倒閣を言う売国政治屋
右翼が気に入らない人につけたがる常套語「売国」という言葉をあまり使いたくない。しかし、日本が戦後築いてきた国際的信頼が大きく毀損し、復興に疑念が持たれているような時期、国政を停滞させ、混乱させようとする行為がどうして愛国的と言えようか。
首相に辞任をつきつけているとマスコミが報じている4人である。西岡武夫、鳩山由紀夫、小沢一郎、谷垣貞一、その他大勢いるが付和雷同組としてここでは書かない。まず、4人組が言う初動措置の混乱、指導力欠如、方針不明瞭、言動への不信、そういったことが、仮に本当だったとしよう。
それであっても、福島原発事故処理や放射能対策、行方不明者の捜索など、寸刻を争う懸命の仕事が菅首相の下で今も進行中である。首をすげ替えることで、それらがうまくいくというのであろうか。
逆である。指揮命令系統の組み直し、スタッフの変更、方針の混乱や不徹底が避けられない。いますぐ辞任するのでなくても、そういった発信をするだけで最高指導者への信頼を傷つけ、国をあげての協力体制に水を差すことになる。
もちろん、日本の動向を注視している世界の目は、「この期に及んで醜い権力争いにうつつを抜かす、同情や支援に値しない国」ということになるだろう。4人組は後釜に誰を考えているのだろうか。
野党代表の谷垣はともかく、あとの3人はうしろから弓を引く利敵行為にあえて乗り出したということだ。小沢は、夏にも裁判をかかえている身であり、それでもあえて権力を手中にしたいというのなら、カダフィーそこのけの独裁者ということになろう。
鳩山には、「協力の依頼もないのにしゃしゃり出るわけにいかない」というような発言があったという。この人の言葉はあきれてものが言えない。被災地で献身的に活動しているボランティアに、はたして依頼を受けて出かけた人がいただろうか。
国から歳費をもらっている議員である。当然「私にできることがあれば」と申し出るのが当然であろう。西岡は参議院議長で党籍を離脱しているが、議長が政局にかかわるような発言をするのは全く異例で、首相よりこの方がはるかに適性を欠いている。
最後に谷垣であるが、世界に恐怖をまき散らすような原子力発電所をつくり、原子力政策を推進してきたのは、歴代の自民党政府である。民主党政権は、まさにその尻拭いをさせられているのだ。
その反省なくして、現政権攻撃をする資格はない。もし、反省する気があるのなら、党員を現地に派遣してがれき撤去に協力させるようなことがあってしかるべきではないか。
「政治は3流……」、悲しいかな現実である。
| 固定リンク
« 終戦直後は電力豊富 | トップページ | 美談 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 市川市長選結果と中央政界(2018.04.23)
- 大阪地検、大丈夫?(2018.04.14)
- 上方(関西)の意地(2018.04.10)
- 市川市長選、野党統一候補実現(2018.04.07)
- 「司法」がよくわからない(2018.03.20)
コメント
原発を地震列島の全国にばら撒いた自民党総裁の谷垣には、現政権批判の前に国民に土下座して今までの間違いを謝って欲しい。
ただ、小沢などの管批判は今度の場合には当てはまらないのではないでしょうか。
代表選では議員票では伯仲していたのですが、選挙後ノーサイドではなくて露骨な論功考証での差別的な扱いは明らかで、民主党は挙党一致ではなくて片肺飛行に近い。
これでは選挙で勝つ事は最初から無理なんです
今までのわだかまりを捨てて、小沢系の積極的な人材登用を行うべきでしょう。
鳩山由紀夫や小沢一郎ですが、党内の不満を代表して語っているのではないでしょうか。
昨日辺りからやっと原発10キロ圏での不明者の捜査が始まったのですが、福島県の死者数は少ししか変化が無いのに突然、行方不明者数が半減している。
これ何故でしょう。
理由が判らない。実に不思議です。
投稿: 宗純 | 2011年4月15日 (金) 16時49分
小沢系の人材登用といっても、1年生議員かせいぜい2年生議員が多く、山岡賢次のような小沢腰巾着や西岡武夫といった変わり者しかベテランは目につきません。
たしかに菅に問題なしとは言えませんが、それでも今、党内抗争を正当化する理由にはなりません。当ブログでも「小沢氏には闘ってほしい」といった記事を書いたことがありますが、政治家の評価は、その時どういう判断をしたかにかかると思います。
投稿: ましま | 2011年4月15日 (金) 17時58分
売国とは言いたくないけれど、その通りの4人組ですね。
反対するなら代案を示せとは昔自民党が言った事でしたか?代案が見当たらないですね。4人組も言わないですし。
投稿: 飯大蔵 | 2011年4月15日 (金) 22時14分
私も、全く同意見でございます。
この期に及んで、政争の方が大事なのかと情けない気持ちです。
投稿: 金木犀 | 2011年4月15日 (金) 22時48分
飯大蔵 さま
金木犀 さま
コメントありがとうございました。
菅おろしの理由、付和雷同組発言ですが今日の新聞から拾ってみました。
「首相には復興に全生命をかける決意がみえない。被災地の不安を払拭できないなら自ら身を引くべきだ」
(大島理森自民党副総裁)
「菅直人首相の対応と指導力に対する不信、不満が、<平成の後藤(関東大震災後の東京を復活させた=ましま注)」は出ないかという声を誘っている。(中略)
後藤はスケールだけでなく、用兵術にたけていた。大震災という大敵を迎え撃つのに、菅はどちらも欠いている。防災服を着込んで、現場主義を気取ったにすぎない」
(毎日新聞・岩見隆夫)
ご覧のとおり、具体的中身は何もない。それどころか印象操作に満ちた個人攻撃に過ぎないことが歴然としています。
菅さんは市民運動出身で、市民間(今は政官界や支援組織など)の合意が活動力の源泉になっています。その点で自らの信念がないように見えるのはたしかです。だが、戦前の独裁者よりはましです。
菅批判には、そういった意味でもうひとつ危険な側面を感じます。当時は「グズ哲」と称された片山哲や「アーウー」しか言わない大平正芳が、後の世に首相として評価されたことを思い出します。
投稿: ましま | 2011年4月16日 (土) 10時01分
菅さんはもう30個くらい対策会議でも作り、仕事をされた気分になられることでしょう。自己満足の方らしいのでね。
私は小沢信者だけれども、今回は動かないほうがよいと思っていました。どうせすぐ「また政争か!」といわれるのがおちですからね。とことん我慢していましたね。
でもねぇ・・・。
今の菅総理を支えろといわれて誰が手を上げています?怒鳴りまくって人が寄り付かない孤独な宰相だそうですね。だから仲間を集めたくって次々会議を増やすのでしょうか?
40日たって仮設住宅何軒完成しましたか?
あの村山さんの時だってこんなに遅くはなかった。避難所で亡くなられる方が出てきました。
増税財政再建目指す財務省と、外務省あたりは菅さんに続投して欲しいでしょうが・・・。
まぁ市民派という名前と厚生省のカイワレ大臣というだけで日本国のトップになられた方、大平さんと比べられたら、大平正芳さんがあまりに気の毒ですね。
投稿: kappa | 2011年4月21日 (木) 09時55分
kappa さま
仮設住宅は失われた住宅の多さと敷地の絶対量不足が主因でしょう。ほかの人だったらうまくいったという証拠がありません。
菅さんは市民運動の頃が忘れられないようです。「市民は多数」「多数は正しい」「だから行政はそれに従うべき」という論法です。最初に自分の意見をもってこない、というよりないのです。多くの会議は市民の代用です。これが一致できれば強いでしょう。しかしコンダクターには向いていません。
一方の小沢さんは平時に波乱を起こすのは得意ですが、動乱の時代になると、なんとなくぎこちなくなりますね。このさいは、東北人の地味であっても粘り強さの方に期待します。
投稿: ましま | 2011年4月21日 (木) 18時04分