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2011年3月19日 (土)

板垣死すとも……

 今帝国議会に立て堂々侃々の言論をなし、以て勝を制するは容易なりとするも、その結果たるや、いたずらに議会の解散を見るにすぎず。初期の議会すでに解散せられ、次期の議会もまた解散せられ、一集一散。社会の紛騒を醸生するが如きことあらば、国民の幸福を那辺に向て求めんとするや。

 たとえ議会は解散せらるることなく、内閣大臣をして容易にその椅子を去らしめ、我取てこれに代わるを得るも、久しく我国専制政治の下に養成せられたる陸海軍のごときは、彼の欧州立憲政治の下に養成せられたるものと、もとより大いにその趣を異にするがゆえに、そのこれを駕御するは必ず容易ならざるべし。

 果たして然らば、吾党が従来計画期図したる国民の幸福は、何によってその目的を達するを得るや。(『明治文化全集・正史篇』下巻、坂野潤治『明治デモクラシー』岩波新書・所載)

 板垣退助が明治憲法発布の前年、明治22年に述べた疑念である。現在の政情そのままであることは信じられないほどである。「日本の民主主義は上から与えられたもの」などという「自虐史観」があるが、明治10年代の「自由民権運動」は、すでに議院内閣制の行方を見極めるほど発達していたのだ。

 明治23年11月29日に初の帝国議会が招集される前の事である。しかしすでに地方議会が先行しており、明治11年3月2日の東京府会発足をはじめとして、各県の県会が続々と成立、選挙で選ばれた議員が政党を組織して、地方自治や政治のありかたについて白熱した議論が展開されていた。

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