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2011年1月 6日 (木)

自衛隊と尖閣諸島と憲法

 テーマは、軍事能力のことではなく、現行憲法の解釈次第では、自衛隊の出動ができない可能性があるということである。その前に、当塾でかつて「イクサ」の意味を勉強したことがあり復習しておこう。詳しくはリンク↓で見ていただきたいが、古代日本語では、「イクサ」と「タタカイ」を明確に区別していた。

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-a6d8.html

 簡単にいうと兵器・兵員つまり軍備が「イクサ」で、それを使って叩きあうのが「タタカイ」つまり戦争を意味した。憲法9条は、「戦争放棄」でくくられているが、その二つの言葉を分けて考えなくてはならない。

 ところがいろいろな前置詞(特に下記朱色部分)がついてわかりにくく、渾然一体とした中で、解釈改憲の温床にもなっているのである。護憲派の当塾ではあるが、「護憲のためには改憲案が必要」と主張する所以のひとつである。

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   第二章 戦争の放棄
第九条 [戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認]日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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 さて、自衛隊をどう考えるかであるが、これも過去に記事(「自衛隊は違憲か」↓)を書いている。イラク派遣など、アメリカ自体が「ならずもの国家」の政権を倒したあとも、「テロとのタタカイ」を言い続けている中での自衛隊(イクサ)派遣は、明らかに憲法に抵触する。

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-e509.html

 塾頭は、自衛隊が国内にいて、国民の安全をはかるための「自衛権」(タタカイ)を行使する限りにおいて「合憲」とする考えだが、海外でのタタカイは、いかなる口実、たとえば、日米同盟の「集団的自衛権(前エントリー参照)」の解釈変更、国連軍への参加などを含め、明らかに憲法に違反すると考える。

 さて、前置きが長くなったが、テーマの尖閣諸島の話に入ろう。前原外相などが「尖閣諸島に領土問題は存在しない」という発言をしていた。これに対して「中国が問題化しているのだから、存在しないというのはおかしい。話し合いのテーブルに着くべきだ」という、主に護憲派の意見がある。

 この違いは何なのだろう。「領土問題が存在しない」というのは、ここを「国内」と見ているからである。その限りにおいて、自衛隊は自衛権として「タタカイ」ができるのである。仮にその立場を捨てて、話し合い優先となれば、国際的に見て「国境紛争」に位置付けられ、憲法の「国際紛争を解決する手段」としてのタタカイは封印される。

 それでもいい、という人は、中国海軍の援護を受けた中国人が尖閣諸島に上陸した場合どうするのだろう。日本が「領土問題は存在しない」という大きな理由は、過去の歴史的経緯はもとより、海上保安庁の警備などで事実上の実効支配状態が続いている実績があるからである。

 ここが、竹島や北方領土と大きく違うところで、中国側が使用実績を作ってしまうと日本の立場は大きく後退し、大幅に譲歩せざるを得なくなることだろう。憲法の精神にのっとってタタカイを避けるのが第一である。しかし、国土・国民の安全や自衛のためのタタカイまで放棄した無防備国家になってしまうのは、かえって国際社会を不安定にする要因であることを知らなくてはならない。

 中国との協議は、民主党政権発足当時がタイミングとして絶好であった。将来の東アジア共同体を含みとするものである。その中で、沖縄基地問題なども期限を切らず沖縄の民意に沿った解決を模索すべくであった。そのいずれも進行できず、自民党時代より状況悪化に追い込んだ民主党の責任は極めて重い。

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コメント

考えさせられますね…。いつもこのブログを見るのがとっても楽しみです(*^^)vこれからも楽しみにしていますね☆

投稿: 高田馬場の美容室からコメント | 2011年1月 6日 (木) 20時17分

ありがとうございます。

マラソン選手が沿道から応援を受けた時の気持ちがよくわかります。

ヽ(´▽`)/

投稿: ましま | 2011年1月 8日 (土) 08時03分

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