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2011年2月15日 (火)

大新聞幹部の反小沢

 「小沢氏の政治と金は山ほどあり、真っ黒だから、民主党は除名すべきなんですよ」。これが今週のTBSサンデーモーニングにおける毎日新聞主筆・岸井成格の発言である。マスコミをバックに持たないコメンテーターの発言が一巡し、最後にやや声高に他の発言を牽制するような口調で言ってのけた。

 そこで話が打ち切りになり、何故どこが真っ黒なのか、何の説明もないまま次に進んだ。もちろん、国会で小沢氏が説明していないことは事実だ。民主党はそれを処分の理由にするつもりだろうか。しかし、説明の機会を奪ったのはむしろ党の方ではないか。

 小沢氏は、強制起訴が決まったのだから、本当は国会で発言などしたくない。政倫審で自発的に発言しろ、といわれても「疑いを晴らすのは法廷であり、国会ではない」という気持があるから、自ら進んで応じたくはない。

 それに、野党は偽証罪もある証人喚問を要求しており、政倫審の参考人招致決議には賛成しないといっている。それならば、証人喚問しかないではないか。小沢氏は「国会で決めてくれれば従う」と言っていた。証人喚問なら、いやでも出席しなければならない。

 当塾が最初から証人喚問にしぼって対応すべきだといっていたのは、昨年の国会が始まる前だ。そのころから始めていれば、この問題は相当様相を異にしていたと思う。しかし、強制起訴の手続きがはじまり、3月危機必至といわれ、挙党一致に失敗した現在となってはすべてが手遅れだ。

 最初から横道にそれてしまったが、ここにきて、また大新聞幹部の「小沢真っ黒論――復活させてなるものか」といわんばかりのイメージ操作が熱を帯びているのはなぜだろう。先週「政治とカネ」に異論、という記事を書き、毎日新聞とサンデー毎日上で、いわゆる小沢疑惑に対する鳥越俊太郎と岩見隆夫の論争があることを紹介した。

 そこに今日、「それでも小沢一郎はうさんくさい」という見出しをつけた今週のサンデー毎日の広告を見た。てっきり先週の再反論かと思ったらそうではなく、鳥越の指摘した心証を得た根拠や新事実のない、かつて報道された、検察のリークらしい内容をむしかえしただけのものだった。

 小沢がうさんくさく、真っ白でないことぐらいは素人でも想像がつく。しかし、橋本政権の頃までは、自民党の政治家はほとんどそうであったことも知っている。当時の顔ぶれは、与野党を問わず今でも大勢残っている。

 問題は、小沢氏の秘書たちが、選挙の何か月前の影響が無視できないような時期に何度も立件・逮捕されたり、代表選など日本の政局にかかわるような時期に強制起訴されたりすることだ。

 ロッキードやリクルートといった贈収賄事件ではない。検察はそこまで狙ったようだが結局証拠をつかめなかった。秘書の帳面の付け方が悪かった程度のことで、日本を動かせるだけの力を持つ有力政治家の活動を妨害したり、政治生命を葬り去ることが果たして正義なのであろうか。

 新聞社幹部と違って、小沢氏に会ったこともなければ、政治の内情にもうとい。しかし、小沢氏は、政治家になる前、司法試験を受けて法律家になることを目ざしたといわれ、政治の親ともいえる田中角栄氏の公判を欠かさず傍聴したり、また金権政治で失脚した金丸信を身近に見ていた経験がある。

 したがって、法にふれるようなことには神経質なほど用心していたと想像している。だから、ゼネコンなどから受注の便宜をはかる目的でカネを受け取るなどのミスを犯さないよう、秘書にも厳重に命じていたに違いない。

 しかし、政治献金を1円でも多く集めてくるのが秘書の役目であり力量である。法に触れなければ、自らの責任で法すれすれの危険を犯してでもやってのけるようでなければ、立派な秘書とはいえない。

 そういった、社会的な風潮は少なくとも20年前にはあった。今の新聞社幹部もそんな雰囲気の中で育ったはずだ。今はどうかわからないが「あの記者は書類を盗んでいくから気をつけろ」などといったことが現にあったのだ。

 法の目を盗むことが好ましいことでないことは確かだ。しかし、大新聞の幹部が顧みて大言壮語できることかどうか、甚だ疑わしいといわざるを得ない。それより、合法的に行われる本来の巨悪に正面から立ち向かうのが大新聞の役目のはずだが、現状は道遠しの感がする。

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コメント

私は小沢シンパですが、政治資金をどう考えるかの問題かとおもいます。資金がより少ない政治が単純にとらえればベストですが時間軸で近い将来そうなるとは思えません、現状は極めて異常な資金を必要としており、集金力が必要です、献金側は腹に一物があっても
受ける側が浄財であれば良いことです、これらを小沢先生は明確にされております。資金力のない政治は官僚依存になると、特に朝日、毎日、知識人の小沢黒論は上記の政治の現場が理解できない、机上論によるよい子ぶりの暴論と考えます、これで国民の生活が良くなるとは思えません。

投稿: 箕浦常吉 | 2011年2月16日 (水) 10時19分

箕浦常吉 さま
コメントありがとうございました。

新聞社幹部は、現場を知らずに行動しているとは思えません。一部にアメリカの陰謀論などがあるようですが、これも考え過ぎで想像の範囲を越えているでしょう。

すると何か、???。新聞出身の古参ジャーナリストでも、鳥越さんのように反小沢に疑問をもつ人がすくなくありません。

 それらを観察すると、社内の出世街道をまっしぐら、むしろ逆に酸いも甘いもかみわける器用人が幹部になるのでしょう。

小沢さんとは紙一重です。そのあたりに疑問を解くカギがあるのかもしれません。

投稿: ましま | 2011年2月16日 (水) 10時56分

この話ですが、今何故か大騒動の大相撲の八百長の構図とそっくりですよ。
確かに小沢一郎がマスコミが言うように『山ほど真っ黒』なのは事実なのですが、それなら除名して話が済むのか。
保守党の実力者で『山ほど真っ黒』でない人物など誰もいない。
相撲界で八百長と無関係な力士も多分誰もいない。
そして小沢金権問題も水沢建設の裏金は証明されていないのですから、相撲の八百長と同じで法的な違法行為では無くて基本的に道徳問題ですね。
今の報道の問題点は法的な白黒と、道徳的な善悪を意識的に混同してごちゃ混ぜにしている報じている点でしょう。
だから八百長にも小沢報道にも同じような何とも不自然な違和感を、何となく感じるのです。

投稿: 宗純 | 2011年2月16日 (水) 13時48分

宗純 さま
 大相撲との比喩はわたしも考えました。テレビによく出る何とか杉というNHKのベテラン解説者もそうですね。

 今初めて聞くような顔をして、協会の対応や力士を批判しまくる。どうしても、知っていて知らん顔をしていた自分の方に球がとんでこないよう予防線を張るのに大わらわといった感じです。

 日本人はいつからこんな薄汚い人が多くなったのでしょうか。エジプトのように若者のような奮起を促したいところですね。


投稿: ましま | 2011年2月16日 (水) 18時18分

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