が見事に乗り切れたら、歴史に残る名宰相になるが、その展望はない。

 そこで、震災の緊急措置にめどがついたころ、新政策を掲げて解散総選挙で民意を問うしかない。党分裂、大いに結構。自民党も巻き込んだ政権再編ができれば、政治の閉塞感から解放される一つのチャンスになる。なぜ、「脱原発」が現実的なのかについては、次回以降で考えることにさせていただきたい。

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