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2011年3月29日 (火)

原発は国営化せよ②

 このテーマは、大地震発生の2日後、東電役員のあまりにもの無責任な発言に触発されて、一気に書き上げたものだ。それだけに、今の時点で大きな見当違いがないかどうか読み返してみた。結論から言うと、その後の各種報道は、より強調されてしかるべきだという傾向を示している。

 塾頭は、地震についても原発についても専門知識を持たない。だが、いわゆる素人考えが案外当たっていることもある。東電は、「津波の高さが想定外」だったと、その一点に絞っているようだがそれはウソである。原子炉運転の心臓部である電源のバックアップは、ディーゼル発電機さえあればいいと考えていたことが、庶民から見て想定外なのである。

 東北電力からの外部電源を引くのに、何日もかかってもたもたしていた。これなど、どうしてすぐつなげるようそばまで線を引き、切り替えられるようにしておかなかったのか。柏崎原発でも、自家発の近辺で火災が発生して騒いだばかりではないか。

 3、4日で終息に向かうと思っていたのが、いまだに先が見えない。日本が得意なはずの専用作業ロボット、無人飛行機それに真水運搬船とか、非常用電源船・救援船など、現在のような事態を想定した準備がなかったのかと思っていたら、フランスやアメリカにはそれがあって、応援の申し入れもあったという。しかも最初は、それを断っていた。

 塾頭は、「電気がいらず、水や振動に強く、薪か石炭で動く蒸気エンジンのポンプぐらいあってもいいではないか」、とある書き込みに書いた。このところ、現場を必死で支える職員は、肉親の安否もわからず、ビスケットや缶詰などの一日2食で、まだ一度も風呂にはいれず、廊下で雑魚寝だという。

 これは、職員の犠牲的精神の美談ではなく、東電の危機管理対策がゼロであったことを余すとこなく伝える醜聞だ。塾頭は、原発安全神話を信じてはいないが、それでも事故当初は、日本の技術をもって海外から賞賛されるような処理ができるのではないかという、淡い期待を持っていた。

 この信用を無くしたというダメージは、とてつもなく大きい。どうしてこのような事態に至ったのか、文末に長い引用を毎日新聞からさせていただいたが、保護されている独占企業、政府、マスコミまで含めたなれあいを突く国家的構造欠陥を明らかにした点で目新しい。

 すなわち、一見万全を期しているようでも、人間のすることだ。判断の甘さや錯覚、思い込みなどの中から取り返しのつかな結果を生むことがある。原子力というのはそういうものだ。世界の信頼回復は、このままの体制でハードをすこし改善した程度で追いつくものでなない。これまでの原子力政策を白紙に戻し、ゼロから再出発するしかないだろう。

 当塾の「国営化論」も、原発存続強化のためでなく、安全かつ合理的な撤退作戦の検討、代替エネルギー開発強化と普及、核拡散防止(廃絶)を目指す国家的技術プロジェクトの一環としての位置づけなど、目的を大転化させるものとして考えたい。

発信箱:すべて想定されていた=福岡賢正
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 原発事故の報道に強烈な居心地の悪さを感じている。その理由を突き詰めていくと、メディアが安易に使う「想定を超えた」という言葉のせいだと思い至る。眼前で今起きている事態は本当に想定外だったのか。

 《最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる》

 《外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない》

 《炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される》

 《4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大(ばくだい)になるという推測もある》

 すべて岩波書店の雑誌「科学」の97年10月号に載った論文「原発震災~破滅を避けるために」から引いた。筆者は地震学の権威、神戸大の石橋克彦氏。つまり今回起きたことは、碩学(せきがく)によって14年も前に恐ろしいほどの正確さで想定されていたのだ。

 石橋氏はその後も警鐘を鳴らし続け、05年には衆院の公聴会でも同様の警告を発している。電力会社や原子力の専門家たちの「ありえない」という言葉を疑いもせず、「地震大国日本は原子力からの脱却に向けて努力を」との彼の訴えに、私たちメディアや政治家がくみしなかっただけなのだ。(以下略)
----------------(毎日新聞03/29)

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